おっぱいシンドローム
おっぱいシンドローム
女学生、秋篠千鶴は同級生である柊木夢未に土下座していた。
挨拶のために頭を下げたわけではない。
ほんとうに、土下座しているのである。
ここは校舎裏なので人が誰も来ない。だから千鶴の土下座を見ている人は夢未以外にいない。
だが。
それを見ている夢未本人はどうすればいいのか――まったくもって理解できなかった。
「ね、ねえ……顔をあげて?」
優しい声で、夢未は言った。こんな状態においても不審がらないのはもはや性格という問題で片付けにくい。
千鶴はそのままの姿勢で言った。
「おっぱいを揉ませてください……!」
「いや、だから……それが理解できないんですって。だから、ともかく顔をあげてください」
「揉ませてくれるんですか!?」
「なんでそういう結論に至るんですか!! まだ決めてません。だから、この光景を見られると少々私も辛いので……だから、顔をあげてくださいと言っているんです」
「ええ、いいですよ! あなたがおっぱいを揉ませてくれたら!」
「だからどーしてそうなるんだっ!!」
夢未は大声をあげて言った。そんなの、彼女のキャラではないがどうせ誰も来ていないしそんなものを見る人間もいない。
千鶴は、涙を流しながら言った。
「私は……おっぱいを揉まないと死んじゃう、『おっぱいシンドローム』略してOPなんです……」
おっぱいシンドローム、とは――。
おっぱいを揉むことで女性ホルモンが分泌され、元気になるということだ――!
「……って、めちゃくちゃ簡潔ですね!? まるでどこにでも発表されていない、学術的に認められてないような感じ! イグノーベル賞もさじを投げますよ?!」
「イグノーベル賞狙ってないし……。私はただ目の前のおっぱいをさわりたいだけなのよ……ふふふ……。そこにおっぱいがあるからおっぱいを揉みたいのよ……あなたには分からないでしょうね!」
「そんな聞こえているフリしたってダメです! というかもうネタ古いし!」
「ス○ップ細胞は」
「おいやめろ」
こほん、と千鶴が咳払いする。
「まあ、そんなことはさておき。おっぱいを揉ませてくれないかしら!」
「だからどうしてそうなるんですかッ!!」
「いいじゃない、減るものじゃないし」
「いや、あのですね……なんというか……」
「いいでしょ、別に減るものじゃないし」
「言い方変えただけでニュアンス変わってないですよ?! あと揉ませませんよ!?」
「ケチ」
「なんか胸が痛い……」
「胸が痛い?! 揉みましょうか? 揉めば胸の痛みが治るらしいわよ!」
「そんなの聞いたことないです」
きっぱり断る夢未。
「ちぇっ」
「明らかに舌打ちした!?」
「だって揉ませてくれないんだもの」
「だって、って……」
明らかに駄々だ。だから彼女は我慢していればいい。無視していればいい。ただそれだけだった。
でも彼女は違った。
「ほんとうに……揉むだけでいいの?」
「ええ……!」
目をキラキラ輝かせている千鶴。
それを見て若干引いてしまうが、はっきり言ってこの状況を打開するにはこれしかない――夢未はそうおもった。
「一回だけ……だからね?」
コクコクと頷く千鶴。よく見るとよだれを垂らしている。
夢未はシャツのボタンを外し、ブラジャーを顕にした。そしてそれを千鶴につきつける。
「はい……どうぞ」
目を瞑って、千鶴が揉むのを待つ。
むに、と感触が伝わったのはそれから一秒後のことだった。ゆっくりと優しく揉みあげていく。しかもそれにはバランスがある。法則がある。常に揉むのではなくて、三回揉んで一回休み。まるで楽譜に書かれていて、一回音符が来るごとにもんでいるのではないか――そんな他人から見れば意味不明なことを考えてしまうくらいに。
気持ちいい。
気がつけば彼女はそんなことを思うようになっていた。
他人に、しかも同性に胸を揉まれて気持ちいいと思う。その気持ちに背徳感すら覚えた。しかし、そんなことを気にせずに千鶴は揉んでいく。それが夢未にとってとても気持ちよかった。息が荒くなり、身体が火照ってくる。それでも千鶴は無視している。無視して一目散に胸を揉み続けている。
十分ほど揉み続けたあたりで、千鶴は唐突にそれを止めた。夢未の身体は火照りが止まらなかった。息も荒く、汗をかいて、艶美な雰囲気も醸し出している。
千鶴は夢未の耳元で囁いた。
「教室で続きをしましょう。ここじゃ、見えちゃうわ」
その言葉に夢未は頷くことしか出来なかった。
挨拶のために頭を下げたわけではない。
ほんとうに、土下座しているのである。
ここは校舎裏なので人が誰も来ない。だから千鶴の土下座を見ている人は夢未以外にいない。
だが。
それを見ている夢未本人はどうすればいいのか――まったくもって理解できなかった。
「ね、ねえ……顔をあげて?」
優しい声で、夢未は言った。こんな状態においても不審がらないのはもはや性格という問題で片付けにくい。
千鶴はそのままの姿勢で言った。
「おっぱいを揉ませてください……!」
「いや、だから……それが理解できないんですって。だから、ともかく顔をあげてください」
「揉ませてくれるんですか!?」
「なんでそういう結論に至るんですか!! まだ決めてません。だから、この光景を見られると少々私も辛いので……だから、顔をあげてくださいと言っているんです」
「ええ、いいですよ! あなたがおっぱいを揉ませてくれたら!」
「だからどーしてそうなるんだっ!!」
夢未は大声をあげて言った。そんなの、彼女のキャラではないがどうせ誰も来ていないしそんなものを見る人間もいない。
千鶴は、涙を流しながら言った。
「私は……おっぱいを揉まないと死んじゃう、『おっぱいシンドローム』略してOPなんです……」
おっぱいシンドローム、とは――。
おっぱいを揉むことで女性ホルモンが分泌され、元気になるということだ――!
