とある学園生活は制限付き能力とともに
弥生家
「え…と….なんで私の苗字を知ってるのかな?私あなたたちと出会ったのは初めてだと思うんだけど……」
「そうよね…弥生ちゃんなわけないわよね……」
「でも、苗字が一緒でこんなに似てるってことは…もしかしたらこの人、弥生先生のご先祖様なんじゃ……」
「たしかに…弥生ちゃんと関係ないとは思えないし……」
楓先輩と志穂先輩が女性に聞こえないように話す。
「すみません、あなたが彼女たちの知り合いと似ていたもので…」
当夜先輩が女性の前に立ちそう言う。
「そうでしたか、私は弥生ミカ、弥生一族10代目頭首です。あなた方の知り合いの方と同じ苗字みたいですしミカって呼んでください」
「弥生一族?」
「はい。弥生一族とは先祖代々からこの地の長をしている一族です」
「そうですか…そういえば何故あなたは襲われていたんですか?」
当夜先輩がミカさんに尋ねる。
「さあ、わかりません。何故か襲われて助けを求めたらあなた方が助けてくださって…」
「そうですか…」
「あの…お礼がしたいので私の屋敷にいらしてくれませんか?皆さまお疲れのようですし…」
ミカさんが僕達の後ろで走って息を切らしているティナちゃんや花実達の方を見ていう。
「すみませんがそうさせてもらえると助かります。僕は当夜と申します」
当夜先輩がそう言いミカさんの前に手を差し出す。ミカさんが当夜先輩の手を握る。………当夜先輩今、能力使ってるな……
「じゃあみんな行こうか…」
当夜先輩がそう言うとみんなは安心してミカさんについて行った。当夜先輩の能力すごい便利だな……
「何これ…すごっ…」
「でかいですね…」
花実とダイナは目の前に聳え立つ豪邸を前に驚く。花実達以外もすごく驚いていた。
「こんなにでかい家なのにレヴナントは襲ってこないんですか?」
志穂先輩がミカさんに尋ねる。たしかにこんなでかい家なら真っ先にレヴナントの攻撃で破壊されそうだが…
「まあ、何度か襲撃されたことはあったけどうちの使用人が1人で数百人を全滅させてからは襲ってこなくなったわ…」
「1人で数百人を…ですか…」
そりゃレヴナントも襲撃したくなくなるわけだ……
「ええ、あっ…噂をすれば…」
「ミカ様、おかえりなさいませ…ミカ様、そちらの方々は?」
ミカさんの屋敷から出てきたメイドさんがミカさんに僕達のことを尋ねる。どうやらこの人が1人で数百人を相手にしたという使用人みたいだ…
「こちらの方々は私の命の恩人よ。レヴナントに襲われた私を助けてくれたの。お疲れみたいだから中に案内して差し上げて…」
「レヴナントに…ですか…だからあれほど勝手に外に行くなと言いましたよね。全く……そちらの方々、ミカ様を助けていただきありがとうございます。私はアシュリー、先祖代々弥生家の使用人をさせていただいてます。とりあえず中にご案内しますね。どうぞ中へ…」
僕達はアシュリーさんのあとに続き弥生家の豪邸に足を踏み入れる。
「どういうことだ…」
僕達の後を追いかけていたヴィンセントが足をとめる。
「どうかしたの?」
ヴィンセントの近くを歩いていたテレシアがヴィンセントに尋ねる。
「ええ、やつら…何故か今、弥生家にいるみたいです…」
「え?」
「私の能力で調べましたから間違いないでしょう…」
「何故やつらが弥生家に……とりあえず杏奈に報告しましょう」
テレシアはそう言うポケットから無線機を取り出す。
『もしもし…』
無線機越しでテレシアは杏奈先生の暗い声を聞く。
「もしもし、杏奈?今、あなたの生徒たちを追いかけてたんだけどあなたの生徒たちが弥生家の中にいるみたいなの…」
『弥生家……あっ、もしかして…ちょっと待っててください』
杏奈先生がそう言い無線機から離れる。
『おまたせしました。調べた結果、弥生家の頭首の子孫が私の教え子2人の担任の先生でして…今弥生家の頭首さんの顔写真を見ましたが彼女たちの担任の先生そっくりでした…』
「なるほど、わかりました。とりあえず私達は弥生家の周りで待機します」
そう言いテレシアは無線機を切った。
「よりによって弥生家ですか…厄介ですね…」
ヴィンセントはそう言いながら再び歩き始める。弥生家に向かって少しずつ…その後をテレシアと兵士達が追いかけた。
「では、皆さま、お食事の準備が出来るまでしばらくこの部屋でお待ちください」
アシュリーさんは僕達を大広間へと案内して立ち去っていった。
「みなさん、どうぞ気楽にしてください」
ミカさんが僕達にそう言う。
「そうだ。ティナちゃんだっけ?そんな服じゃせっかくかわいいのに台無しよ。昔私が着てた服をあげるから私の部屋においで」
ミカさんがそう言いティナちゃんを連れ出す。志穂先輩が一緒にティナちゃんの服を選びたいと言ったので楓先輩と一緒にミカさんについて行った。
「ふう〜じゃあ、僕達は少しゆっくりさせてもらうとしよう」
当夜先輩はそう言いながらソファーに深く腰掛ける。やっぱりかなり疲れてたんだろうな…
僕達も当夜先輩のようにソファーに腰掛けて休むことにした。
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