とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

絆の力








「動きが止まった…?」

ダイナがスキルブローグを見つめながら呟く。

「なっ、なんで止まるの?システムにエラーはないはず…まさか…楓が…」

「なるほど、もしかして楓先輩の能力を動力源にして動かしていたのか…」

焦る弥生先生の呟きを聞き僕はそう予測した。

「とりあえず今がチャンスだな…ダイナ!全力の一撃を撃ち込むぞ」

「了解です」

僕とダイナは能力を発動させる。








その頃…

能力を発動させた楓先輩が志穂先輩を貫いた。

「嘘…でしょ…私、何して…志穂……志穂…志穂ー」

地面に倒れそうになった志穂先輩を支えながら楓先輩が叫ぶ。

「楓ちゃん…よかった…元に戻ってくれて…」

志穂先輩が血を流しながら楓先輩に言う。

「志穂、今は喋らないで…すぐに緑を呼ぶから」

楓先輩はそう言いながら急いでポケットからスマホを取り出して緑先輩に連絡する。



「緑、お願い…すぐに今から送る場所に来て…はやくしないと志穂が…」

「え?楓先輩?大丈夫ですか?」

「私はもう大丈夫、だけど志穂が…お願いだからはやく来て…」

「わかりました。すぐに行きます。場所を送ってください」

「お願い…」

楓先輩はそう言いながら電話を切り現在地を緑先輩に送った。




「楓先輩、志穂先輩、大丈夫ですか?」

数秒後緑先輩がテレポートで2人のもとに到着した。

「志穂…先輩…?」

楓先輩に抱き抱えられている志穂先輩を見て緑先輩が慌てる。

「緑、急いで!」

「はやくしたいんですけど制限のせいであと1分テレポートが使えないんです…とりあえず志穂先輩にこれを…全裸のまま病院に運ぶのもあれですから…」

緑先輩がそう言いながら楓先輩に大きめのバスタオルを渡す。

「そうね。ありがとう」

楓先輩は緑先輩からバスタオルを受け取り志穂先輩に巻きつける。

「楓先輩、そろそろ行けます。手を…」

緑先輩はそう言いながら楓先輩の手を握りテレポートを発動させ病院に移動しようとする。

「楓ちゃん……」

「志穂、喋っちゃダメって言ってるでしょ」

「楓ちゃんは弥生先生のところに向かって…ちゃんとけじめをつけないと…私の分までお願い…」

「だけど…」

「お願い…楓ちゃん…楓ちゃんにしか頼めないの…」

「わかったわ…緑、志穂を任せるわよ」

そう言いながら楓先輩は志穂先輩を緑先輩に渡す。

「はい、任せてください」

緑先輩は楓先輩にそう言いテレポートを発動させ志穂先輩とともに病院に向かう。






「はあ…まさか楓の能力が使えなくなるなんて思わなかったわ…」


「楓先輩と志穂先輩の絆の強さを甘く見ていたのがあなたの敗因です。牢屋の中でゆっくり反省しなさい」

ダイナが弥生先生に向けてそう言いながら4つの光の玉を1つにする。

「晴樹さん、私だけの力じゃスキルブローグを完全に破壊出来ません。力を貸してください」

「わかってるよ」

僕はダイナと同じ能力を発動させる。僕もダイナと同じ様に4つの光の玉を1つにまとめる。僕は1つにした光の玉をダイナの光の玉と合体させる。

「「これで完全に破壊する!」」

僕達は動けなくなったスキルブローグに狙いを定める。

「待っててね。すぐに解放してあげるから…解放されたら現実から目を逸らさずに前に進んで…」

ダイナが祈りを込めて今現在、弥生先生に利用されてる人達に向けて言う。

「「これが「僕達」「私達」の絆の力だー」」

僕とダイナが力を合わせて光の玉から全力のビームを発射する。ビームはあっさりとスキルブローグの装甲を突き破りスキルブローグを完全に破壊した。

「「はぁはぁ、「僕達」「私達」の勝ちだ」」

「そんな…私の最高傑作を完全に破壊するなんて…なんて愚かな…」

「うるさい、たくさんの人の思いを踏み躙って作り上げた兵器なんか破壊されて当然だ…」

僕は言葉に怒りを込めて言う。

「弥生先生、あなたを拘束させてもらいます」

「嫌だ…私はまだ、こんなところで捕まるわけには…」

「往生際が悪いわよ。大人しく捕まったらどう?」

逃げようとしていた弥生先生の前に楓先輩が立ち塞がる。

「「楓先輩!」」

「心配かけちゃったわね…ごめん…」

「楓…よく私の前に姿を現せたわね…裏切り者が…」

「私はあなたの仲間になった覚えはないわ…弥生、ガーディアンズ第11番基地のメンバーとして、あなたを拘束します」

「くっ…私はこんなところで…捕まるわけには…いかない」

弥生先生がそう言いながら数歩下がり近くにあったボタンを押した。

『爆破モード起動…5秒後に爆破します』

「まずい…みんなこっちに…」

僕は近くにいたダイナの手を掴みテレポートを発動させる。

「楓先輩!」

テレポートで楓先輩の近くに移動した僕は楓先輩の腕を掴む。

「間に合わない…」

弥生先生も助けようとしたがもう間に合わない。僕は楓先輩とダイナだけを連れてテレポートを発動した。

テレポートで僕達が脱出した直後、弥生先生の研究室は爆発した。

「くそっ…間に合わなかった…」

「まさかあの世に逃げられるなんて…志穂になんて言おうかしら…」

楓先輩が爆発して跡形もなくなくなった学校の一部…弥生先生の研究室を見ながら言う。

「とりあえずガーディアンズ本部に連絡して…」

「それなら僕がしておきましょう…」

突然、僕達の後ろから知らない声がした。

「なんだ、当夜か…」

楓先輩が声の主に向かって言う。

「なんだとはなんですか…せっかくの非番の日だっていうのに杏奈先生の連絡を受けて急いで駆けつけたんですよ。それより早く志穂さんのところに行ってあげたらどうです?」

「そうね。ありがとう。じゃあここは任せるわよ。晴樹、またテレポート頼める?」

「わかりました」

僕は楓先輩とダイナの手を掴みテレポートを発動する。すでに先程のテレポートは切れていたのでまた新しく使い直した。これで今日は能力が使えなくなった…

病院の前に到着すると楓先輩は急いで志穂先輩のもとに向かった。


















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