虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
結果報告
「――と、いうことがあったな」
「そうかそうか……そんなことがあったんだな――あ、すまないがお代わりを頼む」
「あいよ! ちょっと待ってな……」
ダンジョン攻略後、コアの解析もある程度済んだので報告を行う。
連絡を取る術は確保してあったので、すぐに会うことができた。
「『生者』、最後にドラゴンが出たというのは本当か?」
「疑ってるなら、今魔石を出そうか? 体の方はダンジョンに溶けて消えたが、魔石の方はちゃんと確保してあるぞ」
「そうだな、折角だし見せてもらおうか」
「あいよ――ほいっ」
ベビードラゴンがドロップした魔石を取り出して、『騎士王』に放り投げる。
何色にも染まっていない透明色の魔石。
それを受け取った『騎士王』は……何やら驚いているようで――。
「……これを、ダンジョンで取れたのか?」
「ん? そうなるな。小さいサイズとはいえドラゴンだし、それが普通じゃないのか?」
「ドラゴンだからこそ、問題なんだ。鱗は何色だった」
「確か……白っぽかったな。いや、白というか乳白色というか透明というか……」
「! そうか、道理でか」
一人でうんうんと頷く『騎士王』。
俺の今までの経験から予想すると、このことに関して質問するのは藪蛇だろう。
ドラゴンの色と魔石の色が同じ色になるというのなら、白っぽいドラゴンが実は凄い存在だった……みたいなオチか?
「『生者』、この魔石を――」
「先に言っておくが、始めに約束した通り手に入れた物は全部俺の物だ。欲しければ自分で行ってこい」
「む、イイではないか。お前なら、もう一度ダンジョンを踏破できるだろう」
「それはこっちのセリフだ。お前らがその気になれば、あのダンジョンぐらい余裕だろ」
「……手はできるだけ正当な方がダンジョンへの影響も少ないのだ。普通に攻略できる者がいるのなら、それに越したことはない」
つまり、ルールを破ると何か悪影響があるということか。
水責めとか貫通とかも考えていたが……次にダンジョンに行く機会があっても、それはやらないようにしよう。
「ま、何はともあれダンジョンの攻略は済ませた。活動の方もこっちの切り札を使って止めといたから、もうあのダンジョンに関しては溢れ出すことはないだろう。
それじゃあ、俺はもう行くぞ。今回のダンジョン攻略で色々とやることが増えたかな」
「あ、ああ……って、『生者』! それじゃあ私たちがあそこに行っても無駄足じゃないか! どういうことか説明しろ!」
後ろから聞こえてくるクレームをスルーして、俺はアイプスルへと帰還した。
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