邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第二百二十四話 耐えてみろ!

7章 あゝ神よ


「おいおいマジかよ?ケン入れてないとはいえ三文字だぞ?」

震えた声でそう言いながらも男は新たな氷槍を作り出し投擲してくるがシグレはそれをも蒸発させた。

「これで終わりですか?」

「ッ!?いいねぇ!いい!最ッ高だ!やっぱ闘いってもんは、殺し合いはこういうもんじゃねぇとなぁ!」

いつの間にか地面から生えていた棘を焼きながらシグレがそう声をかけると、男は肩を震わせて腰を落とした。

「全力で行くぞ?生き残れ!
ベオークアンサズエワズマンワズケンソウェイルイングズ
現れよ供物の祭壇、業火に呑まれし樺の巨人、神々に贄を!供物の巨人ウィッカーマン!」

七文字が集まった巨大な魔法陣が地面に描かれ、その中から樺の木の枝で編まれた鳥籠のような巨人が現れる。
そしてその体に炎を纏い、火の粉を散らしながら供物の巨人ウィッカーマンはシグレへと歩を進める。
神へと贄を届けるために。

「驚きました……本物・・のウィッカーマンを出現させるとは……」

伝承に伝わるウィッカーマンとは人々によって作られた模造品に過ぎない。
真のウィッカーマンとは、ルーン魔術により生成された樺の木のみで作られる純粋な魔力の塊、その目的は神に贄を捧げること。それのみを目標にした殺戮人形。
模造品はただ籠としての役割しか持たないが、これは違う。
捕獲し、捕縛し、焼き殺し、そして魂を神へと届ける。
そのためのみのために人々に作られた特別なウィッカーマン、膂力は通常のものとは比較にもならない。

「まだ終わらねぇよ?こいつも受けてみなぁ!」
 
男は着ていたフード付きのコートを脱ぐと、右手を開き、どこからが現れた紅き長槍を手に取る。

その手に持っていた杖を捨て、紅き槍を構える。

「受けてみよ!我が魔槍の一撃……」

削り穿つ死の朱槍ゲイ・ボルグ!」

「必滅の槍、でしたかね?投げた瞬間に三十の楔に分解されそれぞれが対象の心臓を穿つことが確定する因果逆転の魔槍」
『ついでに傷は治らないときた。小賢しいものだ』
『チートだけどね』
「ま、それならこっちも負けてませんよ?」

「どぉしたァ!何もしねぇのかぁ!?」

紅き眼光と共に獣のように咆哮をあげる男に、シグレはどこまでも冷淡に、冷静に言葉を返した。

「いえ、仕込みは既に終わっていますよ」

「は?何言って____

その瞬間、迫り来るウィッカーマンが崩壊した。

「なっ!?さっきの魔術か?」

「なんでしょうねぇ?」

「だが、今回は六文字に加え結構魔力使うイングズまで入れたんだぞ!?ふざけんなクソが!」

男の悲痛な叫びと同時に、投擲されたゲイボルクがシグレに着弾しようとしていた。


ルーン解説

ベオーク 樺の木など
ウィッカーマンを形成する樺の木を生成

ソウェイル 太陽
ウィッカーマンの炎の強化に使用

イングズ 完了など
ウィッカーマンへの魔術干渉を無効化するはずだったが、シグレに貫通される。

ルーンの多重使用の例

例: アンサズエワズマンワズ
これで、炎よ形を変え巨人となれとなります。
つまり、炎の巨人を作り出す魔術です。

ちなみに人のルーンの変わりに保護のルーンを入れると炎の武具などが出来ます。

ちなみにウィッカーマンの術式は、
樺よ炎よ姿を変え巨人となり何時までも太陽が如く燃え盛れとなります。

ちなみにイングズが無くても大丈夫ですがその場合は魔術的干渉を受け付けるようになってしまいます
そのあとの詠唱は真ウィッカーマンを呼び出すためのものです。本来ならば必要ありません

真ウィッカーマン:簡単に言えば自律型ゴーレム、自分で周囲の生物を取り込み燃やす。
ケルト神話的なところで出てくるのはこれ

模造品:動かない、人間が籠の中に生贄を入れ、火で焙る。
民間伝承にあるのはこれ

という妄想です……

ちなみにシグレ製のウィッカーマンは魔法で操ってるだけの模造品です。
まずルーン使ってないしね。

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