邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第五十五話 過去

4章 つかの間の平穏


「まずは確認だけど私のことをどこまで知っている?」

「フェンリル様にまつわる神話は全て、この世界でならLv.800の神を殺した化物だということは」

「化物か、まぁ私にはそれがお似合いかな」

過去の自分を嘲るようにフェンリル様は言いました。

「まぁその認識でほとんど差異はないよ。違うのは戒めを解いた時期だけさ」

「というと?」

「私はそっちの神話だと神々の黄昏ラグナロクまでグレイプニルで拘束されたままなのだろう?」

「ええ」

「私がグレイプニルの拘束を解いたのは百年ほど前だ。だがまだ神々の黄昏ラグナロクは起きていない。」

「なるほど」

「わたしが神共に何もしていないのに拘束されたのは知っているだろう?”予言されたから”ただそれだけで私は裏切られ、幾星霜の時を過ごした。
私の何が悪かった?狡知神ロキの子だからか?
それとも、なにか理由があるのか?
最初はいつか解放してもらえると思ってそう考えていた。
だが、希望はすぐに消え去った。神共は私の存在を憎み、恨み、嫌っていた。
そうして罵声を浴びせてくる中には、あのテュールもいた。昔餌をくれた時の笑顔は何処に行ったのかその端正な顔は歪み、目の前の私を腫れ物でも見るような目で見てきた。そしてこういったんだ。「お前など、産まれてきたことが間違いだ」その時に私は悟ったよ。ああ、解放などありえない。私は存在すら否定された。と、さっき裏切られたと言ったが、そうではないかもしれないな。テュールから見たら、私はただの害獣だったのだろう。まず裏切りになるほど仲良くなっていなかったわけだ。まぁ、他人に飢えていた当時の私が騙されるのも無理はない。
自分に頼れる者はいない、周囲は常に自分への怨嗟に塗れ、ロキは助けになど来ない、理不尽な悪意に晒された孤独な狼はどうなったと思う?
当然のように絶望し、こんな理不尽な試練を抗う術も与えずに課した何かとこの世すべてをを呪った。
それは当然の帰結だ。救ってくれるものが、正してくれるものがいなかったのだから。
不公平だ。と呪ったよ。
自らを産んだ世界に、自らを否定した世界に、そしてその世界が産んだ今ある全てに復讐すると誓った。その時だね。
グレイプニルが壊れ始めたんだ。
長年私を抑えて劣化したのかもしれないが私は私の復讐心がグレイプニルを壊したのだと思う。
開放された私は、怒りのままに暴れ狂った。自らの体が壊れようが自らを否定した全てに復讐できるなら構わないと。
哀れなものだ
奇しくも神々は予言を自分達で事実にしたのさ。」



注意 この話は元の神話に独自解釈を加えていたりします。鵜呑みはやめてね!元ネタみたいならwiki行ってどうぞ

この過去語りはあと一話あります

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