とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

2日目前日














「ダイナちゃん負けちゃいましたね…」

モニターを見つめながら杏奈先生が呟く。

「まあ、誰かさんみたいに呆気ない負け方をしなかっただけでもマシなのかしら…」

「誰かさんって僕のことですよね?」

「あら、よくわかったのかしら…」

「いや、誰でもわかりますよ」

ヴィオラ先輩にそう言い返しながら僕はモニターを見つめる。そこには勝利して嬉しそうなゆき姉が映されていた。




「ダイナちゃん、お疲れ様。ダイナちゃんすごく強かったよ」

バーチャルリアリティ空間から戻って来たゆき姉は一足先にバーチャルリアリティ空間から戻って来ていたダイナにそう告げる。

「私なんてまだまだですよ。ゆきさんや晴樹さんに比べれば…」

「能力の使い方、すごく上手だったわ…最後まで諦めない根性も良かった。次戦うときも全力で相手をするから…」

ゆき姉はダイナにそう言い残しダイナより先に部屋を出た。ダイナにとってゆき姉から次も全力でやると言われたのは少しだけ嬉しかった。自分の力が白雪姫に認められたのだ、と…






「すみません、負けちゃいました」

「別に謝ることないのかしら…お前が勝とうが負けようが私にはなんの関係もないのかしら…だけどまあ、いい試合だったのよ」
「ダイナちゃん、惜しかったですよ。もう少しはやく押し勝てていれば勝機はありましたよ」
「ダイナ、かっこよかったよ」

第11番基地の入り口で謝るダイナにヴィオラ先輩や杏奈先生、ティナちゃんが声をかける。

「ダイナさん、すごくいい試合でしたよ。今回の反省をいかして次は勝ってくださいね」

ミカさんが椅子に座るダイナにコーヒーを渡しながら言う。

「ダイナちゃん、惜しかったね」
「ゆき姉相手によくやったよ。次頑張ろ」

花実と僕もダイナに声をかける。

「ゆきさんすごく強かったです。晴樹さんは明日sランクの方と戦うんですよね?頑張ってください」

「そういえば晴樹の試合は明日だったわね。生放送もされるんでしょ?」

花実が僕に尋ねる。どうやら明日の僕の試合は相手の雷帝の初戦ということでかなり注目されているらしい…白雪姫を本気にさせたルーキーと雷帝の戦いという形でかなり話題になっていた。

「うん。されるみたい…しかも明日の生放送の解説役はゆき姉みたい…」

「下手な戦いはできないわね」

花実が笑いながら僕にいう。それ冗談になってないから…

「そういえば晴樹さんの相手の雷帝ってどんな方だったんですか?楓先輩に聞いた後少し調べてましたよね?」

「あーうん。調べたよ。調べたけどあまり情報が出てこなかったんだ。わかったのはかなりせっかちな女性で楓先輩と似た能力保持者ってことくらい…だから最初は楓先輩の能力で勝負してみようと思うんだ。楓先輩、雷帝に勝ったことあるみたいだし…」

「なるほど、たしかにそれはいい手かもしれないのかしら…あいつとやるなら1つアドバイスしといてやるのよ。間違っても私の能力は絶対に使っちゃダメなのかしら」

パソコンで作業していたヴィオラ先輩が僕にそう言う。なるほど、楓先輩みたいな能力保持者相手にヴィオラ先輩の能力は相性最悪だしな…

「わかりました。アドバイスありがとうございます」

「泣いて感謝するといいのよ…」

いや、そこまでいいアドバイスをもらってないと思うんですけど…

「じゃあ私は帰るのかしら…明日、せいぜい頑張るのよ」

「あっ、僕も帰りますね。お先に」

ヴィオラ先輩と当夜先輩はそう言いながら帰っていった。

「ねえ晴樹、気になることがあるんだけど…」

花実がパソコンをいじりながら僕に言う。

「何?」

「雷帝について調べたんだけど、雷帝の今までの成績はゆきさんと楓先輩以外には無敗みたい。そして雷帝はゆきさんや楓先輩と戦うとき以外は全部1分以内で終わってるの…」

「ああ、知ってるよ。しかも一瞬のことで何が起こったか相手すら理解してないってやつだろ…」

ぶっちゃけ雷帝もかなりのチート能力保持者みたいだ。1位の次は2位と当たるとかくじ運悪すぎだろ…
















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