天下界の無信仰者(イレギュラー)
一分だ。あばよアザゼル、くたばっちまいな
開眼される正真正銘の邪眼。視界は魔界だ、彼に見られた者はそれだけで寿命が減っていく。
耐性のない者なら彼の支配下に置かれ洗脳することも発狂させることも一瞬だ。
もし耐性があっても体力の減衰は免れない。力は制限され寿命は刻一刻と目減りしていく。
最後に行きつく先は死に他ならない。
彼最大の武器が解放されたことによりアザゼルから声が漏れる。逃げ遅れた堕天羽たちは悲鳴を上げながら墜落していった。
当然のこと味方である天羽たちは撤退している。彼の邪眼は問答無用だ、巻き添えを食らってしまう。
味方はいない。彼は常に一人。そして勝ってきた。
その自負、その自尊。自分は強くそれゆえの四大天羽。最高位の天羽だという誇りがある。
サリエルの邪眼に体を強張らせながらも、アザゼルの戦意は少しも衰えていない。
「この程度かサリエル!」
「抜かせ裏切り者!」
二人は互いの武器を構え衝突した。同時に駆け出し刃と刃をぶつけ合う。
サリエルの戦いはその性質上短時間で決着がつく。何故なら視認累積時間六〇秒で相手を殺す眼だ。
相手は特攻して短期決戦に持ち込むしかない。それをのらりくらりとやり過ごし六〇秒相手を見るのが確実な戦術かもしれないが、それは彼の性格が許さない。
相手が正面から斬ってかかってくるならそれをぶっ潰す。逃げて殺すなど臆病者のやることだ、誇りを持つ天羽のやることではない。
よって両者の戦いは激闘必死。時間制限付のデスマッチだ、いきなり全力でぶつかり合っている。
強者同士の戦いは拮抗し、戦いは五〇秒の終盤に差し迫った。
二人は武器の間合いに入っていた。
先手はサリエル。彼の大鎌の刃が差し迫る。
それを、アザゼルは剣で受けなかった。刃はそのまま彼の胸に突き刺さる。激しい痛みに彼から苦鳴が漏れるがこれは覚悟の上、ここで我慢しても一〇秒後には死ぬのだ。
ならば肉を切らせて骨を断つ。アザゼルはサリエルの鎌を封じ、心臓目掛け片手剣を突き刺した!
「ちぃ!」
アザゼル必死の反撃。サリエルは咄嗟に片手を大鎌から放すと突き出される刀身を掴んだ。止めるだけの余裕はない、出来て狙いを外すことだけ。
アザゼルの剣はサリエルの腹部を突き刺した。
「くっ」
「がは」
刃が突き刺さる苦痛をサリエルもアザゼルも堪え手は震えていた。
「相打ち、か」
「アホ、てめえだけ死ね」
サリエルの怪我は致命傷ではなかったが放っておけば死ぬ傷だ。それでも決め手を欠ける今、トドメを先に刺すのはサリエルだ。
「一分だ。あばよアザゼル、くたばっちまいな」
邪眼のタイムリミット。段階的に呪いを上げていく死の視線の終着点。決まっていた時がくる。死だ。
「アザゼル様!」
だが両者の間に突如堕天羽が割り込んできた。次々と迫り来る堕天羽たちにより視界からアザゼルが消える。
「クソがッ」
突き刺さっていた刃は抜けサリエルとアザゼルは離れた。サリエルは大鎌を振るい襲ってくる堕天羽たちの相手をする間、アザゼルは膝を付き他の堕天羽たちに支えられていく。
「アザゼル様、撤退を!」
「……仕方がないか」
アザゼルは翼を広げ浮上した。その姿がちらりと見えるがすぐに堕天羽の翼によって隠されてしまう。
「てめえ! 逃げてんじゃねえぞ!」
「さらばだ」
アザゼルは数体の堕天羽たちを引きつれ飛び立った。邪眼の効力が視認累積時間とはいえ長時間離れればリセットされてしまう。
すぐにでも追いかけ息の根を止めたいところだが、彼の仲間が立ち塞がる。
「四大天羽サリエル、アザゼル様がつけたその傷、無駄にはしない。その命、この場でもらい受ける!」
一斉に剣を構える。その気迫もそうだが彼の視線に耐えているだけで雑魚ではない。手練れの天羽。
信仰者でいうところのスパーダクラスたちだ。
頭に血が上っているサリエルとてそれは承知している。どんな状況でも彼我の差を見誤るほどサリエルの戦闘能力は低くはない。だがあえて叫ぶ。
「ザコ共が……! 舐めてんじゃねえぞこの俺を! アザゼルの居場所を教えろや。あいつはどこにいる、なにしてやがる、死に方はなにがいいか聞いてこい!」
腹に突き刺さった痛みを無視して大鎌を構える。かなり痛いしほっとけば死ぬがまだ耐えられる。
その間にこいつらをやる。そしてアザゼルの居場所を聞き出し決着をつける。アザゼルを殺すまであと五秒見れば十分。
