こんな俺でも恋をする

白葉南瓜

出会い、そして時々別れ

昨日、届いた「暗殺願い」の表を眺めながらベッドの上でゴロゴロして居た。
何度も目を通しているが何かの違和感があってしょうがない。その違和感は何の関係性も無く全ての人の年齢にもばらつきがある。
そう、難しく考えていると突然、スマホが鳴ったから驚いてベッドから転げ落ちてしまった。スマホを取り、表示されている文字を見ると研究場からの電話だった。スマホ!鳴るんだったら、鳴るって言ってから鳴れよ!
「もしもし、赤城です」
「暗殺願いの件で、一つ。この対象は、全部身内を研究で殺されているから、復讐心が湧いて研究場を叩かれたら困るからやってもらう。以上だ」
一方的に掛けられて、一方的に切られてしまった。だと言っても、自分が知りたいことを全部言ってくれたから何か複雑な気持ち。

風呂から出て、また自室に戻ってきてベッドでゴロゴロするのを飽きたから中央で目を閉じ体の内側に集中して居た。
何故、集中しているかと言うと能力を久々に使う機会ができたので、出来るか心配になったからだ。
少しの時間が経ってから瞼をゆっくり開くと世界が違く見えた。それは、能力を使えている証拠だ。俺は、感じる時間を人の10分の1にできる。だから、今俺が感じているこの時間は人の10分の1の時間なのだ。
だから、物を掴もうとすると体が少し重く感じる。
自分の感じる時間が変わるだけであって、高速移動などはできないので思考が早くなると言うのが正しい。



朝になり、少し憂鬱な気持ちで、家を出て行った。
学校に着き、スマホに写した資料の写真と学生を写し合わして、先に誰を殺るか見定めて居た。
見定めてからいつものように小説を出してホームルームが始まるまで、ボケーとして居た。
ホームルームが始まると同時に担任が重大発表があると言っていた。
「今日は転入生が居るぞ」
その一言でクラス中が騒がしくなった。その騒がしさの中で担任はどうぞと言ったと同時に教室のドアが遠慮がちに開けられた。
ドアから現れたのは、腰の辺りまで綺麗に伸びた黒色の髪の毛が童顔を強く表現させて、その童顔には、似合わないぐらいにたわわに育った胸が目を引く女子だった。
担任からチョオクを渡されて少し戸惑ってからそれを受け取って黒板に名前を書き始めた。
書き終えてからこちらに向き直って恥ずかしがりながらも自己紹介を始めた。
「あ、天城 鈴です。よろしくお願いします」
皆んながこちらこそって元気良く言っていた。だが、その大半は男子だった。お前ら、あからさま過ぎるだろ。まぁー、このクラス可愛い子居ないからな。
「席はーっと、赤城の隣で良いか」
「えっ、あ、はい」
戸惑いながらも返事をしてしまった。周りを見ると男子の視線が痛い。

授業が始まると、先程の視線はより強くなって行った。
何故なら、天城さんが教科書をまだ貰ってなく、俺と一緒に見ていたからだ。
俺は、教科書は見なくて良いと言ったのに、一緒にって言われたから仕方なく一緒に見ている。
「本当に良いんだが」
呆れながら言うと少ししょんぼりして教科書を自分の前に持っていった。

学校が終わり帰りの準備をして居ると、昨日飯に誘ってくれた男子が此方へ近づいてきた。
「一緒に帰らないか?」
「悪い、無理だ」
「そ、そうか」
そう、これでいいのだ。何かの接点を作るとこいつに同情が湧いたりしてくる。しかも、こいつは「暗殺願い」の中にある。


家に帰り、今日から暗殺をしていくから武器などの準備を始めていた。
メイン武器は、替え刃が出来る周波剣。逃げられた時に遠距離でやるための、mp5a5。アタッチメントはドットサイトとフォアグリップ。マガジンは2本、替え刃は4本。
こりゃ、楽勝だな。

時間になりスマホを立ち上げ、GPSを開くとその目標の居場所が分かる。その居場所のアイコンをタップするとその目標が誰なのか分かる。
タップして見てみると、今日話しかけてくれた男子の取り巻きの1人だった。
「悪いが、仕事だからな」


目標の近くに来たので、武器の位置を確認した。マップで目標の位置を見ると1人で裏路地に入って行ったのを確認してから行動を開始した。

行動を開始して、5分も経たない位で目標の後ろに着いた。
後ろに着くと、能力を使用して周囲の状況確認をした。
周囲には人影は、1つもない。丁度いい。
こいつには、悪いが此処で死んでもらう。
右足に力を入れて腰の左側に帯びていた周波剣を引き抜いて袈裟斬りをする様に背中に浅く切り傷を入れた。
「いっ、ぁぁぁ」
切り傷を入れたと同時に這いつくばって声にならない叫び声を上げながらもがいていた。
「悪いな」
俺は、一言、謝罪をすると苦しんでいる目標の体に周波剣を突き立て勢いよく突き立てた周波剣を体に押し込んだ。手には肉を切り裂く感覚が伝わった。
押し込んだ後には苦しんでもがいていた目標は、ピタリと動かなくなった。

翌朝、ニュースでは、体に斜めに切り傷があり心臓を一指しで亡くなったと伝えられていた。


罪悪感は、あまり無かった。

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