虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
バトルロイヤル その07
その日、世界は終わりを迎える。
万雷の火災と共に招かれた天からの使徒、行われるのは人類の選別。
異星より現れし者たちを間引き、虐げられる者たちを救い上げる。
抗おうとは誰も思えなかった……その末路が至る所に転がっていたのだから。
──これがのちに、『滅火の一日』と呼ばれる惨劇の幕閉じである。
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拝啓、いかがお過ごしでしょうか?
私『巧天』or『死天』は、この度デモンストレーションを行おうと思います。
具体的には、安全地帯以外のすべてを滅ぼし根絶やしにする予定です。
日の出と共に、すべてが始まります。
皆さま、先の件……よくお考えを
敬具
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送ったメッセージを分かりやすく纏めるのであれば、こんな感じだ。
社会人らしく文章は取り繕ったため、もう少し長いものと実際はなっているな。
それに加えて家族には、もっと簡単に──優勝しちゃうよ、お父さん……みたいな感じで書いてあるぞ。
「ずいぶんとまあ、犯罪者っぽいことを書いてあるものだ。たとえ捕まっても、すぐに脱獄できるけどさ」
《一度行ってみてはどうですか? 監獄惑星はまだ情報が足りておりません》
「そりゃそうだろう、情報の開示が禁止されているような場所なんだから」
リアルで直接犯罪者プレイヤーに情報を訊ねるぐらいしか、そこについて知れる方法はないだろう。
いくらタクマでも、それはまだ難しいだろうし……アイツと再会していれば、話別なんだろうけどさ。
閑話休題
日の出と予告したが、予告した側はした側で苦労が多々ある。
なぜならその時間までにすべてを終わらせなければいけないし、何より安全地帯の特定とそこへの攻撃禁止などのプログラムを打ち込まなければならない。
《旦那様、完了いたしました》
「おお、ありがとう」
《安全地帯はマップでの確認と結界の魔力選別で行います。ですので、個人の魔道具による防衛も可能としました》
「凄いな!」
俺には無かった発想だ。
そうだよな、やっぱり安全地帯が遠くてもセーフとなる方法を考えておくべきだった。
「あとはそうだな……鑑定スキルの色分けも使って、俺より少しマシぐらいのプレイヤーは見逃そう。初心者なのに死にかける思い出なんて作ったら、絶対にトラウマになる」
《畏まりました》
もう少し考え、俺たちは次の日の朝までにどうにか支度を整えた。
さぁ、祭りの始まりだ!
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