とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

知り合い











「ふう…逃げられてしまったな…なかなかやるではないか君の教え子たち…」

「ええ、みんなは強いですよ…」

「さすが杏奈殿の教え子ですな…では私達も後を追うとしますか…」

ヴィンセントはそう言い部屋を後にした。たくさんの兵士達を連れて…

「ヴィンセントさん…あの子達を危険な目に遭わせることだけはしないでくださいね…」

「わかってますよ。テレシア、君も一緒に来るか?」

「そうですね。では、私も行かせてもらいます」

ヴィンセントに続きテレシアも部屋から出て行く。






「みんな…無事だといいんですが…」

ヴィンセントとテレシアが部屋から出て行ったのを見送ってから数分後、杏奈先生は1人で廊下に出て僕達の身の安全を願っていた。






「ふう、なんとか逃げ切れたね……」

当夜先輩が周囲を確認して言う。どうやら近くに敵はいないみたいだ。

僕のテレポートで移動した場所の近くにあった廃墟で僕達は身を潜めていた。

「さて、この後どうしようか…」

当夜先輩が僕達にそう言うとみんなかなり疲れがたまっていたみたいで当夜先輩の話が耳に入っていないようだった。

「とりあえず少し休もうか…ここならそう簡単に見つからないだろうし僕が見張りをしてるからみんなは休んでなよ」

当夜先輩の言葉を聞き僕達は交代で休むことにした。







「誰か…誰か助けて……」

僕達が休憩をし始めてから数分後、近くでそう叫ぶ女性の声が聞こえた。

「晴樹君、楓、待て!」

助けを求める声を聞き、僕と楓先輩が助けに向かおうとしていたのを当夜先輩が止める。

「待てってなんでよ!」

「罠かもしれないだろう…罠だったらどうするんだ…」

「そんなもんその時考えればいいわ…助けを求める声がした…だから私は行く」

楓先輩がそう言い飛び出して行く。僕も楓先輩の後を追う。

「仕方ない…とりあえずみんな楓たちの後を追うよ」

当夜先輩がみんなにそういうとみんな慌てて準備をして僕と楓先輩の後を追う。





僕と楓先輩が悲鳴のした方に向かうとたくさんの兵士に囲まれたフードを被った女性がいた。

「誰か…助けて…」

「もう大丈夫よ。少しさがってなさい」

楓先輩が女性の前に立ちフードを被った女性に言う。楓先輩の言葉を聞きフードを被った女性は頷き近くの瓦礫の後ろに隠れた。

「なんだ貴様は?我々をレヴナントの軍の者と知っての狼藉か?」

「うるさいわね。少し黙ってなさい。晴樹、少し離れて」

「え?」

「はやくして」

楓先輩の指示に従い僕は楓先輩から少し離れる。
レヴナントの連中が楓先輩めがけて銃を乱射する。

「私相手に鉄製の弾丸は使わない方がいいわよ」

楓先輩はそう言いながら能力を発動させて弾丸の軌道を変える。レヴナントの連中が放った弾丸はレヴナントの連中めがけて進んで行く。

「なんだ…今の能力は…銃が効かないなんて…」
「あんなのに勝てるわけが…」
「とりあえず撤退だ」

レヴナントの連中はそう言いほとんどが撤退していった。

「まだやる気があるやつがいるみたいね…じゃあ、新しく考えた能力の使い方の実験体になってもらうわよ」

楓先輩は地面に大量の電気を流し込んだ。すると土の中に混ざっていた砂鉄が勢いよく浮かび残っていたレヴナントの兵士達は砂鉄が浮かんだ勢いで吹き飛ばされた。

「結構いい感じね…ただ電気の消費量がハンパじゃないから連発は控えた方がよさそうね…」

楓先輩は1人でそう呟きながら適当に砂鉄を動かしてみる。

「楓ちゃん、お疲れ様…」

志穂先輩が楓先輩に近づいてそう言う。

「うん。本当に疲れた……」

楓先輩がそう言いながら能力を解除し、志穂先輩にもたれかかる。志穂先輩は優しく楓先輩を受け止めた。

「もう、楓ちゃん、甘えんぼなんだから……」

「ち…違うわよ。ただ足が少し滑っただけよ…」

楓先輩が顔を赤くして志穂先輩から離れる。

「あの…助けていただきありがとうございました…」

瓦礫の後ろに隠れていたフードを被った女性が楓先輩の前に移動して言う。

「嘘……」
「なんで…こんなところに……」

フードを被った女性がフードを外した姿を見て、楓先輩と志穂先輩、そして僕、花実、ダイナ、ヴィオラ先輩、緑先輩は驚いた。

フードを外した女性の顔を僕達はよく知っていた。楓先輩と志穂先輩の関係を利用して強力な兵器を作り出した研究者……楓先輩と志穂先輩の元先生でもあるその人物………最後は自爆という形で自ら命を絶った人物……

「なんでこんなところにいるの……弥生ちゃん…?」
「そんな…ありえないです…」

楓先輩と志穂先輩は信じられないとでも言うような表情で弥生先生を見つめる。

僕が見てもとても別人とは思えない人物……
おそらく一度弥生先生と会ったことのある花実やダイナ、ヴィオラ先輩、緑先輩もこの人が弥生先生だと思っているだろう……

「弥生…ちゃん…なの?」
「弥生…先生…ですか?」

楓先輩と志穂先輩は女性にそう尋ねた。











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