とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

蝶の間合い














「ふぅ…なんだ、来ちゃったのか…面倒だからなるべく戦いたくなかったんだけどな…」

部屋の中でゴロンとくつろいでいた女の子がよいしょと呟きながら立ち上がる。

「で、撤退してくれたりはしないよね?」

女の子はそう言いながら壁に吊るしていた刀を手に取る。刀、攻撃範囲が広そうな日本刀を両手で持ち女の子は構える。

「私の間合いに入ったら斬る。逃げ出すなら今だよ」

「逃げる?逃げるわけな…」

ダイナが最後まで言い終わる直前、斬撃がダイナの頬を遮りダイナの言葉を断ち切る。

「そう…じゃあ、斬る」

何が起こったのかわからなかった。彼女はただ抜刀し刀を軽く振るっただけだった。

「さて、どんなとんでも能力なのかな…」

ダイナは敵の能力を警戒して物陰に隠れる。状況を整理しようとダイナが少し心を落ち着かせた直後、ダイナを敵から隠していた巨大な鉄の箱が両断された。

「悪いけど、私斬るって決めた獲物は絶対に逃がさないから…」

ダイナはすぐさま能力を発動する。4つの光の球を作り出して敵目掛けてビームを発射するが、敵はあっさりとダイナの攻撃を回避する。

「へえ、なるほど。あなた、結構強いね…ビームを撃つ能力かな?」

「ええ、簡単に言えばそうですね。あなたは斬撃を飛ばす能力ですか?」

「ちょっと違う…私の能力は私が斬りたいものを全て斬る。まあ、斬れるのは私の視界内だけだけどね…」

「視界内のどこにでも斬撃を飛ばすってことですか、厄介ですね…」

ダイナは敵の刀を警戒しながら能力を展開する。四方から発射されるビームが敵を襲う。

「悪いけどあなたの能力は全て見切った。だから全部斬る」

そう言いながら敵は刀を4回振るった。するとビームは全て真っ二つに裂けて敵を仕留め損なった。

「なっ…」

「行ったでしょう…私が斬りたいものは全て斬れるって…光も空気も鉄も水も全て斬れる」

「っ……」

ダイナは急に苦しさを覚えた。息ができない。ダイナは苦しみながらその場に倒れる。

「ごめんね、そういえば生け捕りにしろって言われてた。だからあなたは斬れない。代わりにさっきあなたのビームを防ぐついでに周りの空気を斬った。あなたが気を失う頃にはちゃんと空気が戻ってるから心配しないでゆっくり眠って」

敵の言葉を聞きながらダイナの気は徐々に失われていく。

ダイナは最後の力を振り絞ってビームを発射した。

「悪いけどそれを斬る気にはならない…」

ダイナのビームは敵に当たる直前に消滅した。そして光の球も消滅しダイナは気を失った。

「チェックメイト、私の勝ち…でも安心して、あなたは十分強かった…私が強すぎるだけだから…」

敵はダイナに心から敬意を払い言う。だがそれはダイナの耳には届かなかった。敵は刀をしまいダイナを部屋の隅に拘束して再びくつろぎ始める。













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