邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第三百七話 恐れと奥義

8章 復活儀式


『いいや?怖いさ、怖いとも。
だから、全力で排除するんだよ・・・・・・・・・・

(早い!)

そう言って大地を蹴り砕き、風を切って疾走し突進してくるジークフリートの速度に、シグレは息を呑む、
今の相手ジークフリートは満身創痍、真の意味で瀕死と呼ぶべき姿となっている。
所々は炭化し、金色となった鎧も、何者も通さぬ堅さを内包した赤黒い龍の鱗もぼろぼろに崩れ落ちている。
皮はところどころが剥げ落ち、一部では骨が見えてしまっている。
もちろん竜の鱗を持ってしても外部の怪我だけで済むはずはなく、肋骨は数箇所が粉砕骨折、足の骨にはヒビが入り筋肉は断裂している。
内蔵は勿論消失、無事なところなどいっぺんもない。
英雄ジークフリートは人間でないため生きていられるが、普通の人間ならばこの状態で既に死亡しているレベルの重傷である。
消し飛んだ耳からは生暖かい血液が流れ、半分が欠落したその眼は血走り、泥にまみれて血涙を流しながらも凄まじい殺気をシグレに浴びせかけている。
流れる鮮血で瞬く間に白い骨が赤に覆われ見えなくなる様を加速された思考で捉えながら、シグレは動き出す。

いつの間にか行われている空間固定により転移による回避は不可能。
通常の回避もここからでは間に合わない。
であれば、真っ向から受けて立つ他ないだろう。
シグレは指輪を変形させた大盾を構え、重心を落として突進を受けようとする。

『ゆくぞ!我が奥義、超過神斬オーバースラスト!』

猛突するジークフリートがそう叫ぶと、シグレが吹き飛んだ・・・・・・・・・

「やられた…!」

俊足の突撃とともに繰り出された、比喩なしで神速の刺突、およそ大剣には似合わない攻撃方法だが、あの速度と力量であれば、刺突それは一撃必殺の武技となる。
ましてやそれは龍化した肉体が元に戻るほど、正真正銘全身全霊を賭けた、言わば英雄の一撃・・・・・であったなら、相手に訪れるのは無慈悲な死である。
一瞬で時速数百kmにまで加速し、壁や地面を貫通しながら数百m吹き飛んだ結果、大盾は無残に砕け散り、幾重もの結界を貫通してダメージを与え、シグレの腹には大穴が開いていた。

即座に死神の権能により死を免れたシグレは、負けじと全方位攻撃を浴びせかける。
即死級の威力を内包した魔法が、心器によって創り出された古代の神獣の咆哮がジークフリートに襲いかかる。

『この程度で我が防護は貫けんとまだ分からないか!』

そう言って関係なく再び突進してきたジークフリートの背中に、骨の体を持った小さな獣が飛び乗った。


また更新日時間違えた……

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