異世界転生の能力者(スキルテイマー)

藤崎 サクヤ

第6話 襲来

ギルドから出ようと、ドアを開けた瞬間。
街中に凄い爆発音が鳴り響いた。
『ドォォォォォォォン!』

「…!?一体何が…!」
音のする方へ、走る。国同士の紛争!?それとも…
予想は的中。もちろん後者の方だ。紫や黒の魔法陣がでてきた。俺が異世界転生するきっかけとなったあの時の魔法陣と同じだ。きっと、死神が出てくるんだろうな…
と、思っていた。人混みの中に入って、なんとか現場が見えるような位置に来た。なんとそこには、手錠よりも頑丈な鎖を手に巻き付けられた金髪の女性がいた。女性といっても俺と同じ歳くらいだ。

「や…やめてっ!」

「黙れ。お前は罪を犯した。こうなったのもお前が俺たちの陣地に侵入したからだろう。そしてお前は何かを証明したかったのか、物を盗んだ。自業自得だ。」


「入ったのはわざとじゃないの…!その…盗んだと言うよりここが何処か気になっただけで…」

「うるさい!侵入したのには変わりないだろう!そのうるさい口も縛れ!」

「ハッ!了解致しました。オズルーン様。」

「この人の中、俺をその名で呼ぶな!」

「た、大変申し訳ございません!」

そして女性の口は塞がれる。見てるだけでも辛い。俺は「こんな相手にかなうはずがない。」そう思った。でも、見過ごしておけなかった。この女性が誰かに似ている気がしたから。どこかそんな気がしたから。放っておけない。

「おい!その人を解放しろ!その人がどんな大きな罪を犯したって言うんだ!」

気がついたら叫んでいた。そして前に出ていた。これで俺の異世界人生も終わるかもしれない。もうどうなったって良くなった。でも人を助けたい。

「あ゛?誰だお前。…服装からして駆け出しか?雑魚の分際で俺に喧嘩売ってんじゃねぇよ。」

「お、俺はタツヤ。駆け出しの冒険者だ。訳あってこの世界に来た。」

「ッ…!」
金髪の女性が少し動揺した気がした。

「ほう…ってやっぱり駆け出しじゃねぇか!ガハハハハ!笑わせてくれるわ。本題に入るがこの女はなぁ、俺達が管理している施設に無断で侵入し、そして大事なものを盗りやがったんだよ!」

「その〝大事なもの〟ってなんなんだよ。」

「大事なもの?あぁ、お前に教える気はない。というか知られてはいけないものを何故教える?お前が俺に仮に勝ったとしても絶対にその事は吐かない。」

「さっきお前より強い冒険者達と戦った。道に立ち塞がってくるんだよ。だけど全員ボコボコにしてやったぜ。そんな奴らより弱いEランクのてめぇが俺に勝てるとは思わねぇなあ!女を解放して欲しかったら、俺と戦えよ!なぁ!」

戦わないと先には進めない。ここで死んでも先はない。でも俺は戦い方を知らない。どうすればいいんだ…。ゼウスに聞くか?それは流石に頼りすぎだ。自分で起こした問題なのに。もう、どうだったっていい。
ぶっつけ本番で、ぶちかます!

「お前と戦う。そしてその人を解放してもらうぞ!」

「言ったな?よし…。行くぞぉ!」



戦いを知らないチート主人公vs謎の黒服オズルーン
の、戦いが始まった。

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