突然不死身という最強の能力に目覚めちゃいました
美術の祭典
美術の祭典会場(1区旧北砦跡公園)
AM  12:00
開催までまだ1時間もあるが会場には既に大勢の人が集まっていた。 
「へーこれが美術の祭典ね初めて来たけど思ったより人が多いのね」
「翼、こんなんで驚いてたらこの後持たないよ。なんて言ってもこれからどんどん増えて来るんだから」
翼が漏らした言葉にすかさず乃明が答えた。
乃明の言う通りまだ祭典は始まっておらず大半の作品は布を被った状態である。
「すみません、俺ちょっと主催者に挨拶して来るんで適当に廻ってて下さい」
玲は乃明達に一声かけ一旦別行動に移り、暫く人混みをかき分け本部がある公園中央に向かって歩いた。
「神谷先生お久しぶりです。本日は来て下さって誠にありがとうございます。どうぞお座りになって下さい今お飲物を用意しますので」
本部に着くとすぐさま1人の男が玲に気付き接待されてしまった。そしてそれを観ていた周りが少しざわつき出した。
今までほとんど表舞台に出ていなかったため本部にいる連中もほとんどは玲との面会が無かったのだ。
玲からするとあまり長居してここ連中に囲まれるのはごめんだ。早急に目的を果たしここを後にしたいところだ。
「すみません」
玲はさっきの男を呼び止め主催者を呼ばせようと声をかけると男はそれを察してくれた。
「会長ですね、しばしお待ちください時期に来ますので」
男の言うとうり5分もしない内にこの祭典の主催者である会長(九条  大和)は姿を現した。肩まで伸びる髪と髭、見るからにたかそうな袴をまとった70くらいの爺さんだ。
九条 大和は表では建設業で大きな成功を収めた大財閥の持ち主だが、裏では九条組と言われる組を従えており、表裏共にアルバスにおいて大きな権力を所持している。
「すまない少し待たせたかな?」
「いえ、俺もさっき来たところなので」
「でもよかったよ、君には毎年断られていたからな、今年もダメだったら諦めようかと思ってたのだよ」
九条は玲が来たことによりかなり機嫌がいい。
普段テレビなどの映像を見る限りかなり毒のある性格をしており笑った顔など一切見せない様な男だ。
その姿に本部の連中もざわついていた。
言えない、本当は来たく無かったけど仕方なく来たなんて絶対に言えない。
「本当すみません今までも来たかったんですがつい創作活動に没頭してしまって」
普通の人なら批評を買う言い訳だが玲は例外である。玲の作品を待つ者は世の中に幾らでもいるそんな彼だからこそ「創作活動をしていた」と言う理由は批判されることは無いむしろ好印象さえもたらしてしまう。
「それは仕方がないな、まぁせっかく来てくれたんだ今日は存分に楽しんでいってくれ。と言っても目玉は君のよく知る作品だがな」
「はあ、じゃあこれで失礼します」
玲は立ち上がり一礼してその場を離れようとした。
「神谷先生、これからも素晴らしい作品期待してますよ」
 
「期待に添えるよう努力します、ではこれで失礼しました」
玲は本部から出ると沙紀達と合流すべくスマホを取り出した。
ドン!
前を見てなかったせいで人とぶつかってしまった。
「すみません」
「いえこちらこそ、怪我無いですか?」
玲は目の前で尻餅をついている少女に手を差し伸べた。
「ありがとうございますって神谷くん!!」
「雨水さん奇遇だねこんなところで」
玲がぶつかった少女は雨水 凛だった。
「ウチはお爺ちゃんがここの主催者だから来てるだけだけど神谷くんこそ今日は妹さんと買い物って言ってなかったけ」
今サラッと「お爺ちゃんが主催者」って言わなかったか?てことはこいつかなり危ない奴じゃんこれからは口に気を付けないと、下手なこと言ったら消されちまう。
「そうなんだけどさ、会長に呼ばれたんで買い物は午前中ですませてこっち来たんだよね。で、今挨拶すませて来たとこ」
「そうなんだ、なんかごめんねウチのお爺ちゃんが、あんな人に頼まれたら断わりたくても断れないもんね」
凛は祖父に変わって軽く謝った。
「いいよ別にそんな迷惑じゃ無いし(それにもう2回も断ってるし)」
「じゃあウチそろそろ行くよ、いろいろ挨拶して回らなきゃいけないし、あ!それとお爺ちゃんのこと周りには言わないでね、その為に苗字まで変えてるんだから」
「ああ、じゃあまた学校で」
「うん、またね」
凛は大きく手を振って本部へと走って行った。
あいつサラッといろんなこと言い過ぎだろ、苗字変えたって、まぁあんまヤクザと関わりあるって知られたく無いか。
玲もその場は深く考えずその場を後にした。
「とりあえず沙紀に電話してみるか」
プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル
「おかけになった携帯は現在電源が入っていないか電波の届かないところにあります」
あれ?バッテリー切れてんのかな?翼先輩にかけてみるか
プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル
「おかけになった携帯は現在電源が入っていないか電波の届かないところにあります」
これ電波混み合ってて繋がんないんじゃね。これからどうしよう、とりあえず適当に探してみるか。
