とある学園生活は制限付き能力とともに
仲間の意味
「志穂先輩、危険な目にあわせてしまいすみませんでした」
花実から志穂先輩がアビリティアに襲われたと聞き僕は志穂先輩に謝りに行った。
「晴樹君、謝らないで。晴樹君は何も悪くないから…」
志穂先輩が少し戸惑いながら言う。だが、志穂先輩を逃がすためとは言え志穂先輩を危険な目に合わせてしまったのは事実だ。
「晴樹君、本当に気にしてないから…」
「志穂が許すって言ってるんだから顔を上げなさい」
楓先輩にそう言われ僕は下げていた頭を上げる。
「晴樹君こそ大丈夫だったの?一人で無茶して…怪我とかしてない?」
志穂先輩が心配そうに僕に尋ねる。
「大丈夫ですよ。どこも怪我とかしてませんし…」
「そう。ならよかった…」
その後僕は志穂先輩と楓先輩と少し話をして僕はその場を後にした。僕はミカさんが用意してくれたクッキーとお茶をもって当夜先輩のもとに向かった。
「当夜先輩、お疲れ様です。これ、よかったらどうぞ…」
僕は当夜先輩が座っているソファーの前にあるテーブルにお茶とクッキーを置く。
「わざわざありがとう。ミカさんにもお礼を言っておいて…」
「わかりました」
僕は当夜先輩にそう言い部屋を出ていこうとする。
「う……ここは……」
僕が部屋から出ていこうとした瞬間杏奈先生が目を覚ました。
「杏奈先生、ぼくです。当夜です。わかりますか?」
「ええ、わかりますよ……たしか私は…」
「手荒なことをしてしまいすみませんでした。僕が杏奈先生を気絶させた後僕のテレポートでこの屋敷に連れてきました」
「じゃあ、ここは弥生家の屋敷ですか…」
「はい。そういうことです。とりあえずみんなが来るまで少し待っていてください。アシュリーさん、みんなを呼んできてもらえますか?」
「わかりました。すぐに呼んでまいります」
アシュリーさんの分身は当夜先輩にそう返事をしてその場から消えた。
しばらくすると、どたどたと足音を立ててみんながやってきた。ミカさんとアシュリーさんも一緒にいた。
「杏奈先生…」
部屋に入ってきた志穂先輩が杏奈先生に何か言おうとしたがすぐに言葉は失われてしまった。他のみんなもどうすればいいのか、何を言えばいいのかわからなかった。
「みなさん…すみませんね。巻き込んでしまって…」
「どうして…こんなことを…」
緑先輩が杏奈先生に尋ねる。
「私の能力は簡単に言えば時渡…時間と時間を行き来する能力です。ただし私の能力ではこの時代とみんながいた時代しか行き来できません。私はこのくだらない戦争を終わらせるためにアビリティアにはいりました。私がアビリティアに入ってすぐにアビリティアの予知能力を持つ方の命で私は未来にいくことになりました。理由は1つ予知能力者が予言した11人の救世主を探すため…」
「11人の救世主…それが僕たちだと…」
「はい。そしてあなたたちをこの時代に連れてきました。戦争を終わらせてもらうために当初の予定では戦争を終わらせればあなたたちは未来に戻れるという形であなたたちを騙そうとしていました…ごめんなさい。私たちの戦いに勝手にあなたたちを巻き込んでしまって…」
「本当に大変でしたよ。突然過去に連れてこられ、、アビリティアに追いかけられ襲われ、レヴナントに襲われ、すごく大変でしたよ…」
「ちょっと当夜、言い過ぎ…」
当夜先輩の言葉を楓先輩が遮る。
「いえ、あなたたちにはこれくらい言う権利があります。気のすむまで私を責める権利が…」
「じゃあ、遠慮なく言わせてもらいますよ。杏奈先生、なんで僕たちに最初から言ってくれなかったんですか?杏奈先生が困ってるって知ったら僕たちだって杏奈先生を助けるために戦いましたよ。なんで僕たちを信じて話してくれなかったんですか…」
「それは…」
「僕たちは杏奈先生が助けてって言ってくれればいくらでも協力しましたよ。なのになんで…僕たちを信じてくれなかったんですか…」
「ごめんなさい…」
「仲間が困ってたら助けます。杏奈先生が相談してくれればこんな遠回りしなくて済んだのに…」
「ごめんなさい…」
「で、戦争を終わらせる策はあるんですよね?」
「え……」
「だからどうすれば戦争が終わるか聞いてるんです」
「手伝って…くれるんですか……」
「当たり前でしょう。僕たちはガーディアンズ第11番基地の仲間なんですから」
当夜先輩の言葉にみんなが頷く。当然僕も………
当夜先輩は杏奈先生に手を差し出して言う。
「さあ、杏奈先生…戦争を終わらせに行きましょう…」
「みんな…ありがとう…本当にありがとう…」
杏奈先生が泣きながら何度も僕たちに礼を言う。
「杏奈先生、それは全部終わってからにしてください」
当夜先輩は優しくそう言い杏奈先生の涙をふき取る。
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