天下界の無信仰者(イレギュラー)
調理
ミルフィアとの話はその後もしていたがけっこう長引いてしまい、気づけばかなりの時間が経っていた。
それからどうするという話になったが、まずは泊めてもらうだけでは申し訳ないということで夕食を作ることになった。
ちょうどカレーの材料が揃っており、菜園で取れた野菜を使ったカレーライスだ。出来上がるころには外は暗くなり、テーブルには人数分のカレーライスと付け合せのサラダ。
オニオンスープが並んでいた。
「ふぅ、なんとか出来たわね」
「はい。上出来だと思います」
テーブルに並んだ料理を前に加豪とミルフィアが自慢げに話し合っている。
調理の大部分を加豪とミルフィアが行なっており、天和と俺はおまけくらいのものだった。
一応あいつらが頑張っているのにただ眺めているだけというのも心苦しいので俺も参加していた。
初めての共同作業にも関わらず息の良さを発揮したミルフィアと加豪ペアは調理を振り返り話が盛り上がっている。
「以前にカレー作ったことあるんだけど、具材を鍋で炒めてたら焦げついちゃって。今回はフライパンで炒めてから鍋に移したから失敗しないでよかったわ」
「分かります。物によっては焦げ付きやすですからね。私は以前煮込み過ぎで荷崩れを起こしてしまいました」
「分かる分かる。カットの大きさとか火加減で崩れちゃうもんね」
「…………」
女子力たけえなあ~。
かなり眩しい。そんな二人を俺と天和は隅から見つめていた。
「天和、お前なにしたんだ?」
「じゃがいもの皮剝き」
「すげえな」
「宮司君は?」
「たまねぎの皮剝き」
「やるわね」
俺たちは席に着く。隅から俺、その隣にミルフィア、加豪と座る。俺の対角の席に天和が座り、対面二つの席は空いていた。
そこへ奥から親父が出てきた。
瞬間気持ちが下がる。
やっぱりだめだ、親父や母さんを見るとどうしても暗くなる。
そんな俺とは反対に親父はテーブルに並んだ料理に興奮していた。
「うわー、これはすごい。これを君たちが?」
「はい。加豪にもだいぶ手伝ってもらいました」
「私もしたわよ」
「すみません。勝手に使わせてもらって」
「ううん、自由に使っていいと言ったのは僕だからね」
親父はテーブルの料理ににこにこしながら俺の対面の席に座った。
「神愛君うらやましいなぁ。こんな料理上手な女性に囲まれて」
「……そうだな」
乗り気のない声で相槌を打ちなるべく親父を見ないようにする。
すると親父の後に続いて母さんも出てきた。俯き加減で、雰囲気はかなり暗いというか乗り気ではなく、嫌そうな感じだった。
そこへ加豪が声をかける。
「お邪魔しています。加豪切柄と言います」
「薬師天和」
「すみません、ご挨拶が遅くなってしまって」
天和は相変わらずだが、加豪は礼儀正しく挨拶している。いつも思うがこういうのは丁寧だよな、育ちがいいのか。
すると俯いていた母さんが顔を上げた。
「いえ、私こそごめんなさい。お客さまがいらしているのに顔も出さないで。神愛のお友達ですってね」
「はい」
加豪の挨拶に母さんが微笑んでいる。弱々しい笑みではあったが、そこに嫌そうな感じはなかった。着席するとカレーに目を下ろす。
「おいしそうね。ありがとう」
母さんは小さくつぶやいた。加豪から「口に合えばいいのですが」と言われるが、「きっとおいしいわ」と小さく笑っていた。
そんな母さんの様子は珍しい。お客だからとはいえ笑顔を浮かべるなんて。
そっか、母さんも笑うのか。加豪と談笑を交わす母さんの姿を見てると別人のように思える。
それはそれで、なんだか寂しかった。
それからどうするという話になったが、まずは泊めてもらうだけでは申し訳ないということで夕食を作ることになった。
ちょうどカレーの材料が揃っており、菜園で取れた野菜を使ったカレーライスだ。出来上がるころには外は暗くなり、テーブルには人数分のカレーライスと付け合せのサラダ。
オニオンスープが並んでいた。
「ふぅ、なんとか出来たわね」
「はい。上出来だと思います」
テーブルに並んだ料理を前に加豪とミルフィアが自慢げに話し合っている。
調理の大部分を加豪とミルフィアが行なっており、天和と俺はおまけくらいのものだった。
一応あいつらが頑張っているのにただ眺めているだけというのも心苦しいので俺も参加していた。
初めての共同作業にも関わらず息の良さを発揮したミルフィアと加豪ペアは調理を振り返り話が盛り上がっている。
「以前にカレー作ったことあるんだけど、具材を鍋で炒めてたら焦げついちゃって。今回はフライパンで炒めてから鍋に移したから失敗しないでよかったわ」
「分かります。物によっては焦げ付きやすですからね。私は以前煮込み過ぎで荷崩れを起こしてしまいました」
「分かる分かる。カットの大きさとか火加減で崩れちゃうもんね」
「…………」
女子力たけえなあ~。
かなり眩しい。そんな二人を俺と天和は隅から見つめていた。
「天和、お前なにしたんだ?」
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俺たちは席に着く。隅から俺、その隣にミルフィア、加豪と座る。俺の対角の席に天和が座り、対面二つの席は空いていた。
そこへ奥から親父が出てきた。
瞬間気持ちが下がる。
やっぱりだめだ、親父や母さんを見るとどうしても暗くなる。
そんな俺とは反対に親父はテーブルに並んだ料理に興奮していた。
「うわー、これはすごい。これを君たちが?」
「はい。加豪にもだいぶ手伝ってもらいました」
「私もしたわよ」
「すみません。勝手に使わせてもらって」
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親父はテーブルの料理ににこにこしながら俺の対面の席に座った。
「神愛君うらやましいなぁ。こんな料理上手な女性に囲まれて」
「……そうだな」
乗り気のない声で相槌を打ちなるべく親父を見ないようにする。
すると親父の後に続いて母さんも出てきた。俯き加減で、雰囲気はかなり暗いというか乗り気ではなく、嫌そうな感じだった。
そこへ加豪が声をかける。
「お邪魔しています。加豪切柄と言います」
「薬師天和」
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すると俯いていた母さんが顔を上げた。
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