とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

帰宅と恋?







「何この制限…きつすぎない…」

僕のつぶやきが聞こえたのか係りの人が苦笑いする。

係りの人に礼を言い、部屋を出る。



その頃、花実は…


「何、この能力…この制限…どっちもなんか…」

花実は再度パネルに表示された文字を見つめる。

『能力ランクB運がかなり上がる。なお、この能力は制限がかかっている時以外常時発動となる』
『制限ランクB好きな人の半径5メートル以内にいないと能力は発動されない』

要約するとこうだ。好きな人の側にいると常に運が上がる。なんとも微妙な…てか私好きな人いないんですけど!などと思いながら花実は部屋を出る。

「あっ、花実だ。」

「なんだ、晴樹か」

2人ともなんとも言えない微妙な表情で向かい合う。

「帰ろうか…」

「そうね…」

僕は花実と一緒にアパートに帰ることにした。

「花実はどんな能力だった?」

アパートへの帰り道である通りを花実と歩きながら僕は花実に尋ねた。

「運がよくなる能力…」

「えっ?それだけ?」

花実が口にした能力があまりにもしょぼすぎて僕は驚いてしまった。

「それだけで悪かったわね、そういう晴樹はどんな能力だったのよ」

今度は花実が僕の能力を尋ねる。

「全ての能力が使える能力」

「何そのチート」

花実が僕の能力を聞き驚いていた。チートか、たしかに能力だけ聞けばかなりのチートだよな、だが、制限がきつすぎる。できるだけ無駄撃ちしないようにしないとな僕がそう思いながら通りを歩いていると公園で能力を試していた同年代の人達が目に映った。僕と花実はそれを羨ましいといった感じの眼差しで見つめる。

「「はぁー」」

僕と花実が同時にため息をつく。

「何であんたもため息ついてるのよ」

あっ、そうか、花実はまだ僕の能力につけられた制限を知らないのか…

「なんか、能力チート級なのに可哀想…」

ちょっ、その可哀想な人を見つめる目で見るのやめていただけませんか?

「そういえば、花実は能力にどんな制限かけられたの?」

帰り道にあったコンビニでアイスを買った僕達はアイスを食べながら歩いていた。アイスを食べながら僕は花実に尋ねた。

「うーん、私の制限はね…」

花実が何か言いかけたが花実は足を止めて食べ終わったアイスの棒を見つめていた。

「当たった…」

花実が当たりと書かれたアイスの棒を僕に見せてくる。

「おーすごいな、能力のおかげか?」

僕は花実の能力によってアイスの当たりが出たと思いちょっと凄いなと思っていた。

その頃花実の内心では…

私の能力って好きな人の近くじゃないと発動しないのよね…え?今近くに晴樹しかいないんですけど…まさか、たまたまよね…

花実は内心少し焦っていた。
僕はそれに全く気付かず歩き続ける。

その後も花実は結構運が良かった。自販機で飲み物を買ったらもう1本当たるし、道端でお金を拾ったり、スマホゲームのガチャで神引きしたりとかなり運がいいようだった。

「嘘でしょ…流石にこれ全部たまたまってことはないよね…」

花実は慌てながらつぶやいていた。僕からみるとかなり挙動不審だった。

「どうしたの?大丈夫?」

花実の体調が悪いのかと思った僕は花実にそっと話しかける。

「あっ、うん。なんでもないよ」

花実は慌ててごまかしていた。

花実と帰り始めてから約20分、寄り道さえしなければ15分くらいでつくはずだが、結構時間がかかったな、僕は花実とアパートの中に入る。花実の部屋も僕と同じ2階のようなので2階まで一緒に行くことにした。

「あれ、たしか同じクラスの方ですよね?」

僕が振り返ると可愛らしい女の子が立っていた。

長く伸びウェーブのかかった金髪にセーラー服、短いスカートそして白ニーソ…最高です!白ニーソのおかげでしまった太もも、最高です!眼福とはまさにこのこと…

そう思いながら彼女を見つめていると、

「何、ニヤニヤしてんのよ、変態!」

頭の後ろを花実に叩かれた。

「痛いなぁ、それに僕は変態じゃない!」

「あっ、えーとあなたがたも同じアパートなんですよね?」

僕達のやり取りをぽかーんと見ていた彼女が僕達に尋ねる。

「えぇ、私は二瓶花実、花実って呼んで」

「僕は山野晴樹、晴樹でいいよ」

「あっ、私は鈴木乃南と申します。ダイナとお呼びください」

そういい、ダイナはペコリと一礼する。

「ダイナちゃんは能力もらったの?」

花実がダイナに尋ねた。

「あっ、はい。いただきましたよ。簡単に言うとビームを発射する能力です。制限は…ニーソを履いていないと能力が発動できないんです…」

わかってる!わかってるよその制限を設定した人は!僕はその制限を設定した人をまじで讃えたいと思う。

『能力ランクA、最大で4つの球体を出すことができる。球体からは自由にビームが発射できるが球体の数が増えるにつれてビームの速度が遅くなる』
『制限ランクA、ニーソを履いていないと能力が使えない』

これがダイナの能力と制限の詳細らしい。
その後僕達はその場でしばらく話し、明日は一緒に登校しようと約束し、今日は解散となった。











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