転生先は異世界学園

猫宮&宮藤みほ

2章四話失踪

「はい、これがあなたの武器ですよ」
といいながらユキは腕に抱えた
細長い包みを凪咲へと手渡す。
現在凪咲はみほと一緒に鍛冶屋へと
来ていた。
「ユキちゃんありがとうね」
と言って凪咲は包みを受け取った。
「凪咲さんの武器は長いのね?」
とみほが問いかけるとユキは頷き
「正直いって今回のは妖刀クラスに
分類されるレベルのが出来たのですよ」
というとユキは包みに少しだけ隙間を作る
すると途端にその場に
押し潰されそうな空気が満ち始める。
「あ…あぁ」
と凪咲が呻き始めた。
みほとユキがそちらへ視線を向けると
凪咲の影から幾多もの触手のようなものが
伸び凪咲を包み込もうとしていた。
「!?ユキちゃんしまって」
とみほが言うと同時にユキは包みの隙間を
無くした。
それと同時に凪咲を包もうとしていた
触手は消え去った。
「凪咲さん!大丈夫?」
とみほが声をかけるが凪咲の目は
虚ろで光が失われていた。
「ちょっと凪咲さん!!」
といいながらみほが体を揺さぶると
突然凪咲はハッとしそれと同時に目にも
光が灯る。
「所長、どうかしました?」
と言う凪咲の顔は先程までの事を
覚えていないようだった。
「えっと、大丈夫?」
と言うみほに対し凪咲は首を傾げながら
こくりと頷いた。
その時カラランというベルの音と共に
ドアが開かれた。
みほがそちらを見ると入ってきたのは
パーカのフードを被った白い髪の少年だった。
そしてその少年を見た瞬間にみほは駆け出し
そのまま抱き着いた。
「トワ!!」
とみほに抱き着かれ名前を呼ばれた少年は
みほの体を抱きしめ返すとにっこりと笑い
「みほ、久しぶり」
とそういった。
そしてユキに起こされた凪咲は
そんな二人の様子に状況が理解できず
「どういう状況?」
とそうつぶやいた。
そしてそんな凪咲にユキはこっそり
「トワさんはみほさんの彼氏さんです」
とそう耳打ちした。
それに対し凪咲はただ一言
「そうなんですか」
ということしかできなかった。
「えっととりあえず・・・」
といい凪咲は立ち上がると
「とりあえず店の外で待ってようかな」
と言ってそのままドアを開けてそのまま外へと出た。

鍛冶屋近くの路地裏にて
鍛冶屋のすぐ近くの路地に一つのバンが止まっていた。
そのバンの運転席に人の姿はなくその代わりに
ハンドルにはモニターにアンテナのついた装置が
取り付けられていた。
そして助手席にはセーターにジーンズといった格好
女性が端末に目を通していた。
そのとき後部座席から声がかけられた。
「ハカセ、ターゲットが出てきました。」
その声にハカセと呼ばれた女性が顔を上げると
後部座席に座っている少女の言う通り鍛冶屋から
目的の少女が出てきたところだった。
「今ならいけそうね、ターゲットを確保して」
とハカセがそういうと少女はうなずきバンの扉を開けて
ターゲットの少女へと接近する。

「ふう、みほさんに彼氏がいたなんてねえ」
と凪咲がそうつぶやき溜息を吐くと突然左のほうからゴトッ
という音が聞こえた。
凪咲がそちらを見ると猫が道に置かれていた植木鉢を
倒していた。
凪咲が植木鉢を直そうと近づくと突然後ろから
体を拘束される。
「!?」
突然のことに凪咲は暴れるが拘束は緩むどころか
強くなっていく。
「暴れないでください」
と不意にそんな声が掛けられる。
「あなたは・・んぅ!?」
凪咲が何かを言う前に口元にハンカチが押し当てられる。
そのハンカチからは甘い匂いがし凪咲の体からは
だんだんと力が失われ数秒後には凪咲の体からは
完全に力が失われ凪咲の意識は途切れた。

バンの扉が開き少女がターゲットの少女を肩に担ぎ入ってきた。
「お疲れ様さて、宮藤みほが鍛冶屋から出てくる前に
退散しないとね」
と言ってハカセはハンドルのモニターを操作する。
途端に車のエンジンがかかり動き出し
そのまま道路を進んで街へと消えていった。
そしてそれから少したってから鍛冶屋の扉が開き
中からはみほとトワが出てくる。
しかしそこには当然ながら凪咲の姿はなく。
そこには倒れた植木鉢と一匹の白猫が丸まって眠っている
のだった。

コメント

コメントを書く

「学園」の人気作品

書籍化作品