かわいい俺は世界最強〜俺tueeeeではなく俺moeeeeを目指します〜
7話 おじゃま……ひゃいっ!
「やっぱデケェ」
翌日。私はメトカーフ家屋敷の門前に立っていた。以前のように遠くから見るのではなく、こうして間近で見ると全然違う。私の想像を余裕で超えてきた。こうして領主の屋敷が立派だと、いかにセレントが稼いでいるかがよくわかる。
しっかし、どうすればいいのやら。どうやって中に入るの、これ。呼び鈴なんてないだろうし、人もいない。もちろん叫ぶのはNG。そんなの清楚じゃない。
「どうかされましたか?」
「ひゃいっ!? あ、えっと」
悩んでいるところを急に声をかけられた。ビクッとしてしまった。
「俺ッ! ーーじゃなくて。初めまして、私はフィアナと言います。門番の方ですか?」
あっぶなっ! 危ない危ない。不意打ちをされたので思わず俺が出てしまった。今の私はもう私。フィアナなんだから、清楚に、清楚に。
おじ様は門番は少し訝しんではいたがさほど問題にもせず、私の質問に答えてくれた。
「はい、そうですが。当屋敷に何か御用ですか?」
「アレンさんとお約束をしたのですが」
「ああ、あなたがそうでしたか。はい、フィアナという名の美人が現れたらお通しするよう言いつけられています。しかし、本当にお綺麗ですね」
「そんな、お恥ずかしいお言葉を」
「いえいえ。本当にお綺麗です」
「ふふ。ありがとうございます。おじ様も素敵ですよ」
「照れますな。ではこちらへどうぞ。アレン様のいる部屋までご案内いたします」
おじ様はもう一人いた若い門番に声をかけると、私を屋敷の前まで連れて行ってくれました。
立派な噴水があり、整えられた庭があり、屋敷のそのものも大きかったがその他も立派です。
屋敷の前に着くと大きな扉をおじ様が押し開けてくれた。重厚な感じがしたが滑らかに開き、年季の入ってるように見えるのですがそれを感じさせません。手入れが行き届いていいます。
おじ様は少し待つようにと私に告げると奥に消えていった。
ですが、はい。どうしてか緊張してしまいます。静謐な屋敷を変に見渡してしまいます。感覚も澄んでいます。
カーペットはふわふわで、地球では感じたことがない感覚です。少し沈みます。高そうです。
まだ、ですかね。
「フィアナ様、お待たせしました」
「ひゃいっ!?」
う、後ろっ!? 
「エルバード。お客様だぞ驚かすんじゃない」
「あ、おじ様」
私が突如背後に出現した謎の男性に驚いていると、門番のおじ様が戻ってきました。おじ様は呆れた様子で背後の男性に声をかけた。
「この方は?」
「失礼いたしました。私、アレン様の専属執事を務めています、エルバードと申します。以後お見知りおきを」
「ということです」
「そうですか。私はフィアナです」
よく見れば、いやよく見なくても、協会で見た時にいた執事さんだった。
「では私はここで。フィアナ様、ごゆっくり」
「ありがとうございました。えっと」
「自己紹介が遅れました。ハーマンです」
「ハーマンさん、ありがとうございました。お仕事頑張ってください」
「フィアナ様。アレン様がお待ちしております。こちらへ」
おじ様ことハーマンさんと別れて、今度はエルバードさんの案内で屋敷の中を進みます。
