邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第百九十四話 やることを果たしに

7章 あゝ神よ


「どうします?」
「どうしましょうか……」

二人が呑み込まれるのを見届け、未だ円卓の近くに立っているシグレとセレスは、お互い顔を見合わせた。

「何もやることないですし、帰りますか」

「いいんですかねぇ……」

撤退しようとする元凶シグレに、セレスは未だ怒号の収まらぬ人だかりを見ながら問いかける。

「まぁその前にやることがありますし……とりあえず行きましょうか」
「えっ、ちょ、あの、どこに……」

出席していた神々はいまや殆どがフツヌシノカミとタケミカヅチに対し制裁教育を施しているはずである。

一体どこへ、と言うか誰に、とセレスが思うの待たずにシグレは迷いなく会場を進み、ある1人の神の所へやってきた。

「うわぁぁぁぁぁぁ!やっぱり妾に司会とか無理だよぉ……おでんのばかぁーー!
何が「お前ならできる!」よ!サムズアップされても嬉しくないもん!」

その美しい金の髪をを振り乱し、絢爛豪華な飾りはそこらに散乱している。
身につけた巫女服は涙でびしょびしょになり、先程の威厳など欠けらも無い。

「すいません。少しよろしいでしょうか?」
「もうやだ!妾天岩戸行く!……へ?な、なに?えぇぇえ!」

シグレが声を掛けるとやっと気づいたのか顔を上げた。
が、その瞬間に大声を出しながら顔を真っ赤にそめ、後ろを向いてうずくまった。

「妾はアマテラス、妾はアマテラス」
自己催眠のようである。
本人は小声で言っているつもりなのだろうが、丸聞こえである。
後ろにいるセレスですらそれを聞いて苦笑いを浮かべているほどなのだから。
そして数秒後にゆっくりと、美しい所作で立ち上がったアマテラスには先程のような威厳もへったくれもない雰囲気は無く、最初の威厳に満ち溢れた姿となった。

「はい?私になにか御用でしょうか?」

「あれが本性なんですね。かわいいです」
「ぇつ!ななななななんでそそそそのこととをっ??!??!!」
「いや、あれだけ騒いでればわかりますよ」

ドス黒い笑顔でシグレがそう告げると、アマテラスは激しく動揺してしまった。
後ろでセレスが口と腹を抑えて笑いを堪えている。
相当キツそうで時々笑いが漏れてしまっているようである。
まあ無理もない、凛とした淑女のような神が、いきなり顔を真っ赤に染めあげた上に少女のような言葉遣いで焦っているのである。ギャップがやばい。

混乱し、目を白黒させながらわちゃわちゃと手を動かす太陽神が、そこにいた。


鬼!悪魔!シグレ!

セレス「ぶふっ……た、太陽神が……ぶふっ……」

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