突然不死身という最強の能力に目覚めちゃいました
迷子の少女1
学校を出て5分も歩けばすぐに中央区・中央駅だ。中央駅はここアルバスで最も大きい駅で、その周りは数多くの店舗で賑わっている。
時刻は午後1時、玲は少し遅いが昼食を取ろうと駅前をさまよっていた。
あんま時間も掛けたくないしパンでも買ってくか。
玲は近くにあったパン屋に入り、少し多めにパンを買って駅に向かった。
駅の麓にはいくつもの巨大なエレベーターが並んでいる。玲はその中の1つに乗り、約300メートル上にある駅へと向かった。アルバスの電車は全て空中にある線路にぶら下がって走っている。玲は改札を抜け第4区行きの電車へと乗り込んだ。
電車内はそれ程混んではいなく、玲はすんなりと席に座ることができた。間もなくしてアナウンスが流れ列車が発信する。駅内を抜け外に出るとそこには300メートルの高さからの絶景が広がっている。
玲はしばらく「ぼーっ」と窓から流れて行く街の風景をながめていた。
ポロンッ!
玲のスマホからLIMEの通知音がなった。玲はポケットからスマホを出し内容を確認する。
沙希「私の財布4区の警察署に届いたから帰りに受け取って来て」
は?お前財布落としたのかよ、それも警察署かぁ。あっこあんま行きたくないんだよな。
玲「警察署なら鈴音に頼めばいいだろ。あいつの職場だし」
4区の警察署は鈴音の職場だ。鈴音に届けてもらった方が玲にとっても都合がいい。
沙希「無理。鈴音、今うちにいるもん」
沙希からの返信はすぐ帰って来た。
あの人何してんの、仕事しろよ
玲「分かった取り行くよ」
玲は多少の不満を抱きながらも仕方なく警察署へ向かうことにした。
「次は〜4区中央〜、4区中央〜、降り口は右側です。お忘れ物のないようお気をつけ下さい」
目的の駅のアナウンスが鳴り、玲は車両から降り、警察署へ向かう。
ゆっくりと歩きながら電車に乗る前に買っておいたパンを食べていた。
警察署かぁ〜やだなぁ、行きたくねぇなぁ
警察署に近づくにつれ玲の足取りは重くなり、心は暗くなる。玲は警察署に着く時間を少しでも遅らせようと少し遠回りをした。その途中で懐かしい公園が目に入る。
この公園懐かしいなぁ、沙希にせがまれてよく来たよなぁ。そうそう沙希が丁度あのくらいの時だったよなぁ。
玲が昔の思い出に浸っているとそこに1人の挙動不振な少女が現れた。周りをキョロキョロして何かを捜している様に見える。
迷子かな?いや、きっと違うな。あんま関わりたくないしなぁ。迷子じゃないと信じてこのまま行くか。警察署着いたら一応報告しといてやるから
玲は自分に都合よく思考を働かせて勝手に納得した。しかしその直後少女と目が合ってしまった。玲はスーッと目をそらし警察署へ歩き出した。
しかし、急にギュッ!とズボンを引っ張られた。見るとそこにはさっきの少女が玲を見上げていた。さっきまで20メートルも離れいたはずが玲が一歩進む間にすぐ後ろまで移動していたのだ。
瞬間移動か。はぁ、厄介なことになったな
捕まった以上無視することも出来なくなってしまった。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんのお友達?」
少女が唐突に玲に不思議な問いかけをしてきた。
「お姉ちゃん?ごめんねちょっとわかんないかなぁ、お兄ちゃんちょっと行くとこあるからもう行くね」
玲は少女の目線に合わせ、屈んで優しく言い歩き出す。しかし少女は玲の後についてくる。玲は仕方なく再び歩みを止め振り返り少女に話しかける。
「ねぇ名前なんて言うの?」
「めいー!!」
少女は玲の質問に元気よく手を上げて答えた。
「めいちゃん、お兄ちゃんがいいこと教えてあげる。知らない人について行っちゃいけないんだよ。世の中には悪い人がいっぱいいるからね」