近くで、まあ後ろからですが、エルバードさんはハーマンさん以上におじ様感が凄い。ハーマンさんは呼称の為におじ様と呼んでいたが、エルバードさんはおじ様と呼ぶべきだと感じます。これからはハーマンさんをおじさん、エルバードさんをおじ様と呼びましょう。もちろん、心の中でですが。
「えっ」
不意に、そんな声が出てしまった。
それは廊下に飾ってあった一枚の絵。大きな額縁に入れられたその絵には、綺麗な女性が描かれていました。
不覚にも目を奪われてしまい立ち止まってしまった私に、エルバードさんがわざわざ説明してくれた。
「この絵は当主様の奥様、アシュレイ・メトカーフ様の絵でございます」
「そう、なんですか。でもこれはーー」
「はい。フィアナ様に酷似しております。正確にはフィアナ様が、ですが」
そう、私が目を奪われた理由。それは絵の女性、アレンの母、アシュレイ・メトカーフさんが私、フィアナに似ていたからだ。この髪も、目鼻立ちも、雰囲気も。多少の差はあれども、アレンの理想だからという理由で誤差はあるけども、似ていた。
アシュレイ・メトカーフさんは柔らかな笑みを浮かべていて、この屋敷のベランダだろうか、庭を背景に描かれてました。
「アシュレイ様はまだアレン様が幼い頃亡くなられました。これは生前、アシュレイ様が描いて欲しいとおっしゃられて描かせたものなのです」
「……」
「余計な口が開きました。アレン様のお部屋へとご案内いたしましょう」
エルバードさんは一瞬だけ寂しそうにしましたが、それだけで、直ぐにもとの渋いおじ様に戻りました。
この世界に来てからというか、初めて聞くような足音が響く廊下を歩きようやくにアレンの部屋についた。エルバードさんはノックをし扉を開けると私を中へと誘導し、自分は失礼します、と扉を再び閉めた。つまり、アレンと二人きり。
アレンは、ソファに寝転がっていた。
「あの」
「どうして昨日は来なかった」
アレンはイラついているようでした。こちらに目も向けませんし、声にも棘を感じます。こういう空気は慣れていません。が、それでも私は言います。精一杯、清楚になって。
「その、ごめんなさい。昨日は熱が出てしまって家から出られなかったんです」
「なにっ!? もう大丈夫なのか!」
態度は一変。がばっと起き上がると私の方へとズカズカと歩いてきた。私の両肩を強く掴むと血相を変えて心配の言葉を言ってきました。
「あの、大丈夫ですから。離してもらってもいいですか?」
「ッ! すまない。いや、熱があったのなら仕方ない。今回は不問としよう」
「ふふふ。ありがとうございます」
私がお礼を言うとアレンはバツの悪い顔をした。そこで私は助け船を出す。これ以上いじめるのもかわいそう。
「お詫びに、じゃないですけど。お礼にパイを焼いてきたので、一緒に食べませんか?」
「そうか。いい匂いはその籠の中にあったパイだったか。よし、エルバードお茶だ」
「既に」
「ひゃっ!?」
え?  いつ? いったいいつからいたのエルバードさん。私を部屋に入れた後確かに外に出て行ったよね? それに、いい香りのするお茶もスタンバイ済みですし。
今日、この屋敷にきてからもう三回目。脅かしスキルが必須なの? この屋敷の人達は。
「何をそんなに驚いている。執事なら当たり前だろう」
「もちろんでございます。一流の執事たる者、神出鬼没の技能は必須でございます」
「そ、そうなんですか」
何その常識。異世界だから? 異世界の執事さんは神出鬼没が必須なの? まあ、ファンタジーな世界だし。うん、納得! 
