天下界の無信仰者(イレギュラー)

奏せいや

夢は終わりだ。ここから先は、俺の未来だ!

 こうして、天界紛争は幕を下ろした。

 ルシファーを討伐した天羽長ミカエルはその後堕天羽残党の監視のため一部の天羽を残し、あとの天羽軍を地上から撤退させ天界の門ヘブンズ・ゲートを閉じた。

 それが二度と開けられぬよう封印を施し、友との約束を果たした。

 これにより天羽による管理体制の実現は実質不可能となり、転じてルシファーが望んだ形となった。

 彼が始め、彼の死によって幕を閉じた天界紛争。

 だが、彼の行動によって人類は自由を手に入れたと言っても過言ではない。彼の裏切りは多くの犠牲を生んだが、それにより世界は元に戻った。

 人類が解放された瞬間だった。

 だが、これより二千年後の今。かつての誓いを果たすため、天界の門ヘブンズ・ゲートは開かれた。

 証明する時だ。

 かつて夢見た理想を実現し、

 二人の理想は間違っていなかったのだと、

 証明する時だ。

 そのために!

 ミカエルは、宇宙に翼を広げていた!

「来い、イレギュラー! 私のすべてを賭けて、お前を倒す!」

 漆黒の空間に、光の戦士が降臨する。

 そして!

「いいぜ。来いよミカエル」

 対する憑依形態の神愛も、譲れない思いのため拳を作っていた。

「お前が出せる全力をぶつけろ。全霊を込めてかかってこい。そのすべてを超えてやる! 夢は終わりだ。ここから先は、俺の未来だ!」

 二人の激突が、始まろうとしていた。

 彼の夢は、まだ終わらない。

 (つづく)

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