邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第二百三十話 渦

7章 あゝ神よ


「と、まあここまでがだいたい俺の知ってることだ。質問はあるか?」

「いえ、ありません」

「よし、じゃあ今後の方針として、とりあえず向こう側に行くことを目標とするか」

「戻れないんですか?」

「多分な、あの渦は不安定なんだよ。簡単に言えば位置情報が確定していない」

「入る度に転移場所が変わると?」

「んー…いや、説明した方が早いな、紙と、書くもんよこせ」

紙と筆記具を寄越せという要請に応えて紙と筆記具を渡すと、クーフーリンはその豪胆な容貌に似合わぬ繊細な筆運びで説明を始めた。

「いいか、おまえはわかってると思うが、一般的にワープやテレポートっつーもんは二種類ある。
一つ目は物体置換、対象を周囲の空間ごと移動先の空間と入れ替えるやり方だ。
これだと移動先が正確にイメージ出来ていなきゃならないし、転移先にある程度の大きさを持った物体が存在すると失敗する。
二つ目は空間連結、指定した空間と転移先の空間を連結して実質的な移動距離を0にする方法だ。転移門ゲートなんかがこれに該当するな」

「ええ」

要は前者はテレポートなのに対し後者はどこで〇ドアである。

「もちろん今回の渦は空間連結型に該当する。が、あれは空間の連結が不安定だ。
転移先の場所自体は変わらないが、空間を連結させている『楔』が意図的かは知らんが綻んでいる。だから向こう側にたどり着くまでに所謂空間の狭間の様な場所を通過しなければいけねぇんだ。しかもそれはだんだんと広がってるときた。
俺が来た時は10m程だったがさっき見たら100m近くに拡大してたぜ、どうにかして楔を打ち直さない限りあの黒渦から向こう側に行くのは無理だ」

「成程……ですが楔を打つにも他人が発動した魔術じゃやり方が分からない」

「だから、お前に協力を依頼してるってわけだ。まあそれだけじゃないけどな」

「了解しました。とりあえずの目標としては渦の楔を打ち直してそこから向こう側に行くか、座標を特定して直接転移するかですかね」

『すまない。あの黒渦には転移阻害の魔術が神レベルの強度で張られている。座標の特定さえできれば私の権能により転移は可能だが座標が特定出来ん。ワンチャン異空間をさまよう島のようになってるかもしれん』

(ええ……)

解決への糸口がどんどん遠のいていく気がするシグレであった。


解説

物体置換
物と物の位置を入れ替える方法。
物を指定する事に消費MPが上昇する

空間連結

言うなればどこでも〇ア
簡単に言えば地点Aから地点Bまでの距離を0にする。
物体置換と比べて大量の物を運搬可能
発動中は常時MPが減少するが運ぶ物体の量によってMP消費は変動しない。
効率はこっちが上

渦については、空間連結で距離を0にしようとしていますが失敗したのか間に異空間が挟まっています。

つまり本来なら地点A→地点Bで済むはずなのに渦では地点A→異空間→地点Bとなっているわけです。

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