玲は少女に遠回しについて来るなと言ったが、もちろん少女はそんな意図は察してくれない。
「お兄ちゃんは悪い人?」
「別に悪い人じゃないよ。でもね悪い人はみんな自分を「悪い人じゃない」って言うから気をつけた方がいいよ」
「わかった!」
少女は玲の言葉にまた元気よく返事をした。
「分かったならいい」と玲が再び歩きだす。それに続き少女も玲を追って歩き始める。
この子なんも分かってないな、ついてっちゃいけないって言ったのに、お兄ちゃん君のこれからが心配だよ。
玲の心情とは裏腹にめいはニコニコと玲を見上げている。
「はぁ、分かったよ、ついてきていいよ」
めいの純粋な眼差しに負け玲は、仕方なくめいを警察署まで連れて行くことにした。
玲の言葉を聞くとめいは玲に向かって手を出してきた。どうやら「手を繋げ」と言う意味らしく、めいは玲の顔を見上げながらずっと手を出している。
玲はゆっくりと手をめいに向かって出すと、めいはその手をギュッと掴みニカッと笑った。
玲はめいを連れ警察署へと歩き出した。子供相手に無言で歩いているのもなんなので、玲はめいに簡単な話題を振ってみることにした。
「なぁ、めいちゃん、今日は何してたの?」
「今日はね、ママと一緒にお買い物してたの。すっごい大きなお店だった」
めいは体全体を使いジェスチャーをし、店の大きさを玲に伝えようとする。その姿はまるで小アリクイの威嚇のようで見ていて微笑ましい。
「買い物したんだ。楽しかった?」
玲はこれまた簡単な質問をして会話を繋ぐ。
「うん!楽しかった!あのね、大っきいぬいぐるみ買ってもらったの。あとね、甘〜いアイス食べたの、すっごく美味しかった!」
「へー、美味しかったんだ。お兄ちゃんも食べたかったな」
玲が冗談交じりに言うとそれを本気に捉えためいは、玲を慰めてくれた。
「今度行くときはお兄ちゃんも連れてってあげるね」
「ありがとう。楽しみにしてるよ」
玲はもちろんそんなことありっこないと思いながらも、返事だけはしっかりしておいた。
グ〜〜ッ!
めいのお腹から小さな音が聞こえてきた。
「腹減ってんの?」
「うん、まだお昼たべてないの」
少し心配になり尋ねると案の定めいは昼食を取っていなかった。
玲はバックからさっき駅前で買ったパンの袋を出し、めいに中身を見せ尋ねた。
「好きなのとりな、食べていいから」
めいは玲の差し出した袋の中を暫しあさり、メロンパンを取り出した。
「めいこれがいい!」
「メロンパンね、いいよ食べな」
「お兄ちゃんありがとう」
「ちゃんとお礼言ってめいちゃんは偉いね」
最近の子供はお礼が言えない子が多い、当たり前のことでもほめてやらなければ。
「うん、お姉ちゃんが、ちゃんとお礼は言いなさいって言ってた」
玲に褒められためいは得意げに教えてくれる。
「そうか、良い姉ちゃんが居んだね、大切にしなよ」
玲は身近な人を亡くしているため、その言葉にはつい悲しげなものが含まれてしまった。
子供はそういうところに意外と鋭い、めいが玲を心配し声をかけてくれる。
「お兄ちゃん?大丈夫」
その言葉で我に帰った玲は誤魔化すように小さく笑い「大丈夫だよ」と優しく伝える。それでもめいはどこか疑っている様で心配そうに玲を見上げている。
子供に心配されるなんて情けない、弱い自分がつくづく嫌になる。
玲は気持ちを切り替えいつも通りの柔らかい笑顔を作りめいを安心させようと話を変えた。
「腹減ってんだろ、早く食いな」
めいは思い出した様に手元のパンに目をやり大きく二つ返事で応えた。
「うん!」
めいは小さな口を大きく開けパンを美味しそうに頬張っている。それを見ているとなんだかこっちまで腹が減ってくる。玲もパンを1つ食べることにした。
「お兄ちゃんこのパン美味しいね」
