とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

奪還作戦















白雪姫と式神使いの戦いは一方的な展開になっていた。現在、白雪姫により式神使いの式神が3体行動不能になっていた。式神使いの残る式神は最強の盾、反射の式神のみ、もう1体式神を出すことはできるが巫女さんはまだその時ではないと判断していた。

「これで、終わりね」

どのような攻撃をも反射する式神もかちんこちんに固められてしまえばなす術なく砕かれてしまった。

反射の式神を破壊された巫女さんは今まで操っていた4体の式神を消し、新たに1体の式神を召喚した。巫女さんの式神は破壊されても1時間経てば修復される。つまり、反射の式神はあと1時間使えない。

巫女さんが新たに召喚したのは呪いの式神、相手が自分にしたことと同じことを相手にしてくれる式神だ。

「せめて相討ちにさせてもらいますよ…」

「面倒な式神ばかりね…面白い」

ゆき姉はそう呟きながら巫女さんにとどめを刺そうとした。その時、ゆき姉の視界が急に変化した。ゆき姉だけでなく巫女さんや僕、花実、バーチャルリアリティ空間にいた人間全員が現実に引き戻された。

「え、何が…」

僕は驚きながら呟いた。ちょうどその時、扉が開き楓先輩とミカさんが慌てて部屋に入って来た。

「何かあったんですか?」

ぼろぼろになった楓先輩とミカさんを見て杏奈先生が慌てて尋ねる。

「ティナちゃんが…ティナちゃんが…」

「楓ちゃん、落ち着いて」

泣き始めた楓先輩を見て志穂先輩は慌てて楓先輩のもとに向かい涙をハンカチで拭き取る。

「黒の蝶と名乗る3人組の襲撃に遭いティナちゃんを攫われました」

ミカさんが杏奈先生に報告する。ミカさんの言葉には焦りやティナちゃんを守れなかった自身への怒りが込められていた。

「黒の蝶…聞いたことないのかしら…」

「ありました。どうやら裏の組織みたいですね。殺しや攫いなどをしている組織、顧客がかなりの大者なため黒の蝶が起こした事件は全部揉み消されているみたいです」

「わかりました。志穂さん、ありがとうございます」

志穂先輩仕事はやっ!

「捜索の式神、推測の式神」

巫女さんが能力を発動し2体の式神を召喚する。

「敵は現在高速に乗って移動中、目的地は神峰学園領内にある最果ての研究所」

巫女さんの能力本当に便利だな。

「敵は全員高校生もしくは大学生、黒の蝶は女性のみで構成されているみたいですね。敵の中にはsランクの能力保持者もいるみたいです」

「わかりました。じゃあ、ティナちゃんを奪還しましょうか」

杏奈先生の意見に反対する者はいなかった。

「とりあえずメンバーは絞った方がいいですね。そして、ティナちゃんを取り戻す部隊と研究所を潰す部隊に分かれるべきですね。晴樹君と緑さんの能力でそれぞれ移動してもらう形でいきましょう」

当夜先輩の意見に杏奈先生が同意、その後反対する者はいなかった。

「私はティナちゃんを助けに行きたい。当夜、行かせて」
「私もお願いします」

楓先輩とミカさんがティナちゃん奪還に立候補する。

「わかった。そのかわりヴィオラと緑さんと百合子さんを連れて行ってもらう。そしてティナちゃんを取り戻したらすぐに撤退すること、ティナちゃん奪還組の役割はティナちゃんを取り戻すことで敵を倒すことじゃない」

「ええ、わかってる。3人の同行も構わないわ。むしろ助かる」

楓先輩の返事を聞き当夜先輩は頷いた。

「さて、じゃあ敵を潰す組は…」

僕、ゆき姉、巫女さん、ダイナ…このチームかなりやばいんじゃ……

「爆裂姫も手伝ってくれるって…今、連絡した」

「ふはは、晴樹よ、久しいな」

楓先輩に誘われて緑先輩に連れてきてもらった爆裂姫、リンリン先輩が馴れ馴れしく僕に言う。

ああ、このメンバーなら軽く神峰学園内を武力制圧できそうなんだけど…

「ティナちゃんを取り戻したらミカさんと楓、ヴィオラ、百合子さん、緑さんも投入するから、その時信一君と信二君が起きてたら同時に投入する」

当夜先輩はまだ気絶している信一先輩と信二先輩の方を見ながら言う。まあ、信一先輩と信二先輩が居なくても勝てるような気しかしないからいいけど…

「じゃあ、頼むよ。僕達はなるべくバックアップをするから」

志穂先輩は敵の情報を調べ当夜先輩と杏奈先生は僕達に指示を出す。花実は信一先輩と信二先輩の看病をすることになっていた。

僕と緑先輩は同時に能力を発動させてその場から消えた。













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