とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

出陣












「そうですか…テレシアが…」

アビリティア本部に戻って来た当夜先輩達の報告を聞きビスタさんが悲しそうに言う。

「すみません。僕達のせいで…」

「お気になさらず。こちらの判断が甘かった…とりあえずあなた方が無事だっただけでもよかった」

ビスタさんがそう言ったあとしばらく沈黙が続いた。

「さて、少し現状を確認しましょうか…」

しばらくの沈黙の後杏奈先生が突然話だしてみんなの前に立つ。

「現在、テレシアさんは消息不明、生きてまだ戦っているかもしれませんし、すでに逃走に成功しているかもしれません」

杏奈先生の言葉を聞いても誰も反応しない。

「このまま彼女を放っておくわけにはいきませんしみなさんも放っておきたくないでしょう」

「そこで今から全員でレヴナント本部に乗り込もうと思います」

「「「「「は?」」」」」

杏奈先生の突然の提案にその場にいた全員が驚く。

「アシュリーさんが敵であることは事実、それ故にみなさんの能力もほとんどバレてしまっているでしょう。緑ちゃんの能力で全員が同時に移動できることもばれている。だったら敵が戦力を整える前に全員で攻め込み一気に片付けちゃいましょう」

「たしかに…時間が経てば経つほど敵の守りが硬くなっていく。それなら今から攻め込み速攻で決めた方が…」

杏奈先生の提案を聞きハンスさんも今から攻め込むべきだと判断した。

「決まりだな……一時間後、全員でレヴナント本部に総攻撃を仕掛ける。直ちに準備せよ。今日、我々がこの戦争に終止符を撃つ」

ビスタさんが勢いよく立ち上がり全員にそう言うとその場にいたアビリティアの人達は慌ただしく部屋から出て言った。

「みなさんは一時間後に備えて休んでいてください。ハンス、ヴィンセント達にレヴナントに引き返すように伝えろ。当夜殿、テレシアを捜索するためにテレシアと別れた場所を教えて欲しい」

「それなら私の方が正確に伝えられます」

緑先輩がビスタさんにそう言いビスタさんにテレシアさんと別れた場所までの大体の座標を伝える。

「さて、とりあえずみなさんの中でグループ分けをしましょう。ここに残る人と戦う人を決めましょう。とりあえず当夜君、花実ちゃんはティナちゃんと一緒にここにいてもらいます」

「え?僕もですか?」

レヴナントに行く気満々だった当夜先輩が驚いた表情で言う。

「だって当夜君、戦えないじゃないですか…今回の戦いはアビリティアとレヴナントの総力戦になります。戦うための能力を持たない当夜君がいたら足を引っ張るだけです」

「わかりました。その代わり杏奈先生も一緒に残ってもらいます」

「え?」

「やっぱり杏奈先生も行く気でしたね。杏奈先生だって戦い向けの能力じゃないでしょう。もし、杏奈先生がレヴナントに行ってもしものことがあったら僕達帰れなくなるんですよ」

「「たしかに……」」

楓先輩と志穂先輩も当夜先輩の意見に賛成し杏奈先生はアビリティアで待機になった。

「志穂もアビリティアにいなさいよ」

「え?私も?」

楓先輩にアビリティアに残るように言われ志穂先輩が驚く。

「当たり前でしょ。志穂を危険な目に合わせたくないもの。志穂は確かに強いけど自身を守る手段がない。なのに危険な場所に行かせるわけにはいかない」

「楓ちゃん…」

「志穂…お願いだからここにいて…」

「わかった…その代わりちゃんと帰ってきてね」

「当たり前でしょ」

「じゃあ、メンバーは決まりですね。私、志穂ちゃん、花実ちゃん、ティナちゃん以外はレヴナントに行くと…」

メンバー決めが終わり僕達はそれぞれ休憩に入った。そして一時間後……

「みんな、集まったな…それではこれよりレヴナントに総攻撃を仕掛ける。目的は1つ、戦争の終結だ!本日をもって戦争を終わらせる!」

ビスタさんが大声で全員に言うと全員が勢いよく返事をする。全員でアビリティア本部の前で巨大な(数千人ほどで)円陣を組む。

「じゃあ、行きます!」

緑先輩の声を聞き全員が気を引き締める。直後、僕達は緑先輩の能力で一瞬にしてレヴナント本部のすぐ側まで移動した。

「行くぞ!」

ビスタさんの掛け声で全員がレヴナントに向かって行く。















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