とある学園生活は制限付き能力とともに
突入
「うわー盛大なお出迎えだねー」
周りを見渡しながら緑先輩が言う。
八代高校に着いた僕達は弥生先生の手によって暴走状態にある生徒たちに取り囲まれていた。
「花実ちゃんは杏奈先生に連絡をするのかしら…とりあえずこの場にいる全員におとなしくなってもらうのかしら…」
そう言いながらヴィオラ先輩が能力を発動させる。するとヴィオラ先輩の両手に巨大なネジのようなものが現れた。
「ヴィオラ先輩、相手が死なないように先端を丸めておいてくださいよ」
「わかってるのかしら」
ヴィオラ先輩が慌ててネジの先端を丸くする。あれ、絶対丸めるの忘れてたよな…
「さて、派手にやるのかしら」
そう言いながらヴィオラ先輩は巨大なネジを生徒に向けて放つ。手が空いたらすぐに次のネジをつくり次々と連射していく。
「うわぁ…」
3分後には周りの生徒は1人も動けなくなっていた。
「ふぅ、思ったより時間がかかったのよ」
ヴィオラ先輩がそう言いながら自身の額についた汗を拭き取る。
「「お疲れ様です」」
驚きのあまり僕とダイナの口からはこの一言しか出てこなかった。
「杏奈先生と連絡取れました。杏奈先生からの指示を伝えますね。まず、ヴィオラ先輩に周りを囲んでる敵を殲滅しろ…と……終わってますね…」
「ええ、終わってるのよ」
「あっはい、お疲れ様です。次に志穂先輩、杏奈先生が楓先輩のことは任せたと伝えるように言われました」
「わかってるわ…じゃあ、私は楓ちゃんを探しにいくから…」
志穂先輩がそう言いながらその場から消えた。おそらくだがテレポートみたいな移動系の能力で移動したのではないだろう。何故なら…
「なんで服だけ残ってるの?」
ダイナが目の前の状況を見て言う。そう、僕達の目の前には志穂先輩が着ていた服だけが残っていた。
「もしかして志穂先輩、そこにいます?」
僕がその場にいるであろう志穂先輩に尋ねる。
「うん…いるけど…聞かないで…」
志穂先輩の声が聞こえた直後、志穂先輩の服が動き出す。
「ちょ、晴樹みちゃダメ!」
花実が慌てて僕の目を塞ぐ。ガサガサといった音が聞こえた後、僕の顔から花実の手が外される。
すると志穂先輩の服は袋の中にしまわれていた。ってことは……
「志穂先輩、もしかして…」
「聞かないで…」
「はい…」
なんか怖かった。今、なんか怖かったんですけど!
志穂先輩の声を聞き僕はなんか冷や汗をかいた。
「じゃあ、花実ちゃん、これ持っててもらっていい?」
「あっはい」
花実が志穂先輩の服が入った袋を受け取る。
「じゃあ私はこのまま楓ちゃんを探しにいくから弥生先生のことは任せるわね」
「わかりました」
志穂先輩の言葉を聞き緑先輩が返事をする。
「もし、何かあったらすぐに連絡してくださいね。すぐに駆けつけますから」
緑先輩が志穂先輩を心配して言う。
「わかった」
「まあ、せいぜい気をつけるのかしら」
「わかってるわよ…じゃあ、行ってきます」
しばらくすると志穂先輩の声が聞こえなくなった。おそらくもうこの場にいないだろう…
「さて、私達は2手に別れて弥生先生の捜索を開始します」
「どうやってチーム分けするのかしら?」
花実の言葉を聞きヴィオラ先輩が花実に質問する。
「杏奈先生が緑先輩に私と晴樹がヴィオラ先輩にダイナちゃんが付いていくように言われました」
「わかったのよ。じゃあ、ダイナちゃん、急いで敵を探すのかしら」
「はい!」
「じゃあ、ここで別れましょう。弥生先生を発見したらすぐに連絡をお願いします」
「わかってるのよ」
「わかりました」
緑先輩の言葉を聞き、ヴィオラ先輩とダイナが返事をする。
「じゃあ、私達はこっちに行くのよ」
「はい」
右側に進み出すヴィオラ先輩にダイナが付いて行く。
「じゃあ、私達はこっちに行くわよ」
「「はい」」
僕達は左側に進む。
僕達が二手に分かれてから数分後…
「ちょっとやばくないですか…」
暴走状態の生徒たちに囲まれた花実が言う。そう、杏奈先生に言われた通りに二手に分かれたのは良かったのだがチーム分けのバランスが悪すぎる。
そう、今回、ここに潜入してきたメンバーで戦闘向きの能力を持っているのは僕、ダイナ、緑先輩、ヴィオラ先輩の4人だけだ運がいいだけの花実と透明化できるだけの志穂先輩は完全に戦闘向きじゃない。
戦闘向きの能力を持っている中で、僕は制限のせいで今日あと6分しか能力を使えないし、緑先輩は一度5キロ以上のものを移動させたら1分能力を使えない。故に僕と緑先輩は戦闘向きの能力と言われるとかなり怪しい立ち位置にある。
だから本来、戦闘はニーソを履いていれば能力使い放題のダイナと制限なしという制限を引き当てたヴィオラ先輩に任せるべきなのだが………
絶対チーム分け失敗しただろこれ…
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