虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

企業戦士 中篇



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≪PvPを『コクライチョウ』より申し込まれました≫
《ルールは『サドンデス』です》

     申請を了承しますか?
     〔YES〕/〔NO〕
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「はい〔YES〕っと……」

「どっちですか?」

 響きのせいか、少女たちにツッコませてしまったようだ。
 というか、近づいてから思ったが……どこかで見たことがある気がするんだよな。

「あひゃひゃひゃひゃひゃっ! おいおい、バカかよこのおっさん! サドンデスルールに了承してやがる!」「マ、マジかよ……死刑確定!」「俺たちに喧嘩を売ったことを後悔させてやんよ!」

 なんだか少年たち──不良でいいか──が盛り上がっているな。
 そんなにサドンデスルールでやることに問題があるのだろうか?

《ルール無用がルールとなりますので。制限時間は無制限、相手が降参するかHPが0になるまで結界に囲われ脱出できません。この場合の死亡は、死に戻りに含まれません》

「……俺が中で死んだらどうなる?」

《【仙王】との闘いで、旦那様は似たような状況に陥ってしまいました。そのときの反省から、『生者』の死に戻りは通常とは異なるものとなっていきました……ですので、問題はないかと》

「いや、知らないんだけど!」

 おっと、つい声が漏れて女の子たちを驚かせてしまった。
 周りの客や不良たちも、『発狂か?』とか言ってニヤつき始めている。

「い、いえ、何でもありません。それより、速く始めませんか? 貴方たちのような方々に時間を使うのも、無駄に感じてきました」

「……ざっけんなよ。上等だ! テメェを血祭りにあげて、こんなことをしでかす馬鹿を二度と出さねぇようにしてやるよ」

「…………バカはそちらでしょう? 女性が嫌がっているのにも関わらず、このような振る舞いまで。貴方がたを好き好む者など、この場には居ませんよ」

 最近の若者は煽りに弱いようだ。
 というか、この程度で反応していては社会に出た時にやっていけないだろう。

 そんなこんなで憤怒の形相でこちらを睨み付ける男たちは、了承したことで画面が切り替わった申請画面を操作し、俺を隔離するように結界を生みだして逃げられなくする。

「四対一だ。テメェに勝ち目はねぇよ」

「何人集まろうと雑魚は雑魚。知っていますか──烏合の衆という言葉を?」

「……ステータス1のくせに、何言ってやがるんだよ!」


≪PvP──スタート!≫


 まあ、そんなこんなで戦闘開始です。


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