青空
3
ピピ、ピピ、ピピ、ピピ、。
アラームがなって目が覚めた。
なんだ、夢だったんだ、、。
それにしても起きても頭から離れないほどリアルな夢だった。匂いだって思い出せるぐらいだ。
カーテンの隙間から光がさしている。真逆の世界に行き来しているように、何も無かったかのように暖かい日差しが風に揺れてるカーテンから、ちらちらと照らしてくる。穏やかな朝に晴れ渡った空を眺める。
「ゆうじ大丈夫〜?」
一階から階段を登って母がやってきた。
やっぱり夢だったんだと改めて確信した。
「あんた寝てるときすごい汗かきながら唸ってたのよ?なんか変な夢でも見たの?」
心配そうに顔をのぞいてくる。
「いや、特にないよ。大丈夫。」
説明すると長くなってしまうので、あまり話す気になれなかった。
「そうなの?ならいいんだけど、具合悪くなったら教えてちょうだいね」
そう言って母は不安そうに部屋を後にした。
そういえば兄貴は何してるんだ?
iPhoneのカレンダーを見て今日が水曜日だと確認した。
確か水曜日はバイトでいつも深夜に帰ってくる。兄貴とは昔から仲が良かった。どこに行くにしても兄貴はチビの俺を連れて遊びに出かけてくれた。優しくて男らしい自慢の兄貴だ。最近は俺が中学生になってからお互いあまり話さなくなった。だけど、仲が悪くなったわけじゃなかった。お互いに友達もやりたい事もあるから仕方ない事だ。
好きな音楽を聴きながらマンガを読んでいたら時間は午後3時になり、朝の明るさからだんだんとオレンジに変わり部屋を染めている。夢中になるといつも周りの事を忘れて没頭してしまう悪い癖がある。だけどその時間がとても好きな自分でいられる事も分かっていた。
あれから1時間以上がたち、少し喉が渇いたので冷蔵庫から飲み物を取りに一階に降りていく。部屋を出て正面に踊り場があり、その右側にトイレがある。左には兄の部屋があり正面に階段がある。階段を降りてくと正面にモザイクのかかったガラスが貼られているドアの玄関がある。階段を下り右後ろを振り向いてすぐ左にキッチンとリビングのドアがある。そこに冷蔵庫がある。階段を降りて玄関から指している夕焼けの色がいつもよりも明るいのに暗い雰囲気をだしていた。リビングのドアを開ける。
「トントントントン。」
母がいつも通り夕飯の支度をしていた。
「今日のご飯何ー?」
「特に思いつかなかったからカレーにするよ」
そう言って台所に立つ母が夕日に照らされて、今にもカレーのいい匂いがしてきそうな光景だった。
「今日兄貴バイト?」
キッチンから食材を切る音が消えた。
「何言ってるの?あなた兄弟なんていないじゃない。」
何言ってるんだ?
母はまた食材を切る作業を始めた。
なんだこの空気。
「変な冗談いわないでよ。」
少し笑いながらもう一度きいてみた。
「、、、それ以上、、、何も話すな、、」
え、?この家には母と俺しかいない。でも母の喋り方ではない。
「今何ていったの?」
怖くなって確かめるために問いかける。
「だから黙れっていってんだよ」
間違いなく母の方から声が聞こえた。
鍋に入れた食材がパチパチと音を立てている。
それを何も変わらずに炒める母からいつもとはちがう何かに包まれていた。それをただただわからずに見つめていた。次第に匂いが変わっていく。その匂いに固まった。
兄の焼かれた現場の腐敗臭だった。
飲み物を取りに来ただけだったのに、なぜこんな展開になったのか状況を理解できていない。
「ねぇ、いつもと同じカレーだよね?」
どれが夢で嘘で現実で本当なのかわからない。ただ今確かに感じているのは恐怖と絶望だった。
母の手が止まりだんだんと窓に向かって顔を上げていく。その後ろ姿は少し笑ったように見えた。
なんだか疲れたみたいで力が抜けた。
今俺は母の足元で横たわってるみたいだ。
頭は動かないが目だけは動く。
ダンッ!!
