邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜
第三百二十話 翼
8章 復活儀式
「……さて、そんなわけで、クトゥルフ様の封印、その五つのうちのひとつを解くことに成功したわけですが……」
『どうやら肉体の部位ごとに封印してたっぽいね。今翼が復活した』
『あとは両手、両足、胴、頭と言ったところか』
「でもこれ、一部復活したところで意味無くないですか?」
『フッフッフ……それが大ありなのだよ!』
『そのとおりだ。というのも、我々クトゥルフ神話の邪神は基本的に加護という形で人間達に力を与えるが、もっと踏み込むと、邪神の肉体そのものを人間の体に組み込むことが出来る』
『つまり、君に翼をあげようってことさ!』
一部でも自分が解放されたことで嬉しいのか解放された翼をはためかせながらクトゥルフはそんなことを言い放った。
ちなみに近くではダゴンやハイドラを初めとした深きものども達が五体投地して祈りを捧げている。
不老の深きものどもは体の一部に過ぎないとはいえ数万年ぶりに主の威光をその五体に刻みつけられたことに歓喜し、滂沱の涙を流す者もいて、海底神殿は混沌に突入していた。
「そうなのですか」
『そうそう、そんじゃ、あげるね~』
ほんなわけでシグレの背中部分、肩甲骨の部分が軽く白い光に包まれたと思うと、次の瞬間にはこじんまりとした手のひら大の緑色の翼がシグレの背にはついていた。
「…………?こんなものなんですか?随分チンケな翼ですが」
『ウグッ……言うねぇ君、でもまあ安心したまえ、これがこの翼の本当の姿だ!』
フフんと擬音が聞こえそうな声でクトゥルフがそう言うと、デフォルメされたような翼がいきなりメキメキと音を立てて変形し始めた。
光を吸い込むような美しい漆黒に染まる骨が緑色の皮膚と鱗を貫通して外へと伸び、緑色の皮膚がそれを包み込むように蠢き、骨の間に皮膜を張る。
次の瞬間には、てらてらと光を反射し、空を切る緑色の翼でルルイエの中を飛ぶシグレの姿があった。
『邪神の翼の性能はどうだ?』
「……とてもいいです。さすがはクトゥルフ様」
『でしょでしょ?流石は僕だよね!』
空中全力疾走からの急停止や錐揉み回転など、人間では不可能なこともやってのけ、シグレは、新たに手に入れた邪神の翼を完璧に使いこなしていた。
誤字脱字や作品への意見等ございましたらコメントしていただければ幸いです
(誤字脱字がありましたら、何話かを明記した上で修正点をコメントしていただければ幸いです)
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『どうやら肉体の部位ごとに封印してたっぽいね。今翼が復活した』
『あとは両手、両足、胴、頭と言ったところか』
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『フッフッフ……それが大ありなのだよ!』
『そのとおりだ。というのも、我々クトゥルフ神話の邪神は基本的に加護という形で人間達に力を与えるが、もっと踏み込むと、邪神の肉体そのものを人間の体に組み込むことが出来る』
『つまり、君に翼をあげようってことさ!』
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ちなみに近くではダゴンやハイドラを初めとした深きものども達が五体投地して祈りを捧げている。
不老の深きものどもは体の一部に過ぎないとはいえ数万年ぶりに主の威光をその五体に刻みつけられたことに歓喜し、滂沱の涙を流す者もいて、海底神殿は混沌に突入していた。
「そうなのですか」
『そうそう、そんじゃ、あげるね~』
ほんなわけでシグレの背中部分、肩甲骨の部分が軽く白い光に包まれたと思うと、次の瞬間にはこじんまりとした手のひら大の緑色の翼がシグレの背にはついていた。
「…………?こんなものなんですか?随分チンケな翼ですが」
『ウグッ……言うねぇ君、でもまあ安心したまえ、これがこの翼の本当の姿だ!』
フフんと擬音が聞こえそうな声でクトゥルフがそう言うと、デフォルメされたような翼がいきなりメキメキと音を立てて変形し始めた。
光を吸い込むような美しい漆黒に染まる骨が緑色の皮膚と鱗を貫通して外へと伸び、緑色の皮膚がそれを包み込むように蠢き、骨の間に皮膜を張る。
次の瞬間には、てらてらと光を反射し、空を切る緑色の翼でルルイエの中を飛ぶシグレの姿があった。
『邪神の翼の性能はどうだ?』
「……とてもいいです。さすがはクトゥルフ様」
『でしょでしょ?流石は僕だよね!』
空中全力疾走からの急停止や錐揉み回転など、人間では不可能なこともやってのけ、シグレは、新たに手に入れた邪神の翼を完璧に使いこなしていた。
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