そうか美味いか、もう1個買っておけば良かった。他人が食べているものはどうにも美味そうに見えてしまう。めいの美味しそうに食べる姿を見ていると、こっちも同じものを食べたくなってしまう。玲は口の中のものを全て飲み込んでから「美味しいか、それは良かった」と笑顔で返した。
「お兄ちゃんにも少しあげるね」
なんとなく玲の気持ちを察した様で、めいは手に持っているパンを少しちぎり玲に差し出してきた。
「ありがとう」
玲はパンを受け取り、反対の手でめいの頭をポンポンとかるく撫でた。めいは目を細め嬉しいそうにしている。
撫でるのをやめた玲の片手が空くとめいは再びその手を握ってくる。
すっかり懐かれてしまった。人に好かれるのは悪い気はしないが、相手は迷子なのだ。警察署で厄介なことになる様な気がしてきた。まぁ所詮は気のせいかとグダグダ考えることはせず現状のことに目を向ける。
玲は既にパンを食べ終っている。そのため水分をとられ口の中がパサパサしている。
「めいちゃん、何飲む?」
自販機の前に止まり玲がめいに尋ねる。
「あれが良い」
めいは手が届かず、パンを持った手を挙げ玲に訴えているが、それがどれを示しているのかいまいち分からない。
玲は大体のとこに指を当てめいの反応を伺う。
左から1個ずつ右へ指を動かす。3つ目のところでめいが首を縦に振る。
あずきゆずレモン?なんだこの怪しそうな飲み物は、玲は本当にこれで良いのかとめいを2度見するがやっぱりこれが良いらしい。
本人が良いなら良いか、玲はお金を入れ自分の分のコーヒーとあずきゆずレモンを買い、めいの分を渡した。それを受け取ると美味しそうに飲んでる。
「それ美味しいの?」
意外にも美味しそうに飲んでるめいについ尋ねてしまった。
「うん!美味しいよお兄ちゃんも飲む?」
めいは飲みかけの缶を玲に差し出してくる。
「いや、遠慮しとくよ。それよりもめいちゃん、そういうことは相手を誤解させちゃうからあんま異性にしちゃいけないよ」
めいの天然小悪魔の才が開花する前に玲はそれを摘んでしまうことにした。
このまま育てしまったらきっと彼女は多くの男子を地獄へと突き落としていただろう。玲がひと仕事終えた気になっているとめいがキョトンとした顔で聴いてきた。
「イセイってなぁに?」
ほう、そこが分からないかそうだよなまだこの歳だ知らない言葉も多いだろう。
「異性ってのは違う性別の人だよ。めいちゃんからすれば男の人のことだよ。わかった?」
「わかった!」
「わかったならいい、以後気をつける様に」
「はい!」
めいは玲の助言に元気よく返事をすると再びメロンパンを食べ始めた。その後しばらく他愛も無い話をしているとめいの足取りが段々とゆっくりになっていく。どうやらパンを食べお腹がいっぱいになり眠くなってしまった様だ。玲は腰を落としめいに背を向ける。玲の意図を察しためいはその背中におぶさった。
玲はゆっくりと立ち上がり今度は自分のペースで歩き始めた。程なくして背中のめいは眠ってしまい少し重さが増したが、玲はそのままの速度で警察署へ向かった。
時刻は午後1時、玲は少し遅いが昼食を取ろうと駅前をさまよっていた。
あんま時間も掛けたくないしパンでも買ってくか。
玲は近くにあったパン屋に入り、少し多めにパンを買って駅に向かった。
駅の麓にはいくつもの巨大なエレベーターが並んでいる。玲はその中の1つに乗り、約300メートル上にある駅へと向かった。アルバスの電車は全て空中にある線路にぶら下がって走っている。玲は改札を抜け第4区行きの電車へと乗り込んだ。
電車内はそれ程混んではいなく、玲はすんなりと席に座ることができた。間もなくしてアナウンスが流れ列車が発信する。駅内を抜け外に出るとそこには300メートルの高さからの絶景が広がっている。
玲はしばらく「ぼーっ」と窓から流れて行く街の風景をながめていた。
ポロンッ!
