突然不死身という最強の能力に目覚めちゃいました
生徒会役員2
生徒会室
「お口に合うかわかりませんが、どうぞ、お茶です」
乃明はまるで貴族を相手にしている様な態度で玲に紅茶を出している。それに対し玲は少し困った様子で「ありがとうございます」と差し出されたお茶をいただいていた。
「どうしてこうなった」玲は心の中でそう呟いた。
約20分前・・・
一誠にかつがれた乃明が駄々をこねながら戻ってきた。
神谷 玲に会えなかったのが相当悔しかったのか乃明はかなりご乱心だ。
「一誠!何で邪魔するの!夢にまで見た、あの神谷 玲に会えるせっかくのチャンスだったのに!」
しかし一誠は全く動じる様子はない。
「ですから会長、何も今日彼に会う必要はないと言っているんです。暫く経って、生徒たちが落ち着いた時、会えばいいじゃないですか。ここで会長が会長らしく生徒たちの指揮を執って一早く学校に落ち着きが戻ればその分早く神谷さんに会えると言うものです」
一誠の言葉に言い返す言葉が見当たらず乃明が黙り込む。話がついたところで一誠は玲達に気づき自己紹介を始めた。
「御見苦しいところを見せてしまいすみません。私は風紀委員長の山羊 一誠です。白石(しらいし)この方々は?」
自己紹介が終わると今度は玲達の名前を聞いてきた。
「彼らは新入生だよ。神谷 玲くんと雨水 凛さんだ」
一誠の問いに答えたのは翼だった。どうやら翼の苗字は白石だったらしい。玲と凛は翼の紹介に合わせて軽く頭を下げた。
その紹介に過剰に乃明が反応する。
   
「神谷・・・玲?え?   ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!玲くんがあの神谷 玲、本人!同性同名とかじゃなくて」
あまりの驚き様に玲は引き気味になって答えた。
「どうやらそうみたいですね。正直言って自分もまだ信じられないですけど」
玲もついさっき、自分が有名人だと知ったばかりで、あまり自分のことだとは思えず何だか他人事の様だ。
「「信じられない」とはどういうことですか?まさか神谷さんが自身のことを知らなかった訳でもないでしょうに」
玲の発言に対し一誠が不思議そうに問いかける。
「そのまさかなんですよ、俺も今日雨水さんに教えてもらったばっかなんで、正直言って全然実感湧かないんですよ」
「まさか本人が知らなかったとはな、不思議な事もあるものだ」
一誠は言って「はっはっは!」と笑っている。
「そんなことより!玲くん、いや神谷様この後お時間よろしいでしょうか、ぜひお話を聴かせていただきたく存じます」
「ウチも神谷くんの話いろいろと聴かせて欲しいです」
乃明は一誠にかつがれたまま、両手を合わせて深く頭を下げる。その熱心な態度に、同じく玲の絵のファンである凛が感化されたのか一緒になり玲に頼み込む。玲は早く帰りたかったので断ろうと声を出そうとしたが別の声に阻まれてしまった。
「え!凛ちゃんも神谷様のファンだったの!じゃあ早速生徒会室に行こう!」
あれ?俺行くなんて一言も言ってないよね、速く帰りたいのに
こうして一行は、玲の意思など関係なく生徒会室へ向かうこととなった。
ここ総合高校は、各学科ごとに棟が設けられている。それらの棟は、共同棟と言う全学科共通で使う棟を、囲う様に東西に配置されている。南北方向はグランドと、校門から昇降口までの道になっている。
今玲達がいるのは共同棟の周りにある棟の1つ美術棟である。生徒会室は共同棟にあるのですぐ隣の棟だ、と言ってもこの学校は、一棟一棟が普通の学校の校舎全体と同じくらいのサイズになっていて、いくら隣と言っても歩いて行くにはそれなりの時間がかかる。その際、乃明と凛は画家、神谷 玲の話でかなり盛り上がっていた。それに比べ玲は、全然乗り気ではない様子だ。
美術棟から共同棟へ入るとすぐにエレベーターがある。それに乗り、玲達は1階から生徒会室のある7階へと移動した。エレベーターを降りると、そのすぐ前に「生徒会」と書かれた扉がある。翼が扉を開け中に入る様に促す。玲達は促されるまま生徒会室へ入った。
中は20畳くらいのかなり広い部屋で、入ってすぐに下駄箱がある。部屋の真ん中あたりには高価そうな丸机があり、その周りにはソファーやテレビが置いてある。さらに、奥の方にキッチンの様なものまで見える。
それはまるで高級住宅のリビングキッチンの様なものだった。
「ほぇ〜すご〜い、生徒会ってこんな良い部屋使えるんですね〜」
凛は何だか気の抜けた様な声を漏らし驚いている。
それに対し玲の方は確かに驚いたが、それよりも疑問の方が大きくなっていた。
なんでこの部屋生徒会らしい書類とか一切無いんだ?この人達「生徒会」の肩書き借りて実は遊んでんじゃ無いの?
