とある学園生活は制限付き能力とともに
ダイナの戦い
「気をつけるのかしら、あの機械、楓の能力を使って弾丸の軌道を変えてくるのよ」
床に横たわりながらもヴィオラ先輩はダイナにスキルブローグについての情報を伝えていた。
「楓先輩の能力を…ですか?」
「楓のだけじゃないのかしら、あの機械は今、暴走状態にある生徒の能力を全部使えるみたいなのよ。それも制限を無視して使ってくるのよ」
「そうですか…かなり厄介そうですね…」
「あとあの装甲が結構硬いから気をつけるのよ」
「わかりました」
ダイナがそう言いながら4つの光の玉を作り出し自分の周りに浮かべる。
「話し合いは終わった?じゃあ、そろそろ攻撃をさせてもらうわね」
弥生先生がそう言った直後、スキルブローグの銃口がダイナに狙いを定める。
「わざわざ待っててくれるなんて意外と親切なんですね…」
「まあ、貴重なサンプルデータになりそうだし、少しくらい待っててあげてもいいかな〜って思っただけよ」
弥生先生がそう言った瞬間、スキルブローグから何発もの弾丸がダイナ目掛けて発射される。
「その程度の弾丸、私には届きません!」
ダイナは光の玉の1つからビームを発射し、自身の目の前でビームを渦状にする。
スキルブローグが放った弾丸は全てビームの渦により消滅した。
「今度はこっちから行きます!」
ダイナがスキルブローグ目掛けて3つの光の玉からビームを発射する。ダイナが放ったビームがスキルブローグに当たる直前、スキルブローグが真っ黒になった。ダイナのビームがスキルブローグに直撃したがスキルブローグは無傷だった。
「残念だったわね。今、スキルブローグは硬化の能力を使ってるの、ただでさえ硬かった装甲がさらに硬くなったってこと、あなたの攻撃はスキルブローグには通じないわよ」
弥生先生が満足そうに笑いながら言う。
「だったらこれで…」
ダイナが光の玉3つを合成して1つの少し大きめの玉にする。
スキルブローグが放ってくる弾丸を先程と同じように1つの光の玉から放たれるビームの渦で防ぎながら先程作り出した大きめの光の玉からビームをスキルブローグ目掛けて放つ。
「なっ…」
ダイナが放ったビームによりスキルブローグの装甲が一部破壊されたのを見て弥生先生が驚く。
「かなり強力な能力を持ってるみたいね…だけど、そんな能力の使い方をして体力が持つのかしら?」
弥生先生の言う通り今の一撃でダイナの体力はかなり削られていた。
「これくらい余裕です…」
ダイナが弥生先生にそう言い再びビームを撃ち出すために光の玉を操作する。
「そう、じゃあもう少し楽しませてもらおうかしら…」
弥生先生がそう言った瞬間、ダイナの足が床に埋まる。
「しまった…」
ダイナが固められた自分の足を見て呟く。これは楓先輩が倒した生徒の能力みたいだ。ダイナは慌ててビームを床に向けて放ち自分の足を固めていた床を破壊する。
「敵がいる前で隙を見せちゃダメよ…」
弥生先生がそう呟いた瞬間、ダイナ目掛けてスキルブローグが弾丸を連射する。
「しまっ…」
ダイナが何か言いかけた瞬間、ダイナ目掛けて飛んできていた弾丸全てが突然飛んできたネジにあたり弾け飛んだ。
「ヴィオラ先輩!?」
ダイナがヴィオラ先輩の方を振り向くがヴィオラ先輩はとても能力を使えるような状態じゃなかった。
「ヴィオラ先輩、ダイナちゃん大丈夫?」
ダイナが声が聞こえてきた部屋の入り口の方を見るとそこには僕、緑先輩、花実が立っていた。
「ヴィオラ先輩が怪我をしてます。緑先輩、ヴィオラ先輩を病院へ」
「わかったわ。花実ちゃんも一緒に来て」
「わかりました」
ダイナが指差した方向に花実と緑先輩が走って行く。
「ヴィオラ先輩を送り届けたらすぐに戻ってくるから」
「わかりました。お願いします」
緑先輩が花実とヴィオラ先輩の手を掴みテレポートを発動する。
「さて、さっさと決着つけないとやばいな…」
現在ヴィオラ先輩の能力を使っている僕は今日残り5分と少ししか能力が使えない。
「ダイナ、援護を頼む」
「わかりました」
ダイナが光の玉を4つに分けて言う。ダイナの準備が終わったのを確認し、僕はスキルブローグ目掛けて走り出す。
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