猫好き高校生と人間になった三匹の美人三姉妹

チャンドラ

25話

 エンドロールが終わると、たくさんの拍手が映画に送られた。どうやら、映画の評判は、悪くないようであった。
「いやぁ! 映画面白かったね! ってか、貴正くんも美加子ちゃんも演技超うまい!」
 演技力を褒められて少し貴正は、照れ臭くなった。
「いやぁ、大したことないよ。」
「私、クラスのみんなと映画を撮れて、とても楽しかったわ。貴正くんも撮影中、本当よく頑張ってたと思うわ。」
「いやぁ……俺の演技は本当、美賀子や五十嵐に比べれば、本当に大したことないよ。ただ、正直俺、最初あんまり映画に乗り気じゃなかったけど、撮影やってて、文化祭っていいなって思ったよ。」
 貴正は、映画の主演をしていく中で、文化祭が楽しみになっていくのが感じた。
「そっか。二組の映画は本当に素晴らしかったと思うわ。美賀子ちゃんは、明日メイド喫茶をやるんだよね? 頑張ってね!」
「ええ!」
 その後は、午後に貴正が、映画の準備の担当を一時間ほどした。午後の映画の評判もすこぶる順調だった。
 映画を終え、急ピッチで貴正たちはメイド喫茶の準備をした。大抵のクラスの生徒は、出し物の時間を終えるとすぐ帰るのだが、貴正たちは出し物が二つなので、急いで準備をしなければならなかった。
「貴正くん! 一緒にテーブル運んでもらっていい?」
「了解」
 クラス委員長にそう頼まれ、一緒にテーブルを運んだ。
「メイド喫茶上手くいくかな?」
 クラス委員長が少し不安げに貴正に訊いてきた。
「まぁ、大丈夫だと思うぞ。美賀子を目的に来るやつも結構多いんじゃないか?」
 貴正は、美賀子の人気ぶりを知っていたので、たくさん人が来るだろうと読んでいた。
「前々から気になってたんだけど、貴正くんって美賀子さんのことどう思ってるの?」
「え? 大事なうちの部のマネージャーだと思ってるけど。」
「いや、そうじゃなくてさ。好きっていうか付き合いたいとかは思わないの?」
 そんなの、無理だろうと思った。別のうちの部活は、部内恋愛禁止という訳でないが、美賀子は超絶モテると訊いたことがある。他に好きな人がいるからと断っているらしい。
 この時、貴正は思い出したが、佐江は、バスケ部元キャプテンの三澤先輩に引退後、告白されたらしいが、断ったらしい。同じく他に好きな人がいるからと貴正は他の部員から聞いたことがある。
 三澤先輩は、バスケも上手いし、ルックスもなかなかあるのに、それ以上に好きな人とは一体誰なんだろうかと貴正は少し気になった。

「付き合いたいっていうか、さすがに釣り合わないだろ。俺と美賀子じゃ。」
「それじゃ、貴正くん、他に好きな人がいるの?」
「いいだろ、そんな話は。ほら、時間もあんまねぇんだし、早く準備するぞ。」

 貴正は、適当に話をはぐらかし、メイド喫茶の準備に没頭した。夜遅くまで、文化祭の準備をして、家に帰宅した。夜遅くだというのに、葵が世界で二番目に有名なネズミがマスコットキャラクターに使われているキャラクターのゲームをしていた。
「マンダのりゅうせいぐんはつよい!」
 何を言ってるんだ、あいつはと思ったが、気にせず貴正はテレビを見ることにした。
「あ、おにぃ、おかえり〜。」
「ただいま。もう夜九時なのにまだ、ゲームしてるのか。」
「いやぁ、ちょっと厳選にはまっちゃって。」
「そ、そうか。」
 貴正も葵がやっているゲームをよくやっており、上級者と呼べるくらいの腕前なのだが、妹は、兄以上の強さである。そのゲームで戦ってかったことはほとんどなかった。
「今日、文化祭だったんでしょう? 準備終わったのに、帰りこんなに夜遅いの?」
「うちのクラスは、出し物が二つあるからな。今日も準備があったんだ。」
「おにぃのクラス出し物二つあるの? 大変だね。他のクラスもそうなの?」
「いや、多分うちだけじゃないか。」
 他のクラスの出し物を全て把握しているわけではないが、おそらくうちだけだろうと思った。
「マジで? それは、随分大変そうだね。」
「まあな。文化祭の準備は楽しかったぞ。今日、うちのクラスは映画上映したんだけどな、結構好評だったぞ。」
「前に、おにぃが言ってたやつだよね。今日、部活がなかったら見に行きたかったなぁ。」
 葵は、テニス部に所属しており、土曜日だが、今日も練習があった。運動部が土曜日練習することなんてことはよくあることである。

「明日は、うちのクラスでメイド喫茶があるからな。確か、明日はお前休みだよな。よかったらうちのクラス見に来いよ。」
「うん! おにぃもメイド服着るの?」
「ばか! 着るわけねぇだろ!」
「そっかー。残念だなぁ。」
 一体何が残念なんだろうかと貴正は思った。貴正は、一時間ほど、テレビを見たあと、明日も朝早くに文化祭の準備があるため、就寝した。
 貴正はその日の夜こんな夢を見た。
 貴正の気になっている人と貴正が、遊園地の観覧車に乗っていた夢であった。観覧車の中で、貴正は、一世一代の告白をしようとしていた。
「なぁ、××。俺と付き合ってくれないか。」
「私――」
 そこで貴正は、目が覚めた。夢の中で告白が成功したのか、ものすごく気になった。夢に出るくらい『あの人』を意識しているとは、自分でも思っていなかった。
「付き合いたいな……」
 誰もいない自分の部屋で、一人そう呟いた。


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