「この部屋はあくまで人が来た時のための客間だからね」
まるで玲の心の声を読んだかの様に、翼がタイミングよく部屋の説明をした。
「本当の生徒会室はこの奥ですので」
翼の説明に補足を入れる様に一誠が言い、キッチンの方へと歩いて行った。
「こちらが生徒会の仕事室です」
一誠はその奥にあった一枚の扉を開ける。
扉の奥には少し余計な物もあるが、書類や、事務用品がほとんどを占めるいかにも仕事場といった感じの部屋があった。
「私達は何も遊んでばかりじゃいられないからね」
翼が少し笑いながら言った。
翼先輩その言い方だと、普段は遊んでるって捉え方ができるんですけどそんなわけないですよね。
玲は声に出さず心の中にしまった。
「まぁお茶でも入れるから適当に掛けてくれ」
玲は翼に言われるがまま客間のソファーに腰掛けた。一誠も、玲と少し間を開け同じソファーに腰掛ける。凛と乃明は何故か、部屋の隅にある小さい机を挟む様に置かれた座布団に座る。
翼は1人キッチンへ行き、紅茶を入れる段取りをしていた。
しばらくして、翼がお茶を淹れ終わり乃明に運ぶ様に頼んだ。
そして冒頭にもどる。
玲がお茶を受け取っても、乃明はその場を動こうとはしない。どうやら玲がお茶を飲むのを待っている様だ。
こうもずっと見られていると何だか居心地が悪い、玲は仕方なく紅茶に口をつけた。
「美味しいです」
玲はおそらく、乃明が望んでいるであろう言葉を口にする。
それを聴くと乃明は満足した様に玲の元を離れ紅茶を一通り配り、元いた場所へともどっていった。
「ごめんね、なんか無理に来てもらっちゃったみたいで」
翼は玲の正面の木製の椅子に腰をかけ、乃明の方に目をやり、小さい声で言った。
「何ですかそれ、なんか乃明先輩の保護者みたいですね」
「保護者ね、まぁ半分そんな様なもんだよ。
   私は乃明の監視だからね、いわゆる「ガーディアン」ってやつだよ」
「それってつまり・・・」
「ガーディアン」とはSSランク以上につく監視の名称だ。「ガーディアン」として支えるには厳しい試験に合格し、国から資格書をもらわなければならない。
そして翼がガーディアンと言うことは、乃明はSSもしくはSSSランクであると言うことだ。
「そう、乃明はSSランクなんだよ。ちなみに能力は「サモン」。水を操るドラゴンを召喚出来るんだよ。」
「サモン」とはモンスターや悪魔などを召喚する能力、つまり口寄せだ。そして。この能力はかなり珍しくそれを所持する者のほとんどがSランク以上だと言われている。
「SSランクって事はもしかして山羊先輩もガーディアンってことですか?」
ガーディアンは2人付くことが決められている。翼が1人としてもう1人いることになる。そうなると必然的に一誠がガーディアンの可能性が高くなってくる。
「私は違いますよ。彼女にはガーディアンが1人しか付いていないんです。」
「どう言う事ですか?」
「会長自身が「ガーディアン」の資格保有者ですので監視は1人免除されてるんです」
「そんな決まりがあったんですね。全然知りませんでした」
「まぁ私達も乃明に教えてもらわなかったら知らなかったんだけどね」
感心してる玲に翼が知らないのが当たり前だとフォローするように言った。
「じゃあ乃明先輩なんでそんな事知ってたんですか?」
「乃明は知ってたんじゃなくて調べたんだよ。あの子、入学した時は無能力者だったんだ。2学期くらいかな、何が原因かわからないけど突然覚醒して能力者になってね、それもSSランク。それで監視が付くって知ったら凄く嫌がって「私がガーディアンになる」って言って、私も付き合わされたのよ。まぁ私と乃明は幼馴染で基本普段から一緒だったから、ガーディアンになろうがあまり生活が変わる事は無かったけどね」
「「覚醒」ですか・・・」
「覚醒」とはそれまで無能力だった者が突然能力に目覚める事である。玲に起きたのも覚醒だ。
「そ、覚醒。もしかしたら玲くんも突然能力に目覚めるかもしれないね」
突然の翼の言葉に玲は図星を突かれ、一瞬遅れ言葉を返す。
「そうだったらいいですね」
「あぁ。君には是非生徒会に入って欲しからね。でも君なら無能力のままでも入れそうで怖いよ」
冗談のつもりか翼は笑って言った。だか玲はその意味がいまいちよくわからなかった。
