虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

情報交換



「それで、みんなはどんな感じなんだ?」

 会議、とまではいかないが、情報交換をしたくなった。
 なので、食事後すぐにこれを訊くことにした……早く言わないと、みんなログインしてしまうからな。

「あら? アナタ、会議でもするの?」

「いや、ただ知りたくてな。俺って、まだ他のプレイヤーに一度も遭遇してないし……いつの間にかインフラ整備は整ったから不便は無いが、普通のプレイをしているみんなの話が聞きたくなったんだよ」

「父さん、どういう状況になればそんなピーキーな環境に放り出されんだよ」

「お父さん。お父さんだけ実は別のゲームをやっている……なんて落ちはないわよね?」

「まあまあ二人共、ツクルさんが苦労しているのはいつものことよ」

 翔、自分の信念を曲げないで交渉をするとそうなるぞ。
 何でも一度は言ってみることが大切だ。
 舞、そこに関しては一緒に確認したじゃないか。
 というか、一度アーションに入っているEHOを確認しただろ?
 瑠璃、そうだな~。
 いっつも普通のゲームでも絡まれてたからな……主に瑠璃関係で。

「と、とにかく聞かせてくれよ。ちなみに、お父さんはホ°イホ°イカフ°セルが作れるようになったぞ」

『なんで!?』

 多分、魔法が使える人たちはそれぐらい簡単に作れるんじゃないのか?
 ほら、確か空間を操る魔法もあるって聞いたし、はっちゃけたお父さんでもできることだ……一流の職人なら誰でも可能だろ。

 というか、普通の奴は“インベントリ”で充分だしな。
 俺もカプセルをケースに纏めて仕舞っているし、本当に便利だよな。
 あの世界にインベントリがあったら、カプセルの発明も無かったのか?
 いや、小物しか入らないしなー。
 うん、結局はできていたのか。

「父さん、ついに生産チートかよ」

「いつかするとは思ってたけど……」

「結構速かったわね~」

 あれ? みんなの感想がおかしい。
 俺って、周りからそんなチート野郎に見られてたの?

「いや、お父さんにそんな物は無いからな。
 最初に作ったのだって椅子だぞ、椅子」

「座るだけで全回復する椅子?」

「……そんな機能は付いてない。本当にただシンプルに木の椅子だよ」

 そんな椅子、DIYで作れたら怖いよ。
 でも、自動回復機能か……欲しいな。
 今はHPが1しか無いから要らないけど。

「ほ、ほら、みんなの話も聞かせてくれよ。俺の話はそんなに面白くないからさ」

「父さんの話、結構面白いんだけどな。ま、いっか。なら、俺から話すよ」

 話を元に戻すと、前回の会議のように翔が一番に名乗り出た。
 さて、翔はどんな冒険をしてるのかな?


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