とある学園生活は制限付き能力とともに
これから
楓先輩がいなくなった後、志穂先輩はその場に膝から崩れ落ちずっと泣いていた。僕達は黙って志穂先輩を見つめていた。なんて声をかけてあげればいいのかわからずただ立っているだけだった。
「晴樹、ダイナちゃん、緑先輩、ただ今戻りました」
事件が無事収まったのを知り、花実が僕達の元に戻ってきた。
ずっと楓先輩の名を呟きながら泣いている志穂先輩を見て大体の事情を察したのかそれ以降花実は何も言わなかった。
僕達がこれからどうしようか、と悩んでいた時、緑先輩のケータイが鳴る。
「もしもし…」
緑先輩が電話に応じる。
「あっ、緑ちゃんですか?楓ちゃんは?楓ちゃんは無事ですか?」
緑先輩のケータイから杏奈先生の声が聞こえてくる。
「それが………」
緑先輩が電話で杏奈先生に事情を説明する。
「なるほど、弥生先生ですか…詳しく調べてみる必要がありそうですね。とりあえずみなさんはここに戻ってきてください」
「わかりました。では、失礼します」
緑先輩がそう言い電話を切る。
「とりあえず11番基地に戻りましょう。また手を繋いで」
緑先輩がそう言うが、志穂先輩は立ち上がろうとしない。花実がそっと志穂先輩の手を取る。
花実が志穂先輩に触れているのを確認して緑先輩はテレポートを発動させる。
「志穂先輩、とりあえず中に…」
11番基地の前に移動して、緑先輩がずっと泣いている志穂先輩に言うが、志穂先輩は動こうとしない。
「みなさん、お疲れ様です」
建物の中から杏奈先生が出てくる。
「「「「お疲れ様です」」」」
志穂先輩以外の4人が杏奈先生に返事をする。
「とりあえずみなさん中に入ってください。これからについて考えないといけませんしね」
杏奈先生の指示に従い、僕達は基地の中に入ろうとするが、志穂先輩はまだ動こうとしない。
「志穂ちゃん…」
杏奈先生が志穂先輩のすぐ横まで歩いていく。
「志穂ちゃん、こんなところで何してるんですか!あなたには今すぐするべきことがあるでしょう。楓ちゃんを助けたくないの?」
杏奈先生が真剣な表情で志穂先輩に言う?
「助けたい、助けたいに決まってる…私は楓ちゃんを助けたいです!」
志穂先輩がそう言いながら起き上がる。
「なら、今すぐに弥生先生の居場所の特定をしてください」
「わかりました」
志穂先輩はそう言いながら自身の顔に残る涙を拭き取り基地の中に入っていく。
「みなさんも中に入りますよ」
そう言いながら杏奈先生は基地の中に入っていった。僕達も杏奈先生に続き基地の中に入る。
「あら、帰ってきたのかしら…」
僕達が基地の中に入ると見慣れない女の子が椅子に座っていた。金髪の縦ロールの小さい女の子だった。
「ヴィオラちゃん!」
「緑じゃないの、お疲れ様、楓先輩のことは杏奈先生から聞いたのかしら…」
「そう…ところでなんでヴィオラちゃんがここに?」
「なんでって急な事件が起こったから急いできてって杏奈先生から連絡を受けて非番なのにもかかわらずきてあげたのよ」
「あの、緑先輩、こちらの方は?」
ダイナが緑先輩に尋ねる。
「あ、この子はヴィオラちゃん、私達と同じガーディアンズ第11番基地のメンバーで柏崎高校の2年生」
「ヴィオラよ、ヴィオラ先輩って読んでくれればいいのかしら」
ヴィオラ先輩が僕達に言う。
「こう見えてヴィオラちゃんはうちの基地で一番強いから気をつけてね」
杏奈先生が僕達に言う。
「杏奈先生!弥生先生の居場所の特定が終わりました」
パソコンを抱えた志穂先輩が奥の部屋から勢いよく飛び出してくる。
「場所は?」
杏奈先生が志穂先輩に尋ねる。
「弥生先生は八代高校にいます。あと、弥生先生の経歴等も調べました」
そう言いながら志穂先輩は何枚かの紙を机の上に置く。その紙には弥生先生のことがまとめられていた。
「なるほど、人間を洗脳し能力を更に引き出し兵器へと変える実験、他にもいろいろとやばそうな実験をしようとしてたみたいですね。実験の内容が危険すぎて研究者をクビになった…」
杏奈先生が志穂先輩が用意した資料全てに目を通す。
「とりあえず相手の場所がわかった以上、相手の準備が整わないようにさっそく乗り込みむのかしら」
ヴィオラ先輩が言う。
「そうですね。私はここでみなさんのバックアップをします」
「あの…楓ちゃんは私に任せてもらってもいいですか?」
志穂先輩が僕達に尋ねる。
「わかりました。志穂ちゃん、楓ちゃんをよろしくお願いします」
杏奈先生が志穂先輩に言う。
「では、まずみなさんは緑ちゃんの能力で八代高校に移動してください。八代高校に着いたら私に連絡を、再び指示を出します」
「わかりました」
僕達は急いで外に出て杏奈先生以外全員で八代高校にテレポートで移動した。
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