「能力と生徒会がどう繋がってるんですか?」
「神谷さんは新入生だから知らないのも無理はない。この学校の生徒会はある程度の実力が無いと入れないことになってるんですよ。まぁ詳細はそのうちわかるでしょう」
玲の疑問に一誠が答えてくれた。
「はぁ、そうなんですか。ありがとうございます」
玲は手元にあるティーカップをとり口元へと運ぶ。しかしもう中身はなく、底に溜まった水滴が少し喉を通っただけだった。玲はカップを机に戻し、凛の方へ目をやる。凛は玲の視線に気づく様子などなく乃明と楽しそうに話している。「これ俺来る必要無かったよな」と思いはするが考えても仕方がない。
玲はゆっくりと腰を上げ床にあるカバンに手をやる。
「そろそろ帰ります。ありがとうございました」
「こっちこそありがとう。乃明のわがままで時間取らせちゃって。まぁ、また遊びに来てよ」
「機会があればまた来ます」
翼の誘いにどっちとも取れない返事をし、軽く頭を下げ玲は生徒会室を後にした。
*     *     *    *
「なぁ白石彼は本当に無能力者なのか?」
玲がいなくなると直ぐに一誠が翼に訪ねた。
「もらった書類には無能力だと書かれていたけど、何か気になるの?」
「あぁ、さっき騒ぎの時なんだが」
「さっきの騒ぎって、玲くんを見に生徒達が集まってたやつでしょ」
「おかしいと思わなかったか?
あれだけ大勢の生徒が全員、私たちが来る前に静まり返っていたんだぞ」
「まぁ確かに変ね」
一誠の言葉に翼も考えさせられる。
「あの時、現場にいた生徒に話を聞いたんだ。そしたら「殺されるかと思った」と言ったんだ。しかも神谷 玲は少し言葉を放ち睨み付けただけだと言う」
「それって・・・」
「あぁ、多分彼は私と同じ「プレッシャー」の持ち主だ」
そんな話をされていることも知らず、玲は1人廊下を歩いていた。
「お口に合うかわかりませんが、どうぞ、お茶です」
乃明はまるで貴族を相手にしている様な態度で玲に紅茶を出している。それに対し玲は少し困った様子で「ありがとうございます」と差し出されたお茶をいただいていた。
「どうしてこうなった」玲は心の中でそう呟いた。
約20分前・・・
一誠にかつがれた乃明が駄々をこねながら戻ってきた。
神谷 玲に会えなかったのが相当悔しかったのか乃明はかなりご乱心だ。
「一誠!何で邪魔するの!夢にまで見た、あの神谷 玲に会えるせっかくのチャンスだったのに!」
しかし一誠は全く動じる様子はない。
「ですから会長、何も今日彼に会う必要はないと言っているんです。暫く経って、生徒たちが落ち着いた時、会えばいいじゃないですか。ここで会長が会長らしく生徒たちの指揮を執って一早く学校に落ち着きが戻ればその分早く神谷さんに会えると言うものです」
一誠の言葉に言い返す言葉が見当たらず乃明が黙り込む。話がついたところで一誠は玲達に気づき自己紹介を始めた。
「御見苦しいところを見せてしまいすみません。私は風紀委員長の山羊 一誠です。白石(しらいし)この方々は?」
自己紹介が終わると今度は玲達の名前を聞いてきた。
「彼らは新入生だよ。神谷 玲くんと雨水 凛さんだ」
一誠の問いに答えたのは翼だった。どうやら翼の苗字は白石だったらしい。玲と凛は翼の紹介に合わせて軽く頭を下げた。
その紹介に過剰に乃明が反応する。
   
「神谷・・・玲?え?   ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!玲くんがあの神谷 玲、本人!同性同名とかじゃなくて」
あまりの驚き様に玲は引き気味になって答えた。
「どうやらそうみたいですね。正直言って自分もまだ信じられないですけど」
玲もついさっき、自分が有名人だと知ったばかりで、あまり自分のことだとは思えず何だか他人事の様だ。
「「信じられない」とはどういうことですか?まさか神谷さんが自身のことを知らなかった訳でもないでしょうに」
玲の発言に対し一誠が不思議そうに問いかける。
「そのまさかなんですよ、俺も今日雨水さんに教えてもらったばっかなんで、正直言って全然実感湧かないんですよ」
「まさか本人が知らなかったとはな、不思議な事もあるものだ」
一誠は言って「はっはっは!」と笑っている。
