邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜
第三百十四話 風が吹く。
8章 復活儀式
風が吹いた。
バルムンクのない状態で今の疲労困憊に加え満身創痍のジークフリートなら、軽々と吹き飛ばされていたであろう暴風が吹き荒れる。
しかし、ジークフリートは迫り来る暴風を感知し、支えにしていたバルムンクを自分に残されたあらんかぎりの力で地面に突き立てた。
ジークフリートがバルムンクの剣身の中ほどまでを突き立てた時と、迫り来る暴風がジークフリートを呑み込んだのは同時だった。
荒れ狂う激風が満身創痍のジークフリートの体を打ち、吹き飛ばされそうになるがバルムンクを掴む両の腕に渾身の力を込め、歯を食いしばりながら吹き飛ばされまいと抵抗する。
数秒後、斬れ味の良すぎるバルムンクは大地を切り裂き、ジークフリートは切痕を残しながら数百メートル近く大地を移動していた。
硬く、シグレの固有魔術によりおろし金のように超硬金属でできた極小の突起が大地には数百メートルにわたって生成されており、バルムンクが刻んだ切痕の近くに二筋の血河が流れていた。
既にジークフリートの両の足はすりおろされ、膝下ほどしか無くなっている。
そして、静かに、風を切る音すら立てずに、地面に這いつくばるジークフリートの目の前にシグレが着地した。
「いやぁ、死ぬかと思いましたよ」
貫いたはずの腹は時が巻き戻ったかのように完全に治癒しており、傷痕や血痕は欠片も無くなっている。
「ああ、これはどかしておかなければ」
シグレは突き刺さったバルムンクを軽々と引き抜き、異空間へと収納した。
『この……化け物め……』
「それは貴方も同じでしょうに」
そう言ってシグレは自らの手をゆっくりと這いつくばりながらももがくジークフリートの背中に近づける。
『まだだ……!』
ジークフリートは足のないからだで何とかもがき、シグレが自らの背中に触れる前にシグレの足を掴んだ。
掴まれた足はアンドヴァリの指輪の権能によりすぐさま黄金へと変化してゆき、それを察知したシグレがジークフリートの背中に手をつけるより早く、シグレの肉体は黄金へと変化した。
『……やった。やったんだ……』
そして
至上の達成感に包まれながら、自らの血の池の中で手を握りしめたジークフリートの背中に、そっと何かが触れた。
誤字脱字や作品への意見等ございましたらコメントしていただければ幸いです
(誤字脱字がありましたら、何話かを明記した上で修正点をコメントしていただければ幸いです)
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数秒後、斬れ味の良すぎるバルムンクは大地を切り裂き、ジークフリートは切痕を残しながら数百メートル近く大地を移動していた。
硬く、シグレの固有魔術によりおろし金のように超硬金属でできた極小の突起が大地には数百メートルにわたって生成されており、バルムンクが刻んだ切痕の近くに二筋の血河が流れていた。
既にジークフリートの両の足はすりおろされ、膝下ほどしか無くなっている。
そして、静かに、風を切る音すら立てずに、地面に這いつくばるジークフリートの目の前にシグレが着地した。
「いやぁ、死ぬかと思いましたよ」
貫いたはずの腹は時が巻き戻ったかのように完全に治癒しており、傷痕や血痕は欠片も無くなっている。
「ああ、これはどかしておかなければ」
シグレは突き刺さったバルムンクを軽々と引き抜き、異空間へと収納した。
『この……化け物め……』
「それは貴方も同じでしょうに」
そう言ってシグレは自らの手をゆっくりと這いつくばりながらももがくジークフリートの背中に近づける。
『まだだ……!』
ジークフリートは足のないからだで何とかもがき、シグレが自らの背中に触れる前にシグレの足を掴んだ。
掴まれた足はアンドヴァリの指輪の権能によりすぐさま黄金へと変化してゆき、それを察知したシグレがジークフリートの背中に手をつけるより早く、シグレの肉体は黄金へと変化した。
『……やった。やったんだ……』
そして
至上の達成感に包まれながら、自らの血の池の中で手を握りしめたジークフリートの背中に、そっと何かが触れた。
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