虫のこえ
プロローグ
何も覚えていない。
僕は、僕だけは何も覚えていない。生きていた頃の記憶は、遥か昔だったか、昨日の事だったか、僕が誰で、どんな人生を過ごし、いつ死に、そしていつここに現れたのか。僕だけが知らない。彼らは楽しそうに自分の生きていた頃の事を話し合う。やれ生前は町で一番モテただの、命がけでエベレストに登っただの、コンクールで優勝しただの、それぞれがとっておきのエピソードを持っている。そんな彼らを僕はブランコに乗り眺めているだけだった。また今日も同じような夜を過ごす。僕は深くため息をつき、半分に欠けている月を見上げ、朝が来るのを待った。
暗闇が支配する公園に、小さな光がユラユラ揺れていた。
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コメント
マウンテン斎藤
初めまして。マウンテン斎藤です。
この小説は私の処女作です。手探りで書いていきますので、至らぬ点が多々あると思いますが、ご了承ください。下書きが出来次第、随時更新していきます。
またアドバイスや添削などもwelcomeです。ぜひコメントにお書きください。