こんな俺でも恋をする

白葉南瓜

能力の王者

零が能力を発動してから数秒経った後、この場所には静寂しかなかった。例えるなら何もない田舎の様だった。
静寂も凄かったが、その『鬼眼』に睨まれたら死ぬんじゃないかと思う程の殺気が漂っていた。
「えっとー、大丈夫ですか?」
「……あ、うん。大丈夫」
私は圧倒的な差を感じて動揺していた。この能力の波長は私も信君も世界にいる能力者は、絶対に辿り着くことが出来ない。

その後、少しの説明を受けた。
その説明は、どんな能力なのかと言う説明だった。
『鬼眼』一時的に神を超えられる様な能力で、身体に負荷がかかるが人間離れした力が出せるらしい。
「まぁー、やっぱりのところ百聞は一見にしかずなんですけどねー」
そう言う、空き地の真ん中にある建材を片手で持って上下に振っていた。
それは、私でもやろうとすれば出来るけど、驚いたのはその後だった。
その建材を上に投げて手を空中で横に振っただけでその建材が粉々になった。
「…どうやってやったの?」
「へ?あーっと、さっき赤黒い粒子が集まって来てたじゃないですか?その粒子を振ると同時に放出しました」
「え、じゃー他のことを出来るの?」
「はい、その粒子を身体の中に張り巡らせて《鬼神化》できます。やってみますから」
私が興味の視線を送っていることが気づかれてたことが恥ずかしかったが、次の瞬間にそんな恥ずかしがる余裕がなくなるほどの殺気が周りに漂った。
零を見ると髪の毛全体が真っ白になって一部分が赤く染まっていた。目の色と頬の文字は変わっていなかった。
だが、両腕の変わり具合に驚いた。
血管が浮き出た様になったているのは変わっていないが、肘あたりまで黒くなっていた。何ですか!ギアフォースですか!?
「えっとー、それが《鬼神化》?」
「はい、この状態の時だけは、神を一時的に超えられます。神がいればの話ですが」
零は口に手を当ててクスクスと笑っていた。
笑い終わった後に零は空を見上げて、垂直跳びをするように飛び跳ねたら目に見えない勢いでビルを余裕で越していた。着地は羽が落ちる様に何の音もしなかった。

私は、その能力を見してもらったので、帰ろうとしたら後ろから声をかけられた。
「え、一戦も交えないんですか?」
「ふぅえ?」
「だって、見ただけじゃ内側まで分からないじゃないでか!」
「そうかもだけど、弱いよ?」
「大丈夫です、手加減はしますよ安心してください」



その言葉〈手加減〉に甘えたのが私のこの後を苦しませるのだった。

コメント

  • 梅雨姫

    ギアフォースですか!
    がめっちゃツボッた笑
    久々に読んだけどこんなに更新してたとは・・・
    少しずつ読み進みますねー

    1
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