邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜
閑話 毀骸の王子 二頁
閑章 遥か遠く、あの宙の下で。
「おはようおねぇちゃ
「よかったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「わっ!?くすぐったいよおねぇちゃん」
王子様が目を覚ますとそこは見慣れたお屋敷の天井でした。
(ここは……ぼくのベッドだ。ぼくはころんじゃって……だめだ。おもいだせない)
王子様が起き上がって隣にいたお姉さんに声をかけると、その目に大粒の涙を貯め、いまも滂沱のごとく涙を流しているお姉さんが勢いよく王子様に抱きついてきました。
「失礼します!ぼっちゃまの意識が戻ったとか……」
「ええ、やったわリタ!生き返ったのよ!」
(いきかえった?ぼく、しんじゃったの?)
そんな疑問を胸の内に秘め、王子様はリタとお姉さんに不注意で周りを見ておらず石に躓いてしまったことをとても怒られたのでした。
一方、お姉さんとリタは、半分笑顔で、半分とても険しい顔で王子様の寝顔を眺めていた。。
「ふうっ……やっぱりあの子は天使だわー」
お姉さんとリタがそう話す傍らで、王子様はすやすやと寝息を立てていました。
一通り王子様への説教と注意を終えた二人は、怪我した後なのだからといって王子様を早めに眠らせて、その隣で何が起きても対応できるように身構えていました。
すやすやと眠る王子様の寝顔にお姉さんは涎を手で拭いながら迫ります。
「マリア様」
「……ごめんなさいリタ、真面目な話をしましょうか」
「はい」
気を取り直したお姉さんは面持ちをどこか悲しそうなものへと変え、今も眠っている王子様の髪を優しく撫でながら話し始めました。
「この子、異常よ。他の人間に知られてはいけないわ」
「ええ、重々承知しております」
どうしてこんなことになってしまったのでしょうか、それは、数時間前にさかのぼります。
お昼ご飯を食べた後、三人と仲良く歩いていた王子様は石につまづいて転んでしまいました。
それだけならまだ良かったのです。
なんと王子様が倒れ込んでしまった場所はなだらかといえど確かに傾斜のある丘の上、大人であればどうってことはないのでしょうが、王子様は二歳になったばかり、転んだだけでも大怪我をしてしまうのです。
もちろん小柄な王子様は重力に従って転がり、花畑の方へと落ちていきます。
そして、ゴロゴロと転がっていく王子様は大きな岩に突っ込み、そして、跳ね上がりました。
岩にぶつかった衝撃なのか鮮血を周囲に撒き散らしながら、王子様は花畑へと自らの肉体を飛翔させました。
着地先は、花畑にぽっかりと空いた空間。
大きな黒百合が一輪咲いているだけの異質な空間。
吹き飛んだ王子様は黒百合を体で押しつぶし、周囲に真紅の池を作って力なく弾みながらそこに着地したのです。
二人が土以外の何も生えていないその場所に着くと、王子様は、即死していました。
「ええ、ええ、即死のはずなのよ。だって身体中の血が出ていたし、腕だってもげていた。頭に至っては半分割れていたのよ?
そんな状況で生きているはずがないの!」
「ええ、私もあの状態で生きている、もしくは生き返った人間を見たことがありません。ましてや数時間で完治するなんて…」
そう、王子様は死んでいなければおかしいほどの怪我をしながら、死ぬどころか五体満足、一切の怪我もなく復帰したのです。
それは軍に現役で在籍し、医療や作戦立案において辣腕を振るうおねえさんや、王族に近づく危険を排除するための戦闘メイドたるリタ出会っても理解できない事象であったのです。
目の前で死んだはずの人間の肉が蠢き、弾け飛んだ血液が密集し、そうやって王子様の肉体は再生し、何事もなかったかのようにそこに横たわっていました。
何も生えていない地面に、些細な汚れもなくそこにねていたのです。
もちろん慌てて二人はおやしきに帰り、お医者様に王子様を見せますがどこにも異常はなく、むしろ極めて健康であるといわれ、目を覚まさない王子様を自室のベットに寝かしていたのでした。
「この子は……守らなきゃ」
確固たる意志のこもった瞳で王子様を見つめるお姉さんの視線の先では、王子様が未だすやすやと眠っていました。
「これが、悲劇の一頁目」
過去を語る紳士が、静かに、どこか悲しみを感じさせる声音で呟いたその言葉は、誰の耳にも届くことはなく、静寂の中に溶け消えた。
従魔スキル紹介
狼帝
自身の配下もしくは同胞の狼のステータス超向上
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「おはようおねぇちゃ
「よかったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「わっ!?くすぐったいよおねぇちゃん」
王子様が目を覚ますとそこは見慣れたお屋敷の天井でした。
(ここは……ぼくのベッドだ。ぼくはころんじゃって……だめだ。おもいだせない)
王子様が起き上がって隣にいたお姉さんに声をかけると、その目に大粒の涙を貯め、いまも滂沱のごとく涙を流しているお姉さんが勢いよく王子様に抱きついてきました。
「失礼します!ぼっちゃまの意識が戻ったとか……」
「ええ、やったわリタ!生き返ったのよ!」
(いきかえった?ぼく、しんじゃったの?)
