とある学園生活は制限付き能力とともに
正面入り口
「あれ、侵入者が来たみたいですよ〜」
研究所内でモニターを見ていたミィリィが呟く。
「は?そんな、馬鹿な…いくら志穂がいるからって早すぎる」
弥生が慌ててモニターを確認する。研究所正面入り口を目指して堂々と歩いてくる2人の少女…
「爆裂姫と白雪姫…すぐに迎撃してちょうだい、たぶん他の連中も来てるはずよ」
「わかりました。黒の蝶全員で迎撃に入ります」
「ただし、なるべく生け捕りにしてちょうだい。丁度実験体が減っていて困っていたの」
「わかりました。各自敵の迎撃に向かう。やり方はそれぞれに任せる」
こうして黒の蝶は研究所のあちこちへ飛び立った。
「さてと、じゃあとりあえず白雪姫と爆裂姫を片付けようかな…」
穂花はそう言いながら能力を発動して研究所正面に仕込んだ大量の武装ドローンの標的を白雪姫と爆裂姫に定めた。
「ほほう、なんかいっぱいきたぞ!白雪姫」
「私相手に機械ってなめてるのかしら…」
ゆき姉は若干顔を拒めながら呟く。
「どれ、私自慢の爆弾で一気に片付けてやろう」
リンリン先輩は自分の能力を詰め込んだ小さめの手榴弾をとりだす。
「黒より黒く…」
「それ以上はいっちゃダメ!」
なんかまずいような気がしたゆき姉は慌ててリンリン先輩の言葉を遮る。
「えー、まあいいか…エクスプロージョン!!!」
1番言っちゃダメなやつ言っちゃったよこの人!
リンリン先輩がそう叫んだ直後、手榴弾が爆発した。とても小さな手榴弾だったはずなのに周囲にあるものすべて粉々に粉砕してしまった。大量にあったはずのドローンもすでに全滅状態だ。
「嘘でしょ…あの量を一瞬で片付けるなんて…」
ドローンを操っていた穂花はとても信じられずに次は倍の量のドローンを投入した。
「次は私がやる…」
自分たちに向かってくるのがドローンばかりでイラついたゆき姉がそう言いながら前へ出る。そして一瞬で全てのドローンを氷の塊の中に閉じ込めた。
「嘘でしょ…」
自慢の武装ドローンの軍隊をあっさりと葬られた穂花は白雪姫と爆裂姫を他のメンバーに任せてターゲットを他の者にすることにした。
「どうやらドローンは打ち止め見たいね。さっさと先に進むわよ」
ゆき姉はリンリン先輩にそう言い研究所内に足を踏み入れた。ゆき姉とリンリン先輩が真正面から研究所に入ったころにはすでに全員研究所内に侵入していた。
「うへへ〜いらっしゃいお姉さんたち」
研究所内を少し進んだ巨大な広間で4枚の鏡を構えたミィリィがゆき姉とリンリン先輩を出迎える。
「こいつは私がやる」
「え、いやいやちょっと待て!こいつは私の獲物だ」
ゆき姉とリンリン先輩は絶対に協力して戦おうとは思わないだろう。
「晴樹、どうする?」
「どうするってやるしかないだろ…」
現在、僕と花実の前にはナイフを持った黒髪ショートの女の子が立ち塞がっていた。
「あなた、完全なる模倣の使い手ね。なかなか厄介なのに遭遇しちゃったわ…私はエルザ、以後お見知り置きを…」
「で、どうする?やるの?言っておくけど晴樹が本気になったらあんたじゃ絶対に勝てないんだからね!大人しく私たちをティナちゃんたちの元に連れて行くって言うならボコらずに済ましてあげるけどどうする?」
「丁重にお断りさせていただくわ…だって私の方が強いですから…」
エルザはそう言い壁の中に消えていく。
「花実、絶対に離れるなよ…」
僕が最後まで言い終わる前にエルザのナイフが僕の左肩をかすめた。そしてエルザは再び壁に消える。
「晴樹、私の側にいて…」
花実が僕を引き寄せる。
「晴樹、あそこの壁を全力で殴って」
「え?」
「はやく!」
花実に言われた通り僕は壁を全力で殴る。
「ふがっ…」
僕の拳は壁ではなく壁から飛び出してきたエルザの顔面に直撃した。
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