邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第二百九話 情報屋

7章 あゝ神よ


さて、場所は変わってプレリュード、まあ本来の目標としてプレリュード到達を掲げていたのだから当然といえば当然といえるのだが。
途中で入った残党の襲撃邪魔冴えなければ狼の集落にも軽く挨拶するだけで終わらせようと思っていたのだが……
結局約半日いて料理を振舞ったりしたので食材を買い足したりしておく。
何故か今日は人混みがいつもより激しいようである。
まるで何時ぞやの王城の城下町なみの雑踏を掻き分けながらシグレは買い物をする。
ちなみに肉や森に生えていた薬草や香草は大量に採取しているので補給の必要は無い。
補給が必要なのは野菜類のみである。

「魚介類が欲しいですねぇ……魚醤も作りたいですし」

「じゃ港町行けば?」

「そうしましょうかね」

もとより適当にクエストをこなしながら放浪する予定である。
行く先々で次の目的地を決めるのもまた一興というもの、もとよりシグレの一人旅__クトゥルフなど神も含めれば三柱での旅は、終点を定めていないため、そんな事は__

「って、誰ですか?自然すぎたのと遊理ちゃんゆうじんに似ていたのでスルーしてしまいましたけど」

振り返ると、ドワーフだろうか、背が低く、糸目の顔に人懐っこそうな笑みを浮かべている。

「おおこわいこわい、あまり僕を驚かせないでおくれよ、シグレ、さん?」

「名前まで知って接触してきたとは、目的はなんでしょうか?」

笑みを貼り付けたまま話す少年にシグレが問いかけると、少年はやはりポーカーフェイスを崩さずに話し始める。

「さすが、話が早くて助かるよ。
あなたが脳筋じゃなくてよかった。
ああ、自己紹介を忘れていたね。
ボクはクマリ、情報屋をやってる」

「ボス攻略の情報でしたら、私の場合はアテになりませんよ」

「いやいや、ボクは攻略情報も扱ってるけど一番はレアモンスターの出現ポイントや条件、ドロップ品の情報なんかなのさ
つまり、ドロップ品の情報を買いたい」

「なるほど、どれをです?」

「取り敢えず巨大ミミズかな、あれはあなた以外には討伐されてないから、価値が高い」

「鮮度が命、ということですか、良いでしょう。これがデータです」

シグレはすぐさまドロップ品を紙に書き出してクマリに手渡す。

「うん、物わかりが良くて助かるよ。それじゃあこれくらいでどうかな?」

一通り読み込んだクマリが支払い金額を提示してくる。
それはシグレの財産からすれば微々たるものに過ぎないが、他のプレイヤーから見れば最前線の人間ですら欲しがる大金だった。

「ん?少し多いのでは?」
「そこはまあ、初回だから、ってのとまだ討伐されてない鮮度の高い情報ネタだからだね。あとはお得意様になってくれないかなーって言う打算が半分」

「なるほど」

「交渉成立ってことで?」

「良いでしょう」

二人は笑みとともに握手を交わし、連れ立って大通りをそれた小路へと入っていった。


情報屋クマリさん登場

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