そこまで追い込んだのだ、逃すわけにはいかない。それが出来ると判断し、サリエルは交戦の構えを見せる。
「なに?」
だが、ここで急遽事態が一変する。
耐性のない者なら彼の支配下に置かれ洗脳することも発狂させることも一瞬だ。
もし耐性があっても体力の減衰は免れない。力は制限され寿命は刻一刻と目減りしていく。
最後に行きつく先は死に他ならない。
彼最大の武器が解放されたことによりアザゼルから声が漏れる。逃げ遅れた堕天羽たちは悲鳴を上げながら墜落していった。
当然のこと味方である天羽たちは撤退している。彼の邪眼は問答無用だ、巻き添えを食らってしまう。
味方はいない。彼は常に一人。そして勝ってきた。
その自負、その自尊。自分は強くそれゆえの四大天羽。最高位の天羽だという誇りがある。
サリエルの邪眼に体を強張らせながらも、アザゼルの戦意は少しも衰えていない。
「この程度かサリエル!」
「抜かせ裏切り者!」
二人は互いの武器を構え衝突した。同時に駆け出し刃と刃をぶつけ合う。
サリエルの戦いはその性質上短時間で決着がつく。何故なら視認累積時間六〇秒で相手を殺す眼だ。
相手は特攻して短期決戦に持ち込むしかない。それをのらりくらりとやり過ごし六〇秒相手を見るのが確実な戦術かもしれないが、それは彼の性格が許さない。
相手が正面から斬ってかかってくるならそれをぶっ潰す。逃げて殺すなど臆病者のやることだ、誇りを持つ天羽のやることではない。
よって両者の戦いは激闘必死。時間制限付のデスマッチだ、いきなり全力でぶつかり合っている。
強者同士の戦いは拮抗し、戦いは五〇秒の終盤に差し迫った。
二人は武器の間合いに入っていた。
先手はサリエル。彼の大鎌の刃が差し迫る。
それを、アザゼルは剣で受けなかった。刃はそのまま彼の胸に突き刺さる。激しい痛みに彼から苦鳴が漏れるがこれは覚悟の上、ここで我慢しても一〇秒後には死ぬのだ。
ならば肉を切らせて骨を断つ。アザゼルはサリエルの鎌を封じ、心臓目掛け片手剣を突き刺した!
「ちぃ!」
アザゼル必死の反撃。サリエルは咄嗟に片手を大鎌から放すと突き出される刀身を掴んだ。止めるだけの余裕はない、出来て狙いを外すことだけ。
アザゼルの剣はサリエルの腹部を突き刺した。
「くっ」
「がは」
刃が突き刺さる苦痛をサリエルもアザゼルも堪え手は震えていた。
「相打ち、か」
「アホ、てめえだけ死ね」
サリエルの怪我は致命傷ではなかったが放っておけば死ぬ傷だ。それでも決め手を欠ける今、トドメを先に刺すのはサリエルだ。
「一分だ。あばよアザゼル、くたばっちまいな」
邪眼のタイムリミット。段階的に呪いを上げていく死の視線の終着点。決まっていた時がくる。死だ。
「アザゼル様!」
だが両者の間に突如堕天羽が割り込んできた。次々と迫り来る堕天羽たちにより視界からアザゼルが消える。
「クソがッ」
突き刺さっていた刃は抜けサリエルとアザゼルは離れた。サリエルは大鎌を振るい襲ってくる堕天羽たちの相手をする間、アザゼルは膝を付き他の堕天羽たちに支えられていく。
「アザゼル様、撤退を!」
「……仕方がないか」
アザゼルは翼を広げ浮上した。その姿がちらりと見えるがすぐに堕天羽の翼によって隠されてしまう。
「てめえ! 逃げてんじゃねえぞ!」
「さらばだ」
アザゼルは数体の堕天羽たちを引きつれ飛び立った。邪眼の効力が視認累積時間とはいえ長時間離れればリセットされてしまう。
すぐにでも追いかけ息の根を止めたいところだが、彼の仲間が立ち塞がる。
「四大天羽サリエル、アザゼル様がつけたその傷、無駄にはしない。その命、この場でもらい受ける!」
一斉に剣を構える。その気迫もそうだが彼の視線に耐えているだけで雑魚ではない。手練れの天羽。
信仰者でいうところのスパーダクラスたちだ。
頭に血が上っているサリエルとてそれは承知している。どんな状況でも彼我の差を見誤るほどサリエルの戦闘能力は低くはない。だがあえて叫ぶ。
「ザコ共が……! 舐めてんじゃねえぞこの俺を! アザゼルの居場所を教えろや。あいつはどこにいる、なにしてやがる、死に方はなにがいいか聞いてこい!」
腹に突き刺さった痛みを無視して大鎌を構える。かなり痛いしほっとけば死ぬがまだ耐えられる。
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