「そんなことより!玲くん、いや神谷様この後お時間よろしいでしょうか、ぜひお話を聴かせていただきたく存じます」
「ウチも神谷くんの話いろいろと聴かせて欲しいです」
乃明は一誠にかつがれたまま、両手を合わせて深く頭を下げる。その熱心な態度に、同じく玲の絵のファンである凛が感化されたのか一緒になり玲に頼み込む。玲は早く帰りたかったので断ろうと声を出そうとしたが別の声に阻まれてしまった。
「え!凛ちゃんも神谷様のファンだったの!じゃあ早速生徒会室に行こう!」
あれ?俺行くなんて一言も言ってないよね、速く帰りたいのに
こうして一行は、玲の意思など関係なく生徒会室へ向かうこととなった。
ここ総合高校は、各学科ごとに棟が設けられている。それらの棟は、共同棟と言う全学科共通で使う棟を、囲う様に東西に配置されている。南北方向はグランドと、校門から昇降口までの道になっている。
今玲達がいるのは共同棟の周りにある棟の1つ美術棟である。生徒会室は共同棟にあるのですぐ隣の棟だ、と言ってもこの学校は、一棟一棟が普通の学校の校舎全体と同じくらいのサイズになっていて、いくら隣と言っても歩いて行くにはそれなりの時間がかかる。その際、乃明と凛は画家、神谷 玲の話でかなり盛り上がっていた。それに比べ玲は、全然乗り気ではない様子だ。
美術棟から共同棟へ入るとすぐにエレベーターがある。それに乗り、玲達は1階から生徒会室のある7階へと移動した。エレベーターを降りると、そのすぐ前に「生徒会」と書かれた扉がある。翼が扉を開け中に入る様に促す。玲達は促されるまま生徒会室へ入った。
中は20畳くらいのかなり広い部屋で、入ってすぐに下駄箱がある。部屋の真ん中あたりには高価そうな丸机があり、その周りにはソファーやテレビが置いてある。さらに、奥の方にキッチンの様なものまで見える。
それはまるで高級住宅のリビングキッチンの様なものだった。
「ほぇ〜すご〜い、生徒会ってこんな良い部屋使えるんですね〜」
凛は何だか気の抜けた様な声を漏らし驚いている。
それに対し玲の方は確かに驚いたが、それよりも疑問の方が大きくなっていた。
なんでこの部屋生徒会らしい書類とか一切無いんだ?この人達「生徒会」の肩書き借りて実は遊んでんじゃ無いの?
「この部屋はあくまで人が来た時のための客間だからね」
まるで玲の心の声を読んだかの様に、翼がタイミングよく部屋の説明をした。
「本当の生徒会室はこの奥ですので」
翼の説明に補足を入れる様に一誠が言い、キッチンの方へと歩いて行った。
「こちらが生徒会の仕事室です」
一誠はその奥にあった一枚の扉を開ける。
扉の奥には少し余計な物もあるが、書類や、事務用品がほとんどを占めるいかにも仕事場といった感じの部屋があった。
「私達は何も遊んでばかりじゃいられないからね」
翼が少し笑いながら言った。
翼先輩その言い方だと、普段は遊んでるって捉え方ができるんですけどそんなわけないですよね。
玲は声に出さず心の中にしまった。
「まぁお茶でも入れるから適当に掛けてくれ」
玲は翼に言われるがまま客間のソファーに腰掛けた。一誠も、玲と少し間を開け同じソファーに腰掛ける。凛と乃明は何故か、部屋の隅にある小さい机を挟む様に置かれた座布団に座る。
翼は1人キッチンへ行き、紅茶を入れる段取りをしていた。
しばらくして、翼がお茶を淹れ終わり乃明に運ぶ様に頼んだ。
そして冒頭にもどる。
玲がお茶を受け取っても、乃明はその場を動こうとはしない。どうやら玲がお茶を飲むのを待っている様だ。
こうもずっと見られていると何だか居心地が悪い、玲は仕方なく紅茶に口をつけた。
「美味しいです」
玲はおそらく、乃明が望んでいるであろう言葉を口にする。
それを聴くと乃明は満足した様に玲の元を離れ紅茶を一通り配り、元いた場所へともどっていった。
「ごめんね、なんか無理に来てもらっちゃったみたいで」
翼は玲の正面の木製の椅子に腰をかけ、乃明の方に目をやり、小さい声で言った。
「何ですかそれ、なんか乃明先輩の保護者みたいですね」
「保護者ね、まぁ半分そんな様なもんだよ。
   私は乃明の監視だからね、いわゆる「ガーディアン」ってやつだよ」
「それってつまり・・・」