そんな疑問を胸の内に秘め、王子様はリタとお姉さんに不注意で周りを見ておらず石に躓いてしまったことをとても怒られたのでした。
一方、お姉さんとリタは、半分笑顔で、半分とても険しい顔で王子様の寝顔を眺めていた。。
「ふうっ……やっぱりあの子は天使だわー」
お姉さんとリタがそう話す傍らで、王子様はすやすやと寝息を立てていました。
一通り王子様への説教と注意を終えた二人は、怪我した後なのだからといって王子様を早めに眠らせて、その隣で何が起きても対応できるように身構えていました。
すやすやと眠る王子様の寝顔にお姉さんは涎を手で拭いながら迫ります。
「マリア様」
「……ごめんなさいリタ、真面目な話をしましょうか」
「はい」
気を取り直したお姉さんは面持ちをどこか悲しそうなものへと変え、今も眠っている王子様の髪を優しく撫でながら話し始めました。
「この子、異常よ。他の人間に知られてはいけないわ」
「ええ、重々承知しております」
どうしてこんなことになってしまったのでしょうか、それは、数時間前にさかのぼります。
お昼ご飯を食べた後、三人と仲良く歩いていた王子様は石につまづいて転んでしまいました。
それだけならまだ良かったのです。
なんと王子様が倒れ込んでしまった場所はなだらかといえど確かに傾斜のある丘の上、大人であればどうってことはないのでしょうが、王子様は二歳になったばかり、転んだだけでも大怪我をしてしまうのです。
もちろん小柄な王子様は重力に従って転がり、花畑の方へと落ちていきます。
そして、ゴロゴロと転がっていく王子様は大きな岩に突っ込み、そして、跳ね上がりました。
岩にぶつかった衝撃なのか鮮血を周囲に撒き散らしながら、王子様は花畑へと自らの肉体を飛翔させました。
着地先は、花畑にぽっかりと空いた空間。
大きな黒百合が一輪咲いているだけの異質な空間。
吹き飛んだ王子様は黒百合を体で押しつぶし、周囲に真紅の池を作って力なく弾みながらそこに着地したのです。
二人が土以外の何も生えていないその場所に着くと、王子様は、即死していました。
「ええ、ええ、即死のはずなのよ。だって身体中の血が出ていたし、腕だってもげていた。頭に至っては半分割れていたのよ?
そんな状況で生きているはずがないの!」
「ええ、私もあの状態で生きている、もしくは生き返った人間を見たことがありません。ましてや数時間で完治するなんて…」
そう、王子様は死んでいなければおかしいほどの怪我をしながら、死ぬどころか五体満足、一切の怪我もなく復帰したのです。
それは軍に現役で在籍し、医療や作戦立案において辣腕を振るうおねえさんや、王族に近づく危険を排除するための戦闘メイドたるリタ出会っても理解できない事象であったのです。
目の前で死んだはずの人間の肉が蠢き、弾け飛んだ血液が密集し、そうやって王子様の肉体は再生し、何事もなかったかのようにそこに横たわっていました。
何も生えていない地面に、些細な汚れもなくそこにねていたのです。
もちろん慌てて二人はおやしきに帰り、お医者様に王子様を見せますがどこにも異常はなく、むしろ極めて健康であるといわれ、目を覚まさない王子様を自室のベットに寝かしていたのでした。
「この子は……守らなきゃ」
確固たる意志のこもった瞳で王子様を見つめるお姉さんの視線の先では、王子様が未だすやすやと眠っていました。
「これが、悲劇の一頁目」
過去を語る紳士が、静かに、どこか悲しみを感じさせる声音で呟いたその言葉は、誰の耳にも届くことはなく、静寂の中に溶け消えた。
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