邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

SS 妹達の二人旅 廿参

SS一章 『妹達の二人旅』


「やはり使わせてはくれませんか…」

再び隙を見てポーションを使おうとしたクーリだったが、再び飛来した鞭に瓶を割られ、諦めたようにサイールドの方へと向き直る。

その後では着々と二人のHPが減っており、既に残り四割を切っている

「ギルドマスター」

「ああ、こいつを…倒す!」

その言葉と同時にギルドマスターが突貫し、クーリは隠密で姿を消す。

サイールドは突貫してきたギルドマスターに驚き、反応が遅れる。

殆ど超近接戦闘ブル・ファイトになった二人だが、やはりサイールドは鞭という近距離に向かない武器のため防戦一方になっている。

伸縮自在の追跡する群蛇チェイサーズヴァイパーで何とか狙いをずらし、隙あらばハルバードを取り落とさせようと腕を狙ってくる。

「唐竹割りッ!」

耐えかねたギルドマスターが大上段から振り下ろした一撃は確かに鞭の防御を貫通し、その頭を叩き割ったかのように見えたが、実際はサイールドには傷一つなく、ギルドマスターには体の至る所に鞭の傷が刻まれていた。

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!やったぞ!俺をあれだけ見下していたギルドマスターに勝ってやったぞ!俺は最強だァ!」

「ッ!?」

倒れるギルドマスターの体を見て歓喜するサイールドは、後方に感じた殺気にすぐさま振り向く。

「甘いぜぇ!この程度の奇襲は簡単に対応できんだよォ!」

そう言って鞭を振り抜いた先にいたのは、瞳だけの生物だった。

「アイザー…ただ殺気を出すだけの召喚獣…普段は使えませんが、今ほど頼りになる時はありませんね…」

そう言うクーリの声は、先ほどの殺気とは見当違いの方向から響いてきた

サイールドがそちらを向くと、ポーションによって傷が塞がり、HPが全快した二人が立ち上がっていた。

「てめぇ!なんで召喚獣なんて使えんだ!」

「昔の冒険でアイテムを手に入れてましてね。いやはや、どんなものでもいつ役に立つか分からないものです」

「クソがッ!こうなったらもう一回…!」

そう意気込んで鞭を振りあげようとしたサイールドの肩に、コーヒー色の小さな手が置かれる。

「はっ?」

「サイールド、お前の相手は、私だろう?」

「ヒッ…ヒィィィィ!」

サイールドの悲鳴が、鉱山へと木霊した。


はい、クーリが使ったのは1度だけ召喚獣を呼べるインスタントアイテムです。
召喚士以外にも使えますが、本職に比べてステータスが劣り、戦闘が終われば消滅します。

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(IDはあらすじにあります)

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