とある学園生活は制限付き能力とともに
一か八か
「さて、じゃあダイナちゃん、悪いけど勝たせてもらうわよ…」
ゆき姉がダイナにそう言った直後、ゆき姉の右目が変色し濃い青になった。
「どうやら白雪姫のエンジンがかかってきたみたいですね」
「そうだな、先の前哨戦を見た限りあと数分で決めねば前哨戦のように急速冷凍で終わることになってしまうな…」
リンリン先輩の言う通り、僕とやった時と同じ条件ならあと2・3分でゆき姉は本気になるだろう。その前にダイナはゆき姉を倒さなければならない…
だがダイナは現在ビームを発射するための球体が4つ中2つ塞がれている形だ。だからといって地面に降りて戦うとゆき姉の能力は簡単に防げない。ダイナが圧倒的に不利だ。
「ダイナさん、かなり不利ですね…」
僕の横に座って生放送を見ていたミカさんがボソッと呟く。
「そうですね…普段の半分の力でしか攻撃できないとなると…」
当夜先輩がそう言った直後、ゆき姉が動き出した。現在ゆき姉が乗っている氷の柱から新たな氷の柱を何本かダイナに向けて伸ばし始めた。ダイナは2つの光の球体で作り出した光の円盤に乗りゆき姉の攻撃を躱そうとしたがゆき姉が伸ばす氷の柱はしつこくダイナを追う。
「つっ…」
ダイナは残っている2つの球体からビームを発射しゆき姉の氷の柱を破壊する。そしてそのままビームをゆき姉に向けるがゆき姉は氷で防御壁を作りビームを足止め、その隙に別の氷の柱に飛び乗りダイナの攻撃を回避した。
「ダイナちゃん、ダイナちゃんはかなり強い。誇っていい…だけどごめんね。私の方が強い、これで詰み」
ゆき姉がダイナにそう言うと観客席が賑わう。
「1年の負けだな…」
解説役のリンリン先輩がボソッと呟く。
「それはどうしてでしょうか?」
「今まで白雪姫が勝利宣言して負けたことがない…いや、そもそも無敗だったな」
「そうですね」
「白雪姫は勝利宣言したあとは確実に次の一手で仕留める。そして現状は最悪だ…」
リンリン先輩がそう言った直後、ゆき姉は両目を濃い青に変色させた。
「両目が変わった」
「また、あの急速冷凍かよ。あれで〆られると見てて面白くないんだよな…」
観客席は完全にダイナの負けムードだったがゆき姉はダイナを急速冷凍させなかった。
「安心して、この距離だとまだ急速冷凍は使えない…まあ、あと1分くらいしたら使えるけどどうせならもっと派手に負けさせてあげる」
ゆき姉はそう言いながら氷の柱から飛び降りて地面に着地する。現在ダイナとゆき姉の距離は50メートルほど離れているだろう。ゆき姉の氷の柱は最大で25メートルほど、十分安全な範囲だった。先程までは…
ゆき姉は地面に両手を当てて能力を発動させる。するとノーマルステージの地面が全て氷に変わり氷のフィールドとなる。そしてゆき姉の周囲を除く氷のフィールドはじわじわと上を目指して進んでいた。
「嘘でしょ…」
迫り来る氷の地面を前にダイナに為すすべはなかった。ダイナは氷の地面と天井に押し潰される前に慌ててゆき姉の周囲に発生している穴に入り込んだ。もちろん下には攻撃を放つ準備を終えたゆき姉の姿がある。
ゆき姉は狭い穴の下から上に目掛けて4本の氷の柱を伸ばした。ゆき姉の両目が変色し本気になった今、氷の柱の射程範囲もかなり伸びているようだ。
「一か八かやってやる」
ダイナは自分が乗っかっていた光の円盤を2つの球体に戻す。そして4つになった光の球体からビームを放ち4本の氷の柱を迎え撃つ。本来ならゆき姉を直接狙いたかったのだろうがこのままではダイナのビームがゆき姉に届く前にダイナが氷の柱により串刺しになってしまうのでやむなくビームを氷の柱にぶつけたのだろう。
ダイナのビームとゆき姉の氷の柱が激しくぶつかり合う。最初は均衡が保たれていたがダイナが地面に向かって落下していくにつれて均衡は破られる。ダイナのビームが凄い勢いでゆき姉の氷の柱を破壊しているのだ。
「これは…」
「まさか白雪姫が負けるというのか…」
そう言いながら聞き手の人とリンリン先輩はじっとモニターを見つめる。
「勝てる…いけそうなのかしら…」
「ダイナ、頑張れ」
モニター越しにヴィオラ先輩とティナちゃんが呟く。たしかに、今押しているのはダイナだ。だが、ゆき姉…いや、白雪姫がこの程度で負けるわけがない…それにおかしい…この距離ならゆき姉はすでにダイナを急速冷凍できるだろう。ゆき姉が急速冷凍を使わないということはまだゆき姉に勝機があるということなのだろう。
「これで終わりだ」
ダイナが地面にぶつかるまで約20メートルほどの場所で叫ぶ。ビームは現在、ゆき姉まであと1歩というところだった。
「言ったでしょう。これで詰みだって…」
ゆき姉はそう言いながら氷のドームで自身を覆う。そして天井まで到達した氷を全て崩した…崩れた氷は当然の様にゆき姉とダイナがいた穴になだれ込む。
数分後…ゆき姉の勝利が確定した。
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