「ではパイをお預かりいたします」
「あ、ありがとうございます」
エルバードさんに籠ごと渡した。すると直ぐに皿がどこからと現れ、真っ白なそれに私が作ったパイを乗せた。
パイはフルーツパイ。りんご、みたい果物や昨日見繕った他の果物を乗せたものだ。試しにリディアさんに食べてもらったが評価は良好。自分でも食べたがなかなか美味しいかった。
「おお、美味そうだ」
「はい。これは素晴らしい」
「ありがとうございます。お菓子作るの好きなんです」
ここで、料理が得意だという女の子らしさをアピールする。料理が得意な女性を嫌いな男はまあ少数派だろう。だがこのままだと、得意だから作ってきたくらいにしか思われない。数ある中の一つ、という普遍的なものに。
だからここで一言付け足しましょう。
「誰かに食べてもらうのは、初めてなので緊張します」
そう、まさに「あなたのためだけに」という奴だ。
「なら堪能させていただこう」
私の思惑通り、アレンは見るからに雰囲気を和らげ、フルーツパイを食していった。
あ、これ美味しい。
翌日。私はメトカーフ家屋敷の門前に立っていた。以前のように遠くから見るのではなく、こうして間近で見ると全然違う。私の想像を余裕で超えてきた。こうして領主の屋敷が立派だと、いかにセレントが稼いでいるかがよくわかる。
しっかし、どうすればいいのやら。どうやって中に入るの、これ。呼び鈴なんてないだろうし、人もいない。もちろん叫ぶのはNG。そんなの清楚じゃない。
「どうかされましたか?」
「ひゃいっ!? あ、えっと」
悩んでいるところを急に声をかけられた。ビクッとしてしまった。
「俺ッ! ーーじゃなくて。初めまして、私はフィアナと言います。門番の方ですか?」
あっぶなっ! 危ない危ない。不意打ちをされたので思わず俺が出てしまった。今の私はもう私。フィアナなんだから、清楚に、清楚に。
おじ様は門番は少し訝しんではいたがさほど問題にもせず、私の質問に答えてくれた。
「はい、そうですが。当屋敷に何か御用ですか?」
「アレンさんとお約束をしたのですが」
「ああ、あなたがそうでしたか。はい、フィアナという名の美人が現れたらお通しするよう言いつけられています。しかし、本当にお綺麗ですね」
「そんな、お恥ずかしいお言葉を」
「いえいえ。本当にお綺麗です」
「ふふ。ありがとうございます。おじ様も素敵ですよ」
「照れますな。ではこちらへどうぞ。アレン様のいる部屋までご案内いたします」
おじ様はもう一人いた若い門番に声をかけると、私を屋敷の前まで連れて行ってくれました。
立派な噴水があり、整えられた庭があり、屋敷のそのものも大きかったがその他も立派です。
屋敷の前に着くと大きな扉をおじ様が押し開けてくれた。重厚な感じがしたが滑らかに開き、年季の入ってるように見えるのですがそれを感じさせません。手入れが行き届いていいます。
おじ様は少し待つようにと私に告げると奥に消えていった。
ですが、はい。どうしてか緊張してしまいます。静謐な屋敷を変に見渡してしまいます。感覚も澄んでいます。
カーペットはふわふわで、地球では感じたことがない感覚です。少し沈みます。高そうです。
まだ、ですかね。
「フィアナ様、お待たせしました」
「ひゃいっ!?」
う、後ろっ!? 
「エルバード。お客様だぞ驚かすんじゃない」
「あ、おじ様」
私が突如背後に出現した謎の男性に驚いていると、門番のおじ様が戻ってきました。おじ様は呆れた様子で背後の男性に声をかけた。
「この方は?」
「失礼いたしました。私、アレン様の専属執事を務めています、エルバードと申します。以後お見知りおきを」
「ということです」
「そうですか。私はフィアナです」
よく見れば、いやよく見なくても、協会で見た時にいた執事さんだった。
「では私はここで。フィアナ様、ごゆっくり」
「ありがとうございました。えっと」
「自己紹介が遅れました。ハーマンです」
「ハーマンさん、ありがとうございました。お仕事頑張ってください」
「フィアナ様。アレン様がお待ちしております。こちらへ」
おじ様ことハーマンさんと別れて、今度はエルバードさんの案内で屋敷の中を進みます。