*     *     *     *
駄目だ全然見当たらない
もう3時間近く作品を見ながら探したが沙紀達の姿は一向に見つからない。
流石に疲れた玲は飲み物を買いベンチで一休みする。 
「玲くん!やっと見つけたよ」
「先輩1人ですか?沙紀達は?」
声のする方に目をやるとそこには翼の姿があった。しかし翼以外の面子は見当たらない。
「携帯あるから別れたんだけど電波が繋がらなくてね」
翼も玲と同じ状況だった様で、すっかりお手上げみたいだ。
「やっぱりそうですか、俺もそれで困ってたんですよ。何処か心当たりとか無いんですか?」
「あるにはあるんだけどね・・・」
「何処ですか?」
「あそこよ」
翼が指差す方は、少し高い位置にありここからでもよく見える。そこには物凄い人集りが出来ておりその中から沙紀達を捜すのはかなり根気がいりそうだ。
「でもなんであっこにいると思うんですか?」
「それは君の絵があそこに展示してあるからね、描いた本人なんだからそれくらい知っときなよ」
翼はひたいに手を当て呆れた目で玲を見た。
「いやー描いた物の後のことなんて気にしたこと無かったんで、でもそれなら確かにいるかもしれませんね」
玲は軽く笑いながら答え、根拠が分かったところでその人集りへと向かい足を進めた。
「もう行くの?少しは休まないと」
「いや、なるべく早く合流したいんで」
翼は仕方なく玲の後を追った。
 
*     *     *     *
20分後
午前中買ったギターが目印になり玲は無事沙紀達と合流する事が出来たがもう乃明を除く彼女らは見飽きたと言う表情をしていた。
「俺閉会式出てくるから先に帰ってていいよ」
「私達もそれくらい残るよ」
玲の言葉に乃明が答える。
「まだ1時間近くあるし明日学校なんで先輩には沙紀達送ってて貰いたいんですけど」
その言葉に乃明は沙紀達に目をやる。そこには疲れ切ってグダッとしている彼女らの姿があった。
「そうね、じゃあ私達が送って行くは」
乃明が応える前に翼が玲に返事をした。
「ありがとうございます。じゃあ気を付けて」
「君こそ気を付けてね」
玲は翼に沙紀達を預け閉会式の会場へと向かった。
AM  12:00
開催までまだ1時間もあるが会場には既に大勢の人が集まっていた。 
「へーこれが美術の祭典ね初めて来たけど思ったより人が多いのね」
「翼、こんなんで驚いてたらこの後持たないよ。なんて言ってもこれからどんどん増えて来るんだから」
翼が漏らした言葉にすかさず乃明が答えた。
乃明の言う通りまだ祭典は始まっておらず大半の作品は布を被った状態である。
「すみません、俺ちょっと主催者に挨拶して来るんで適当に廻ってて下さい」
玲は乃明達に一声かけ一旦別行動に移り、暫く人混みをかき分け本部がある公園中央に向かって歩いた。
「神谷先生お久しぶりです。本日は来て下さって誠にありがとうございます。どうぞお座りになって下さい今お飲物を用意しますので」
本部に着くとすぐさま1人の男が玲に気付き接待されてしまった。そしてそれを観ていた周りが少しざわつき出した。
今までほとんど表舞台に出ていなかったため本部にいる連中もほとんどは玲との面会が無かったのだ。
玲からするとあまり長居してここ連中に囲まれるのはごめんだ。早急に目的を果たしここを後にしたいところだ。
「すみません」
玲はさっきの男を呼び止め主催者を呼ばせようと声をかけると男はそれを察してくれた。
「会長ですね、しばしお待ちください時期に来ますので」
男の言うとうり5分もしない内にこの祭典の主催者である会長(九条  大和)は姿を現した。肩まで伸びる髪と髭、見るからにたかそうな袴をまとった70くらいの爺さんだ。
九条 大和は表では建設業で大きな成功を収めた大財閥の持ち主だが、裏では九条組と言われる組を従えており、表裏共にアルバスにおいて大きな権力を所持している。
「すまない少し待たせたかな?」
「いえ、俺もさっき来たところなので」
「でもよかったよ、君には毎年断られていたからな、今年もダメだったら諦めようかと思ってたのだよ」
九条は玲が来たことによりかなり機嫌がいい。
普段テレビなどの映像を見る限りかなり毒のある性格をしており笑った顔など一切見せない様な男だ。
その姿に本部の連中もざわついていた。
言えない、本当は来たく無かったけど仕方なく来たなんて絶対に言えない。
「本当すみません今までも来たかったんですがつい創作活動に没頭してしまって」
普通の人なら批評を買う言い訳だが玲は例外である。玲の作品を待つ者は世の中に幾らでもいるそんな彼だからこそ「創作活動をしていた」と言う理由は批判されることは無いむしろ好印象さえもたらしてしまう。
「それは仕方がないな、まぁせっかく来てくれたんだ今日は存分に楽しんでいってくれ。と言っても目玉は君のよく知る作品だがな」
「はあ、じゃあこれで失礼します」
玲は立ち上がり一礼してその場を離れようとした。
「神谷先生、これからも素晴らしい作品期待してますよ」
 
「期待に添えるよう努力します、ではこれで失礼しました」
玲は本部から出ると沙紀達と合流すべくスマホを取り出した。
ドン!
