とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

2人の意思













「ほうほう、これは…すごいことになってるね〜能力を制御できてないのかな?悪いけど邪魔だから死んでくれないかな〜」

未だ暴走を続けるティナちゃんの前に5と書かれた老人が立ち塞がる。

「うるさい…死ね…死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」

ティナちゃんはそう呟きながら周囲を漂う大量の血を老人に向ける。そして少量の血を弾丸のように老人目掛けて発射する。

「なるほど、なるほど…周囲の血を自在に操る能力かな?しかも液体個体の調整もできるんだね。硬度もかなり自在にできるのかな?コントロールできるようになったらかなり厄介だねぇ」

老人は身につけていた2本の短剣でティナちゃんが放った血の弾丸を全て捌ききる。

「さて、おじさんも本気でやらせてもらうよ〜」

老人はそう言いながらティナちゃんとの距離を縮める。







「ミカ様、そろそろ諦めていただけませんか?たしかにミカ様は以前よりも遥かに強くなりました…ですが私にはまだ勝てません。それに本気で私を倒すとおっしゃるのでしたら能力をご使用なさってはどうです?私相手に能力無しで勝てるわけがないでしょう…」

ミカさんを追い詰めるアシュリーさんがミカさんに言う。

「はあ、はあ…能力…」

「能力もまともに使えないのに私に勝つなんて言わないでください。大方私の身のことを考えて能力を使わないのでしょう。ミカ様は優しすぎます。今は敵である私のことを思ってくださるのは本当に嬉しいです。ですが己の願いを叶えたいのならその優しさを捨てねばならない時があります。私を本気で止めたいの思うのなら私に対する優しさを捨ててください。もし優しさを捨てる覚悟がないのなら大人しく私の言うことを聞いてください。もしミカ様が覚悟を持って私を討つと決心なされたら私は全力でミカ様の相手をさせていただきます」

アシュリーさんはミカさんと戦う覚悟を決めていた。自分の意見に従ってもらえないのなら力強くで自分の意見を押し通そうと…そしてアシュリーさんはミカさんに最後の選択肢を示した。自分を倒して止めてみせろ…と……そしてアシュリーさんは出来るならミカさんに自分を止めて欲しいと願っていたのかもしれない…

「さあ、ミカ様…選択肢は2つです。私に従い事が済むまで大人しくしているか私と戦い私を討つか…さあ、お選びください」

アシュリーさんはミカさんの目の前に迫りミカさんに尋ねる。

「私は…私は……」

ミカさんは声を震わせながらアシュリーさんの問いに答えようとする。

「私は…私はあなたと戦いたくないしあなたを倒したくない……でも、私が戦ってあなたを止めることができればたくさんの人を救える。ならば、私はたくさんの人を救うために戦わなければならない。それが今の私にできること…全力であなたを止めます。覚悟しなさい」

「やっと…やっと覚悟を決めてくださいましたか…まさか、ミカ様と本気でやりあうことになるなんて夢にも思いませんでしたよ…最初で最後の戦いを始めましょう」

「アシュリー…私はね。本当はアシュリーを止めたいだけなの…たくさんの人のためって言うのは聞こえのいいただの理由…それに今、私とアシュリーの最初で最後の戦いって言ったよね?私の能力はたしかに強いよ。だけど私はこの能力で人を傷つけたくない…でも、戦わないといけない時があるってことはわかった。だから…次は私と肩を並べて戦ってよ。たとえ戦争が終わったとしてもいざこざはあると思う。それを止めるために私と一緒に戦って欲しい」

「……………」

アシュリーさんは何も答えなかった。いや、答えられなかった。今にでも目からこぼれ落ちそうな涙を堪えるのに必死だったから…

「ちょっとした意見の違いで喧嘩しちゃってもすぐに仲直りできるよね?お互いの本音をこの戦いでぶつけよう。私は私の思いを込めて戦う。だからアシュリーも本気で戦って…」

そう言いながらミカさんは能力を発動させた。長年、自ら封印していた能力を……

「ミカ様、私は間違っていたのでしょうか……」

アシュリーさんが目から涙を流してミカさんに尋ねる。

「どっちが正しいかなんて誰にもわからないよ。アシュリーが目指していた世界ではたくさんの人が幸せになってるかもしれない…だけど私はその未来のために今、たくさんの人が傷つくのを見過ごせない…」

「そう…ですか……ならば私は己の意思を貫きます」

「そう…それが正しいかどうかはわからない…だけど私には私の思いがあるだから全力で戦う」

「では、始めましょうか…」

「ええ…」

こうして2人の戦いは始まる。ミカさんとアシュリーさん…2人の思いをかけて…どちらかが勝てばどちらかの望みは消える。2人はそれぞれの思いを打ち壊す覚悟で戦いに挑んだ。これがミカさんとアシュリーさんの初めての喧嘩だった。

初めて別々の思いを抱いた2人の戦い…
















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