母の顔が僕の目の前に現れた。
母の体は有り得ない方向に曲がり、逆立ちをしているような姿で、僕を見ている。
目は全て黒く染まっていた。
俺は疲れているんだ。
なぜかたったまま動かない男の足が見える。
俺の足だ。
アラームがなって目が覚めた。
なんだ、夢だったんだ、、。
それにしても起きても頭から離れないほどリアルな夢だった。匂いだって思い出せるぐらいだ。
カーテンの隙間から光がさしている。真逆の世界に行き来しているように、何も無かったかのように暖かい日差しが風に揺れてるカーテンから、ちらちらと照らしてくる。穏やかな朝に晴れ渡った空を眺める。
「ゆうじ大丈夫〜?」
一階から階段を登って母がやってきた。
やっぱり夢だったんだと改めて確信した。
「あんた寝てるときすごい汗かきながら唸ってたのよ?なんか変な夢でも見たの?」
心配そうに顔をのぞいてくる。
「いや、特にないよ。大丈夫。」
説明すると長くなってしまうので、あまり話す気になれなかった。
「そうなの?ならいいんだけど、具合悪くなったら教えてちょうだいね」
そう言って母は不安そうに部屋を後にした。
そういえば兄貴は何してるんだ?
iPhoneのカレンダーを見て今日が水曜日だと確認した。
確か水曜日はバイトでいつも深夜に帰ってくる。兄貴とは昔から仲が良かった。どこに行くにしても兄貴はチビの俺を連れて遊びに出かけてくれた。優しくて男らしい自慢の兄貴だ。最近は俺が中学生になってからお互いあまり話さなくなった。だけど、仲が悪くなったわけじゃなかった。お互いに友達もやりたい事もあるから仕方ない事だ。
好きな音楽を聴きながらマンガを読んでいたら時間は午後3時になり、朝の明るさからだんだんとオレンジに変わり部屋を染めている。夢中になるといつも周りの事を忘れて没頭してしまう悪い癖がある。だけどその時間がとても好きな自分でいられる事も分かっていた。
あれから1時間以上がたち、少し喉が渇いたので冷蔵庫から飲み物を取りに一階に降りていく。部屋を出て正面に踊り場があり、その右側にトイレがある。左には兄の部屋があり正面に階段がある。階段を降りてくと正面にモザイクのかかったガラスが貼られているドアの玄関がある。階段を下り右後ろを振り向いてすぐ左にキッチンとリビングのドアがある。そこに冷蔵庫がある。階段を降りて玄関から指している夕焼けの色がいつもよりも明るいのに暗い雰囲気をだしていた。リビングのドアを開ける。
「トントントントン。」
母がいつも通り夕飯の支度をしていた。
「今日のご飯何ー?」
「特に思いつかなかったからカレーにするよ」
そう言って台所に立つ母が夕日に照らされて、今にもカレーのいい匂いがしてきそうな光景だった。
「今日兄貴バイト?」
キッチンから食材を切る音が消えた。
「何言ってるの?あなた兄弟なんていないじゃない。」
何言ってるんだ?
母はまた食材を切る作業を始めた。
なんだこの空気。
「変な冗談いわないでよ。」
少し笑いながらもう一度きいてみた。
「、、、それ以上、、、何も話すな、、」
え、?この家には母と俺しかいない。でも母の喋り方ではない。
「今何ていったの?」
怖くなって確かめるために問いかける。
「だから黙れっていってんだよ」
間違いなく母の方から声が聞こえた。
鍋に入れた食材がパチパチと音を立てている。
それを何も変わらずに炒める母からいつもとはちがう何かに包まれていた。それをただただわからずに見つめていた。次第に匂いが変わっていく。その匂いに固まった。
兄の焼かれた現場の腐敗臭だった。
飲み物を取りに来ただけだったのに、なぜこんな展開になったのか状況を理解できていない。
「ねぇ、いつもと同じカレーだよね?」
どれが夢で嘘で現実で本当なのかわからない。ただ今確かに感じているのは恐怖と絶望だった。
母の手が止まりだんだんと窓に向かって顔を上げていく。その後ろ姿は少し笑ったように見えた。
なんだか疲れたみたいで力が抜けた。
今俺は母の足元で横たわってるみたいだ。
頭は動かないが目だけは動く。
ダンッ!!
母の顔が僕の目の前に現れた。
母の体は有り得ない方向に曲がり、逆立ちをしているような姿で、僕を見ている。
目は全て黒く染まっていた。
俺は疲れているんだ。
なぜかたったまま動かない男の足が見える。
俺の足だ。
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コメント
ノベルバユーザー301280
面白いです!
続き待ってます!
春
面白い。でも、ハルトって人の小説も面白かったから……こんなの他の人ので言うべきでは無かったですね。
とにかく頑張ってください
吟遊詩人
切ない事実…?