近くで、まあ後ろからですが、エルバードさんはハーマンさん以上におじ様感が凄い。ハーマンさんは呼称の為におじ様と呼んでいたが、エルバードさんはおじ様と呼ぶべきだと感じます。これからはハーマンさんをおじさん、エルバードさんをおじ様と呼びましょう。もちろん、心の中でですが。
「えっ」
不意に、そんな声が出てしまった。
それは廊下に飾ってあった一枚の絵。大きな額縁に入れられたその絵には、綺麗な女性が描かれていました。
不覚にも目を奪われてしまい立ち止まってしまった私に、エルバードさんがわざわざ説明してくれた。
「この絵は当主様の奥様、アシュレイ・メトカーフ様の絵でございます」
「そう、なんですか。でもこれはーー」
「はい。フィアナ様に酷似しております。正確にはフィアナ様が、ですが」
そう、私が目を奪われた理由。それは絵の女性、アレンの母、アシュレイ・メトカーフさんが私、フィアナに似ていたからだ。この髪も、目鼻立ちも、雰囲気も。多少の差はあれども、アレンの理想だからという理由で誤差はあるけども、似ていた。
アシュレイ・メトカーフさんは柔らかな笑みを浮かべていて、この屋敷のベランダだろうか、庭を背景に描かれてました。
「アシュレイ様はまだアレン様が幼い頃亡くなられました。これは生前、アシュレイ様が描いて欲しいとおっしゃられて描かせたものなのです」
「……」
「余計な口が開きました。アレン様のお部屋へとご案内いたしましょう」
エルバードさんは一瞬だけ寂しそうにしましたが、それだけで、直ぐにもとの渋いおじ様に戻りました。
この世界に来てからというか、初めて聞くような足音が響く廊下を歩きようやくにアレンの部屋についた。エルバードさんはノックをし扉を開けると私を中へと誘導し、自分は失礼します、と扉を再び閉めた。つまり、アレンと二人きり。
アレンは、ソファに寝転がっていた。
「あの」
「どうして昨日は来なかった」
アレンはイラついているようでした。こちらに目も向けませんし、声にも棘を感じます。こういう空気は慣れていません。が、それでも私は言います。精一杯、清楚になって。
「その、ごめんなさい。昨日は熱が出てしまって家から出られなかったんです」
「なにっ!? もう大丈夫なのか!」
態度は一変。がばっと起き上がると私の方へとズカズカと歩いてきた。私の両肩を強く掴むと血相を変えて心配の言葉を言ってきました。
「あの、大丈夫ですから。離してもらってもいいですか?」
「ッ! すまない。いや、熱があったのなら仕方ない。今回は不問としよう」
「ふふふ。ありがとうございます」
私がお礼を言うとアレンはバツの悪い顔をした。そこで私は助け船を出す。これ以上いじめるのもかわいそう。
「お詫びに、じゃないですけど。お礼にパイを焼いてきたので、一緒に食べませんか?」
「そうか。いい匂いはその籠の中にあったパイだったか。よし、エルバードお茶だ」
「既に」
「ひゃっ!?」
え?  いつ? いったいいつからいたのエルバードさん。私を部屋に入れた後確かに外に出て行ったよね? それに、いい香りのするお茶もスタンバイ済みですし。
今日、この屋敷にきてからもう三回目。脅かしスキルが必須なの? この屋敷の人達は。
「何をそんなに驚いている。執事なら当たり前だろう」
「もちろんでございます。一流の執事たる者、神出鬼没の技能は必須でございます」
「そ、そうなんですか」
何その常識。異世界だから? 異世界の執事さんは神出鬼没が必須なの? まあ、ファンタジーな世界だし。うん、納得! 
「ではパイをお預かりいたします」
「あ、ありがとうございます」
エルバードさんに籠ごと渡した。すると直ぐに皿がどこからと現れ、真っ白なそれに私が作ったパイを乗せた。
パイはフルーツパイ。りんご、みたい果物や昨日見繕った他の果物を乗せたものだ。試しにリディアさんに食べてもらったが評価は良好。自分でも食べたがなかなか美味しいかった。
「おお、美味そうだ」
「はい。これは素晴らしい」
「ありがとうございます。お菓子作るの好きなんです」
ここで、料理が得意だという女の子らしさをアピールする。料理が得意な女性を嫌いな男はまあ少数派だろう。だがこのままだと、得意だから作ってきたくらいにしか思われない。数ある中の一つ、という普遍的なものに。
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