「……って、めちゃくちゃ簡潔ですね!? まるでどこにでも発表されていない、学術的に認められてないような感じ! イグノーベル賞もさじを投げますよ?!」
「イグノーベル賞狙ってないし……。私はただ目の前のおっぱいをさわりたいだけなのよ……ふふふ……。そこにおっぱいがあるからおっぱいを揉みたいのよ……あなたには分からないでしょうね!」
「そんな聞こえているフリしたってダメです! というかもうネタ古いし!」
「ス○ップ細胞は」
「おいやめろ」
こほん、と千鶴が咳払いする。
「まあ、そんなことはさておき。おっぱいを揉ませてくれないかしら!」
「だからどうしてそうなるんですかッ!!」
「いいじゃない、減るものじゃないし」
「いや、あのですね……なんというか……」
「いいでしょ、別に減るものじゃないし」
「言い方変えただけでニュアンス変わってないですよ?! あと揉ませませんよ!?」
「ケチ」
「なんか胸が痛い……」
「胸が痛い?! 揉みましょうか? 揉めば胸の痛みが治るらしいわよ!」
「そんなの聞いたことないです」
きっぱり断る夢未。
「ちぇっ」
「明らかに舌打ちした!?」
「だって揉ませてくれないんだもの」
「だって、って……」
明らかに駄々だ。だから彼女は我慢していればいい。無視していればいい。ただそれだけだった。
でも彼女は違った。
「ほんとうに……揉むだけでいいの?」
「ええ……!」
目をキラキラ輝かせている千鶴。
それを見て若干引いてしまうが、はっきり言ってこの状況を打開するにはこれしかない――夢未はそうおもった。
「一回だけ……だからね?」
コクコクと頷く千鶴。よく見るとよだれを垂らしている。
夢未はシャツのボタンを外し、ブラジャーを顕にした。そしてそれを千鶴につきつける。
「はい……どうぞ」
目を瞑って、千鶴が揉むのを待つ。
むに、と感触が伝わったのはそれから一秒後のことだった。ゆっくりと優しく揉みあげていく。しかもそれにはバランスがある。法則がある。常に揉むのではなくて、三回揉んで一回休み。まるで楽譜に書かれていて、一回音符が来るごとにもんでいるのではないか――そんな他人から見れば意味不明なことを考えてしまうくらいに。
気持ちいい。
気がつけば彼女はそんなことを思うようになっていた。
他人に、しかも同性に胸を揉まれて気持ちいいと思う。その気持ちに背徳感すら覚えた。しかし、そんなことを気にせずに千鶴は揉んでいく。それが夢未にとってとても気持ちよかった。息が荒くなり、身体が火照ってくる。それでも千鶴は無視している。無視して一目散に胸を揉み続けている。
十分ほど揉み続けたあたりで、千鶴は唐突にそれを止めた。夢未の身体は火照りが止まらなかった。息も荒く、汗をかいて、艶美な雰囲気も醸し出している。
千鶴は夢未の耳元で囁いた。
「教室で続きをしましょう。ここじゃ、見えちゃうわ」
その言葉に夢未は頷くことしか出来なかった。
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コメント
たかし
何か、少しイケナイモノを、
垣間見られていて、読み進めてしまいました
ノベルバユーザー601400
気になって読んでしまったねー
ノベルバユーザー601496
ドキドキしながらもおっぱいみたい衝動に駆られて逡巡しながらも
ついおっぱいしてしまう心の葛藤と欲望への正直さ。
とっても共感できます。