紅鯨

ノベルバユーザー162616

夏の公園は暑い。蝉がこれでもかというくらい鳴き声を発している木の側で紅鯨の二人は漫才の練習をしていた。手塚とマリで紅鯨。プロではないフリーのお笑い芸人だが目標があるので真剣そのもの言いたいことは言うアドバイスを思いついたら言ってみる。これは紅鯨を良くしていく上での暗黙のルールである。
手塚は今でも漫才の練習とはいえ隣にマリが居ることが信じられなかった。別れた恋人同士が簡単にこんな事が出来るのだろうかと。マリはいつも通り天真爛漫そのもので、楽しそうで特に変わった様子がない。むしろ頑張ってくれてて好きになってしまいそうである。
そんな漫才と関係ない事を考えていると
「あっくん、ツッコミは?暑くてボーっとしてるの?」
とマリは全然怒らない。なんでこんな良い子と俺は別れたのか今となっては「あっくん!あっくん!」
「え?」手塚はマリの方を反射的に向いたらマリがキス顔をしていて、どうやら本気のようだ。俺は思い切ってマリにキスをしようとした。マリはキス顔のまま嫌がる気配も無い。俺はマリの口に近づく。と、マリは寝落ちしてたみたいで、「あっ!ごめんねあっくん寝落ちしちゃったよ」手塚は渾身の「いや、まぎらわしっ!!」
とツッコミを入れた。マリはそれそれっ!と言わんばかりの笑顔を隣の俺に向けた。俺は胸がキュンとする気持ちと優勝したいという灯火が心に灯っては消えなかった。マリと隣にずっと居たいと感じる手塚であった。

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