とある学園生活は制限付き能力とともに
闇の影
「ミカさん、短い間でしたがお世話になりました」
「いえいえ、こちらこそ助けていただきありがとうございました。もし何か協力できることがあれば遠慮なくおっしゃってください。いくらでも協力しますから」
「はい。ありがとうございます。では…これで…」
当夜先輩がミカさんにそう言い僕達のもとにやって来る。僕達はミカさんに礼を言い緑先輩のテレポートでアビリティアに向かった。
「お待ちしておりました」
僕達がテレポートで移動した場所でテレシアが待ち伏せていた。
楓先輩とヴィオラ先輩が前に出て能力を発動させる。
「ご安心ください。私はあなた方をお出迎えに来ただけですので…」
「なんで私達がここに来るってわかったのかしら…」
ヴィオラ先輩が警戒しながらテレシアに尋ねる。
「予知能力…ですね…」
当夜先輩がそう言う。そういえば杏奈先生の話で予知能力が出て来たな…
「はい。その通りです。皆様が私達に協力してくださると言うことも知っております。この度は皆様を騙してしまいすみませんでした」
テレシアがそう言い頭を下げる。
「謝らないでください。そちらもそれだけ追い詰められているんでしょう…とりあえず、ビスタさんに合わせてもらえますか?」
「わかりました。では、中にご案内します」
僕達はテレシアさんの案内に従いアビリティアの中に入る。
僕達がアビリティアの中に入った頃…
「なんか急に静かになりましたね…」
ミカさんが近くでお茶をいれているアシュリーさんに言う。
「そうですね。昨日はすごくにぎやかでしたからちょっと寂しいですね…」
アシュリーさんはそう言いながら手早くお茶をいれてミカさんの前に置く。目の前に置かれたお茶をミカさんが飲んだ。
「アシュリー、あなたにはアビリティアに行き皆さんの手伝いをしてきて欲しいのですが…」
「すみませんがそれは出来ません…」
「え……」
基本アシュリーさんはミカさんの頼みを断らないし命令なら必ず成し遂げる。そのアシュリーさんが初めてミカさんの言うことを断ったことにミカさんは驚いた。
「アシュリー…どうした……ん………」
「すみませんミカ様、ミカ様が目覚めるまでには全て終わらせます。ミカ様とはいえこのようなことをしたことをお許しください」
「やあ、久しぶりだね。とりあえず腰掛けてくれ」
僕達がテレシアさんに案内されて通された部屋でビスタさんは僕達を待っていた。ビスタさんの隣にはヴィンセントさんともう一人の見知らぬ男性が立っているだけだった。
「お久しぶりです…って昨日会ったばかりじゃないですか…」
当夜先輩がビスタさんの挨拶にツッコミを入れる。ナイスツッコミ…
「とりあえず謝罪をさせてもらおう、すまなかった…」
ビスタさんが頭を下げるのに合わせてヴィンセントさんと男性も頭を下げる。
「謝罪はもういいので…とりあえずどうすれば戦争が終わるのか教えてもらいたいのですが…」
「わかった…ではハンス、頼む」
「はい。皆様お初にお目にかかります。私、アビリティア参謀、ハンス・ブルースと申します」
「あなたが予知能力を扱える方ですか?」
当夜先輩がハンスさんにそう尋ねるとハンスさんは首を縦に振った。
「まず、戦争を終わらせる方法は1つしかありません。その方法はレヴナントが保有する中央コンピューターの破壊です」
「中央コンピューター?」
「はい。中央コンピューターを破壊すればアビリティアに所属する者以外の全ての能力プログラムは無効化されます。能力が兵器となり行われているこの戦争は能力を無効化することにより終了します。そしてその後、アビリティアが保有する能力システムの提供を条件に各国に和解案をのませます」
「なるほど…たしかに今まで普通に使えていた能力が急に無くなれば人は能力を再び欲するようになる。その心理を利用しようということですね…」
「はい。その通りです。そして1国がその案をのめば他の国も負けじと能力を手に入れるために動きを見せるはずです。そしてじわじわと各国をアビリティアが侵食して行き世界を1つにして完全に戦争を終わらせる」
「で、中央コンピューターの場所はわかってるんですか?」
「はい。レヴナント本部、その地下深くにある模様です」
「中央コンピューターを破壊するにはレヴナントとの戦いは避けられない。危険だが協力してくれるか?」
ハンスさんが説明を終えた後ビスタさんが僕達に尋ねる。
「もちろん、杏奈先生と約束しましたから…」
「そうか、ありがとう」
「で、いつ中央コンピューターを破壊しに行くのですか?」
「やるならはやい方がいいだろう。仕掛けるのは明日、それまでにレヴナント本部の構造等を頭に入れてもらう。杏奈、みなさんの準備の手助けは君に任せる。私はさっそくアビリティアの軍の準備をしよう」
ビスタさんは杏奈先生にそう言いヴィンセントさん、テレシアさん、ハンスさんを連れて部屋から出て行く。
その後僕達はレヴナントに関する情報等を杏奈先生に教えてもらい休むことにした。
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