玲のスマホからLIMEの通知音がなった。玲はポケットからスマホを出し内容を確認する。
沙希「私の財布4区の警察署に届いたから帰りに受け取って来て」
は?お前財布落としたのかよ、それも警察署かぁ。あっこあんま行きたくないんだよな。
玲「警察署なら鈴音に頼めばいいだろ。あいつの職場だし」
4区の警察署は鈴音の職場だ。鈴音に届けてもらった方が玲にとっても都合がいい。
沙希「無理。鈴音、今うちにいるもん」
沙希からの返信はすぐ帰って来た。
あの人何してんの、仕事しろよ
玲「分かった取り行くよ」
玲は多少の不満を抱きながらも仕方なく警察署へ向かうことにした。
「次は〜4区中央〜、4区中央〜、降り口は右側です。お忘れ物のないようお気をつけ下さい」
目的の駅のアナウンスが鳴り、玲は車両から降り、警察署へ向かう。
ゆっくりと歩きながら電車に乗る前に買っておいたパンを食べていた。
警察署かぁ〜やだなぁ、行きたくねぇなぁ
警察署に近づくにつれ玲の足取りは重くなり、心は暗くなる。玲は警察署に着く時間を少しでも遅らせようと少し遠回りをした。その途中で懐かしい公園が目に入る。
この公園懐かしいなぁ、沙希にせがまれてよく来たよなぁ。そうそう沙希が丁度あのくらいの時だったよなぁ。
玲が昔の思い出に浸っているとそこに1人の挙動不振な少女が現れた。周りをキョロキョロして何かを捜している様に見える。
迷子かな?いや、きっと違うな。あんま関わりたくないしなぁ。迷子じゃないと信じてこのまま行くか。警察署着いたら一応報告しといてやるから
玲は自分に都合よく思考を働かせて勝手に納得した。しかしその直後少女と目が合ってしまった。玲はスーッと目をそらし警察署へ歩き出した。
しかし、急にギュッ!とズボンを引っ張られた。見るとそこにはさっきの少女が玲を見上げていた。さっきまで20メートルも離れいたはずが玲が一歩進む間にすぐ後ろまで移動していたのだ。
瞬間移動か。はぁ、厄介なことになったな
捕まった以上無視することも出来なくなってしまった。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんのお友達?」
少女が唐突に玲に不思議な問いかけをしてきた。
「お姉ちゃん?ごめんねちょっとわかんないかなぁ、お兄ちゃんちょっと行くとこあるからもう行くね」
玲は少女の目線に合わせ、屈んで優しく言い歩き出す。しかし少女は玲の後についてくる。玲は仕方なく再び歩みを止め振り返り少女に話しかける。
「ねぇ名前なんて言うの?」
「めいー!!」
少女は玲の質問に元気よく手を上げて答えた。
「めいちゃん、お兄ちゃんがいいこと教えてあげる。知らない人について行っちゃいけないんだよ。世の中には悪い人がいっぱいいるからね」
玲は少女に遠回しについて来るなと言ったが、もちろん少女はそんな意図は察してくれない。
「お兄ちゃんは悪い人?」
「別に悪い人じゃないよ。でもね悪い人はみんな自分を「悪い人じゃない」って言うから気をつけた方がいいよ」
「わかった!」
少女は玲の言葉にまた元気よく返事をした。
「分かったならいい」と玲が再び歩きだす。それに続き少女も玲を追って歩き始める。
この子なんも分かってないな、ついてっちゃいけないって言ったのに、お兄ちゃん君のこれからが心配だよ。
玲の心情とは裏腹にめいはニコニコと玲を見上げている。
「はぁ、分かったよ、ついてきていいよ」
めいの純粋な眼差しに負け玲は、仕方なくめいを警察署まで連れて行くことにした。
玲の言葉を聞くとめいは玲に向かって手を出してきた。どうやら「手を繋げ」と言う意味らしく、めいは玲の顔を見上げながらずっと手を出している。
玲はゆっくりと手をめいに向かって出すと、めいはその手をギュッと掴みニカッと笑った。
玲はめいを連れ警察署へと歩き出した。子供相手に無言で歩いているのもなんなので、玲はめいに簡単な話題を振ってみることにした。
「なぁ、めいちゃん、今日は何してたの?」
「今日はね、ママと一緒にお買い物してたの。すっごい大きなお店だった」
めいは体全体を使いジェスチャーをし、店の大きさを玲に伝えようとする。その姿はまるで小アリクイの威嚇のようで見ていて微笑ましい。
「買い物したんだ。楽しかった?」
玲はこれまた簡単な質問をして会話を繋ぐ。
「うん!楽しかった!あのね、大っきいぬいぐるみ買ってもらったの。あとね、甘〜いアイス食べたの、すっごく美味しかった!」
「へー、美味しかったんだ。お兄ちゃんも食べたかったな」
玲が冗談交じりに言うとそれを本気に捉えためいは、玲を慰めてくれた。
「今度行くときはお兄ちゃんも連れてってあげるね」
「ありがとう。楽しみにしてるよ」
玲はもちろんそんなことありっこないと思いながらも、返事だけはしっかりしておいた。
グ〜〜ッ!
