とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

おやすみ














「ふう〜楽しかったわ…」

ゆき姉がそう言いながら僕の横に座る。どうやらゆき姉と楓先輩の試合は終わったみたいだな。結果は見るまでもないだろう。実際ゆき姉は楓先輩を3回瞬殺したらしい。これでゆき姉と楓先輩の戦績は6勝0敗と…楓先輩は現在ヴィオラ先輩と戦っているらしい。楓先輩の能力はヴィオラ先輩の能力に相性がめちゃくちゃいいからな…八つ当たりの相手としてヴィオラ先輩を選んだんだろうな…

「はい。これ飲みなさい」

ゆき姉が冷たく冷えたスポーツドリンクを僕に渡す。

「ありがとう」

「巫女さん強いね…あれ、私でも勝てるかわからないわ…今年の総合ランキング戦は荒れそうね。まあ、あんたと巫女さんならたぶん1桁入りできると思うわ」

「ゆき姉を超えて1位になって約束を果たさないといけないから…」

「そんなに私との約束を大事に思ってくれてたんだ…嬉しい……」

ゆき姉はそう言いながら僕の片腕をギュッと抱きしめる。ちょい待て、これ誰かに見られたら面倒なことになるからやめて…杏奈先生辺りがニヤニヤしながら寄ってきそうだからやめて…

「…………………なんかいけないものを見てる気が…」

廊下の曲がり角から僕達の様子を伺っていたダイナが呟く。ちなみに僕達はダイナがいるのに気づいていない。

「あれ、ダイナちゃん何してるの?」

ダイナの後ろから花実がやってくる。

「花実さん!?あっ、なんでもありませんよ。さあ、あっちに行きましょう」

ダイナは慌てて花実を連れて行こうとしたが時はすでに遅かった。

「晴樹に…ゆきさん?………何してるのかなぁ、あの2人……」

「花実さん、ダメです。いくら花実さんが晴樹さんのことを好きでも今でてくのはまずいです」

手をポキポキならしながら僕達の元へ行こうとする花実をダイナは慌てて止める。

「ふぇ?べ…別に晴樹のことなんか……好きじゃないんだから…」

花実は顔を真っ赤にしてその場から立ち去っていった。ダイナはため息をつきながら花実の後を追う。

「ねえ、晴樹…私のこと好き?」

ゆき姉が僕の腕をギュッと抱きしめながら尋ねる。

「僕がゆき姉に勝つまで聞かないんじゃないの?」

「それは返事の話、私のことを好きか嫌いかだけでいいか教えて…」

「………好きだよ」

「そう。嬉しい、ありがと」

ゆき姉は満面の笑みを浮かべて僕にそう言う。あれ、ゆき姉ってこんなにかわいかったっけ?何故か僕はそう思ってしまっていた。

「ありがとうって別に感謝されるようなことしてないけど…」

「ふふ、なんでもない…あんまり巫女さんとの試合で落ち込むんじゃないわよ。本番で勝てばいいんだから…じゃあ、今日は疲れたから先に休むわね。おやすみ…」

ゆき姉はそう言いながら僕のほっぺたに軽くキスをする。

「…………!?」

「私のファーストキスだから大切にしてね…」

ゆき姉はいたずらっ子みたいに笑い立ち去っていく。

僕は何が起こったのかさっぱり分からずゆき姉を黙って見送ることしかできなかった。

「………ねえ、志穂、あの2人なんか面白いことになってるわよ」

「もう、楓ちゃん、人の恋愛を盗み見するなんて趣味が悪いわよ」

「志穂だって見てたじゃない…」

「そうだけど…それより楓ちゃん、このことは絶対に花実ちゃんに言っちゃダメよ」

「あー、あいつ晴樹のこと好きだしね…全くあんな奴のどこがいいのか…」

志穂先輩と楓先輩はニヤニヤと僕とゆき姉のやり取りを廊下の曲がり角から見つめていた。

「じゃあ、楓ちゃん、私たちもそろそろ寝ましょう。今日は一緒に寝ましょうね…」

「え?何言ってるのよ…」

「いいじゃないたまには…ね?」

「まったく、しょうがないわね。今日だけよ」

「うん」

志穂先輩は嬉しそうに楓先輩を志穂先輩の部屋まで連れて行った。






























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