「ガーディアン」とはSSランク以上につく監視の名称だ。「ガーディアン」として支えるには厳しい試験に合格し、国から資格書をもらわなければならない。
そして翼がガーディアンと言うことは、乃明はSSもしくはSSSランクであると言うことだ。
「そう、乃明はSSランクなんだよ。ちなみに能力は「サモン」。水を操るドラゴンを召喚出来るんだよ。」
「サモン」とはモンスターや悪魔などを召喚する能力、つまり口寄せだ。そして。この能力はかなり珍しくそれを所持する者のほとんどがSランク以上だと言われている。
「SSランクって事はもしかして山羊先輩もガーディアンってことですか?」
ガーディアンは2人付くことが決められている。翼が1人としてもう1人いることになる。そうなると必然的に一誠がガーディアンの可能性が高くなってくる。
「私は違いますよ。彼女にはガーディアンが1人しか付いていないんです。」
「どう言う事ですか?」
「会長自身が「ガーディアン」の資格保有者ですので監視は1人免除されてるんです」
「そんな決まりがあったんですね。全然知りませんでした」
「まぁ私達も乃明に教えてもらわなかったら知らなかったんだけどね」
感心してる玲に翼が知らないのが当たり前だとフォローするように言った。
「じゃあ乃明先輩なんでそんな事知ってたんですか?」
「乃明は知ってたんじゃなくて調べたんだよ。あの子、入学した時は無能力者だったんだ。2学期くらいかな、何が原因かわからないけど突然覚醒して能力者になってね、それもSSランク。それで監視が付くって知ったら凄く嫌がって「私がガーディアンになる」って言って、私も付き合わされたのよ。まぁ私と乃明は幼馴染で基本普段から一緒だったから、ガーディアンになろうがあまり生活が変わる事は無かったけどね」
「「覚醒」ですか・・・」
「覚醒」とはそれまで無能力だった者が突然能力に目覚める事である。玲に起きたのも覚醒だ。
「そ、覚醒。もしかしたら玲くんも突然能力に目覚めるかもしれないね」
突然の翼の言葉に玲は図星を突かれ、一瞬遅れ言葉を返す。
「そうだったらいいですね」
「あぁ。君には是非生徒会に入って欲しからね。でも君なら無能力のままでも入れそうで怖いよ」
冗談のつもりか翼は笑って言った。だか玲はその意味がいまいちよくわからなかった。
「能力と生徒会がどう繋がってるんですか?」
「神谷さんは新入生だから知らないのも無理はない。この学校の生徒会はある程度の実力が無いと入れないことになってるんですよ。まぁ詳細はそのうちわかるでしょう」
玲の疑問に一誠が答えてくれた。
「はぁ、そうなんですか。ありがとうございます」
玲は手元にあるティーカップをとり口元へと運ぶ。しかしもう中身はなく、底に溜まった水滴が少し喉を通っただけだった。玲はカップを机に戻し、凛の方へ目をやる。凛は玲の視線に気づく様子などなく乃明と楽しそうに話している。「これ俺来る必要無かったよな」と思いはするが考えても仕方がない。
玲はゆっくりと腰を上げ床にあるカバンに手をやる。
「そろそろ帰ります。ありがとうございました」
「こっちこそありがとう。乃明のわがままで時間取らせちゃって。まぁ、また遊びに来てよ」
「機会があればまた来ます」
翼の誘いにどっちとも取れない返事をし、軽く頭を下げ玲は生徒会室を後にした。
*     *     *    *
「なぁ白石彼は本当に無能力者なのか?」
玲がいなくなると直ぐに一誠が翼に訪ねた。
「もらった書類には無能力だと書かれていたけど、何か気になるの?」
「あぁ、さっき騒ぎの時なんだが」
「さっきの騒ぎって、玲くんを見に生徒達が集まってたやつでしょ」
「おかしいと思わなかったか?
あれだけ大勢の生徒が全員、私たちが来る前に静まり返っていたんだぞ」
「まぁ確かに変ね」
一誠の言葉に翼も考えさせられる。
「あの時、現場にいた生徒に話を聞いたんだ。そしたら「殺されるかと思った」と言ったんだ。しかも神谷 玲は少し言葉を放ち睨み付けただけだと言う」
「それって・・・」
「あぁ、多分彼は私と同じ「プレッシャー」の持ち主だ」
そんな話をされていることも知らず、玲は1人廊下を歩いていた。
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