前を見てなかったせいで人とぶつかってしまった。
「すみません」
「いえこちらこそ、怪我無いですか?」
玲は目の前で尻餅をついている少女に手を差し伸べた。
「ありがとうございますって神谷くん!!」
「雨水さん奇遇だねこんなところで」
玲がぶつかった少女は雨水 凛だった。
「ウチはお爺ちゃんがここの主催者だから来てるだけだけど神谷くんこそ今日は妹さんと買い物って言ってなかったけ」
今サラッと「お爺ちゃんが主催者」って言わなかったか?てことはこいつかなり危ない奴じゃんこれからは口に気を付けないと、下手なこと言ったら消されちまう。
「そうなんだけどさ、会長に呼ばれたんで買い物は午前中ですませてこっち来たんだよね。で、今挨拶すませて来たとこ」
「そうなんだ、なんかごめんねウチのお爺ちゃんが、あんな人に頼まれたら断わりたくても断れないもんね」
凛は祖父に変わって軽く謝った。
「いいよ別にそんな迷惑じゃ無いし(それにもう2回も断ってるし)」
「じゃあウチそろそろ行くよ、いろいろ挨拶して回らなきゃいけないし、あ!それとお爺ちゃんのこと周りには言わないでね、その為に苗字まで変えてるんだから」
「ああ、じゃあまた学校で」
「うん、またね」
凛は大きく手を振って本部へと走って行った。
あいつサラッといろんなこと言い過ぎだろ、苗字変えたって、まぁあんまヤクザと関わりあるって知られたく無いか。
玲もその場は深く考えずその場を後にした。
「とりあえず沙紀に電話してみるか」
プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル
「おかけになった携帯は現在電源が入っていないか電波の届かないところにあります」
あれ?バッテリー切れてんのかな?翼先輩にかけてみるか
プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル
「おかけになった携帯は現在電源が入っていないか電波の届かないところにあります」
これ電波混み合ってて繋がんないんじゃね。これからどうしよう、とりあえず適当に探してみるか。
*     *     *     *
駄目だ全然見当たらない
もう3時間近く作品を見ながら探したが沙紀達の姿は一向に見つからない。
流石に疲れた玲は飲み物を買いベンチで一休みする。 
「玲くん!やっと見つけたよ」
「先輩1人ですか?沙紀達は?」
声のする方に目をやるとそこには翼の姿があった。しかし翼以外の面子は見当たらない。
「携帯あるから別れたんだけど電波が繋がらなくてね」
翼も玲と同じ状況だった様で、すっかりお手上げみたいだ。
「やっぱりそうですか、俺もそれで困ってたんですよ。何処か心当たりとか無いんですか?」
「あるにはあるんだけどね・・・」
「何処ですか?」
「あそこよ」
翼が指差す方は、少し高い位置にありここからでもよく見える。そこには物凄い人集りが出来ておりその中から沙紀達を捜すのはかなり根気がいりそうだ。
「でもなんであっこにいると思うんですか?」
「それは君の絵があそこに展示してあるからね、描いた本人なんだからそれくらい知っときなよ」
翼はひたいに手を当て呆れた目で玲を見た。
「いやー描いた物の後のことなんて気にしたこと無かったんで、でもそれなら確かにいるかもしれませんね」
玲は軽く笑いながら答え、根拠が分かったところでその人集りへと向かい足を進めた。
「もう行くの?少しは休まないと」
「いや、なるべく早く合流したいんで」
翼は仕方なく玲の後を追った。
 
*     *     *     *
20分後
午前中買ったギターが目印になり玲は無事沙紀達と合流する事が出来たがもう乃明を除く彼女らは見飽きたと言う表情をしていた。
「俺閉会式出てくるから先に帰ってていいよ」
「私達もそれくらい残るよ」
玲の言葉に乃明が答える。
「まだ1時間近くあるし明日学校なんで先輩には沙紀達送ってて貰いたいんですけど」
その言葉に乃明は沙紀達に目をやる。そこには疲れ切ってグダッとしている彼女らの姿があった。
「そうね、じゃあ私達が送って行くは」
乃明が応える前に翼が玲に返事をした。
「ありがとうございます。じゃあ気を付けて」
「君こそ気を付けてね」
玲は翼に沙紀達を預け閉会式の会場へと向かった。
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