めいのお腹から小さな音が聞こえてきた。
「腹減ってんの?」
「うん、まだお昼たべてないの」
少し心配になり尋ねると案の定めいは昼食を取っていなかった。
玲はバックからさっき駅前で買ったパンの袋を出し、めいに中身を見せ尋ねた。
「好きなのとりな、食べていいから」
めいは玲の差し出した袋の中を暫しあさり、メロンパンを取り出した。
「めいこれがいい!」
「メロンパンね、いいよ食べな」
「お兄ちゃんありがとう」
「ちゃんとお礼言ってめいちゃんは偉いね」
最近の子供はお礼が言えない子が多い、当たり前のことでもほめてやらなければ。
「うん、お姉ちゃんが、ちゃんとお礼は言いなさいって言ってた」
玲に褒められためいは得意げに教えてくれる。
「そうか、良い姉ちゃんが居んだね、大切にしなよ」
玲は身近な人を亡くしているため、その言葉にはつい悲しげなものが含まれてしまった。
子供はそういうところに意外と鋭い、めいが玲を心配し声をかけてくれる。
「お兄ちゃん?大丈夫」
その言葉で我に帰った玲は誤魔化すように小さく笑い「大丈夫だよ」と優しく伝える。それでもめいはどこか疑っている様で心配そうに玲を見上げている。
子供に心配されるなんて情けない、弱い自分がつくづく嫌になる。
玲は気持ちを切り替えいつも通りの柔らかい笑顔を作りめいを安心させようと話を変えた。
「腹減ってんだろ、早く食いな」
めいは思い出した様に手元のパンに目をやり大きく二つ返事で応えた。
「うん!」
めいは小さな口を大きく開けパンを美味しそうに頬張っている。それを見ているとなんだかこっちまで腹が減ってくる。玲もパンを1つ食べることにした。
「お兄ちゃんこのパン美味しいね」
そうか美味いか、もう1個買っておけば良かった。他人が食べているものはどうにも美味そうに見えてしまう。めいの美味しそうに食べる姿を見ていると、こっちも同じものを食べたくなってしまう。玲は口の中のものを全て飲み込んでから「美味しいか、それは良かった」と笑顔で返した。
「お兄ちゃんにも少しあげるね」
なんとなく玲の気持ちを察した様で、めいは手に持っているパンを少しちぎり玲に差し出してきた。
「ありがとう」
玲はパンを受け取り、反対の手でめいの頭をポンポンとかるく撫でた。めいは目を細め嬉しいそうにしている。
撫でるのをやめた玲の片手が空くとめいは再びその手を握ってくる。
すっかり懐かれてしまった。人に好かれるのは悪い気はしないが、相手は迷子なのだ。警察署で厄介なことになる様な気がしてきた。まぁ所詮は気のせいかとグダグダ考えることはせず現状のことに目を向ける。
玲は既にパンを食べ終っている。そのため水分をとられ口の中がパサパサしている。
「めいちゃん、何飲む?」
自販機の前に止まり玲がめいに尋ねる。
「あれが良い」
めいは手が届かず、パンを持った手を挙げ玲に訴えているが、それがどれを示しているのかいまいち分からない。
玲は大体のとこに指を当てめいの反応を伺う。
左から1個ずつ右へ指を動かす。3つ目のところでめいが首を縦に振る。
あずきゆずレモン?なんだこの怪しそうな飲み物は、玲は本当にこれで良いのかとめいを2度見するがやっぱりこれが良いらしい。
本人が良いなら良いか、玲はお金を入れ自分の分のコーヒーとあずきゆずレモンを買い、めいの分を渡した。それを受け取ると美味しそうに飲んでる。
「それ美味しいの?」
意外にも美味しそうに飲んでるめいについ尋ねてしまった。
「うん!美味しいよお兄ちゃんも飲む?」
めいは飲みかけの缶を玲に差し出してくる。
「いや、遠慮しとくよ。それよりもめいちゃん、そういうことは相手を誤解させちゃうからあんま異性にしちゃいけないよ」
めいの天然小悪魔の才が開花する前に玲はそれを摘んでしまうことにした。
このまま育てしまったらきっと彼女は多くの男子を地獄へと突き落としていただろう。玲がひと仕事終えた気になっているとめいがキョトンとした顔で聴いてきた。
「イセイってなぁに?」
ほう、そこが分からないかそうだよなまだこの歳だ知らない言葉も多いだろう。
「異性ってのは違う性別の人だよ。めいちゃんからすれば男の人のことだよ。わかった?」
「わかった!」
「わかったならいい、以後気をつける様に」
「はい!」
めいは玲の助言に元気よく返事をすると再びメロンパンを食べ始めた。その後しばらく他愛も無い話をしているとめいの足取りが段々とゆっくりになっていく。どうやらパンを食べお腹がいっぱいになり眠くなってしまった様だ。玲は腰を落としめいに背を向ける。玲の意図を察しためいはその背中におぶさった。
玲はゆっくりと立ち上がり今度は自分のペースで歩き始めた。程なくして背中のめいは眠ってしまい少し重さが増したが、玲はそのままの速度で警察署へ向かった。
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屈んで優しく言い歩き出す。