邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜
閑話 貪食の怪物
7章 あゝ神よ
ここは遠いどこかの魔境。
蛇神の眷属が地を這い、池には魔獣が跋扈し、ケットシーやスプリガンがアイレンの唄声で舞い踊り、空には巨大な龍が羽ばたく。
人間を拒み、弱肉強食を是とする世界。
獣たちの楽園。
環境すらもが資格無きものに大自然の制裁を与え、その命を容易く刈り取るこの大自然は、今や見る影もなくなっていた。
荘厳な自然は影に呑まれて漆黒に染まり、生物は皆影を纏う。
いつしか瞳は紅く染まり、荒い呼吸と共に涎を吐き出し、死ぬまで殺戮を続けていく。
忘我の獣は荒れ狂い、同族すらも喰らう畜生と化した動物達が蹂躙し、その尽くを喰らう。
漆黒に染まったその土地は、大自然など見る影もなく、更なる弱肉強食、弱いものなど存在すら許されない獣の王国となった。
__発端は、小さなものだった。
いつもと変わらない晴れの日、美しかった泉から黒い水が溢れてきた。
ただ、それだけ。
それだけで何千年と繁栄してきたこの獣たちの楽園は消えた。
まずは泉の精霊が黒く染まり、水に触れた魔猪が、蛇神の眷属が、スプリガンが、そして龍までもが黒く染まった。
それが終焉。
荒れ狂う獣たちに蹂躙された大地は黒く染まり、その地に降り立ったものを黒く染めあげる。
そうして出来た狂乱の地獄は、常に咆哮と悲鳴が絶えず、鮮血の匂い漂う土地となった。
GRRRRRRRRRRRAAAAAAAAAAAA!!!
咆哮が響く。
大いなる大地が揺れ、天は泣き叫ぶ。
そして、山が動き出す。
この黒い土地において唯一灰褐色を保っていた地面が動き出し、その上の動物の命が儚くも散る。
それに呼応して一目散に鳥が飛び立ち、動物達は消えていく。
「ああ……目覚めちまったか…」
それは目覚めを告げる鐘。
絶望を呼び覚ますもの。
そこに立ち会う男が一人。
捨てられた煙草が黒くなるのを見届け、新たな煙草を出しながら、男はここでは無いどこかに視線を向ける。
「どうしたもんかねぇ……」
地獄と化した旧き楽園で、煙草の煙が揺らめいていた。
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(IDは@87lnRyPJncjxbEpです)
ここは遠いどこかの魔境。
蛇神の眷属が地を這い、池には魔獣が跋扈し、ケットシーやスプリガンがアイレンの唄声で舞い踊り、空には巨大な龍が羽ばたく。
人間を拒み、弱肉強食を是とする世界。
獣たちの楽園。
環境すらもが資格無きものに大自然の制裁を与え、その命を容易く刈り取るこの大自然は、今や見る影もなくなっていた。
荘厳な自然は影に呑まれて漆黒に染まり、生物は皆影を纏う。
いつしか瞳は紅く染まり、荒い呼吸と共に涎を吐き出し、死ぬまで殺戮を続けていく。
忘我の獣は荒れ狂い、同族すらも喰らう畜生と化した動物達が蹂躙し、その尽くを喰らう。
漆黒に染まったその土地は、大自然など見る影もなく、更なる弱肉強食、弱いものなど存在すら許されない獣の王国となった。
__発端は、小さなものだった。
いつもと変わらない晴れの日、美しかった泉から黒い水が溢れてきた。
ただ、それだけ。
それだけで何千年と繁栄してきたこの獣たちの楽園は消えた。
まずは泉の精霊が黒く染まり、水に触れた魔猪が、蛇神の眷属が、スプリガンが、そして龍までもが黒く染まった。
それが終焉。
荒れ狂う獣たちに蹂躙された大地は黒く染まり、その地に降り立ったものを黒く染めあげる。
そうして出来た狂乱の地獄は、常に咆哮と悲鳴が絶えず、鮮血の匂い漂う土地となった。
GRRRRRRRRRRRAAAAAAAAAAAA!!!
咆哮が響く。
大いなる大地が揺れ、天は泣き叫ぶ。
そして、山が動き出す。
この黒い土地において唯一灰褐色を保っていた地面が動き出し、その上の動物の命が儚くも散る。
それに呼応して一目散に鳥が飛び立ち、動物達は消えていく。
「ああ……目覚めちまったか…」
それは目覚めを告げる鐘。
絶望を呼び覚ますもの。
そこに立ち会う男が一人。
捨てられた煙草が黒くなるのを見届け、新たな煙草を出しながら、男はここでは無いどこかに視線を向ける。
「どうしたもんかねぇ……」
地獄と化した旧き楽園で、煙草の煙が揺らめいていた。
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