猫好き高校生と人間になった三匹の美人三姉妹

チャンドラ

7話

次の日の昼休み、貴正のクラスに、磨衣子と彩香がやってきた。

「おおっす! 貴正!」
「こんにちは、貴正くん。」

 磨衣子、美賀子、彩香が貴正の席に集まったので、昼ご飯を食べることにした。三人は、もう他に友達ができたのだが、どういうわけか未だに昼休みになると、貴正の元へやってくる。
「なぁ、お前ら、俺なんかとじゃなくて、他にご飯一緒に食べるやついないのか?」
 それとなく、三人に訊いてみた。
「まぁ……いないって訳でもないが、私は、貴正の弁当を試食したいからな!」
 そういい、彩香が箸をそーっと、貴正の弁当に近づけてきた。貴正は、やれやれという顔をしながらも、彩香に肉団子を一つあげた。
「いやー、本当、貴正の弁当はうまいなぁ。」
 幸せそうな顔をして、彩香は食べた。その顔を貴正が見ていると、なんだかデジャブのようなものを少し感じた。
「私も、美賀子と同じく貴正くんと仲良くなりたいし。貴正くんは、迷惑かな?」
 じっと、磨衣子が見つめてきた。訴えかけるよう瞳に貴正はドキドキしてしまった。
 落ち着くんだ俺――俺は、猫にしか興味がない男、心頭滅却、心頭滅却と貴正は心の中でそう唱えた。
「い、いやそんなことはないよ。」
「そう、なら良かった。」

 磨衣子が微笑んだ。守りたい、この笑顔と思ったが、やはりクラスの男子に目の敵にされている気がした。貴正は、基本的に部活のメンバーや、五十嵐くらいしか付き合いがなく元々、クラスに仲の良い人はあまり多くはないのだが、最近、貴正はクラスの男子が自分を睨みつけてくることが多くなる気がしていた。

「そういえばもう少しで体育祭があるわね。体育祭は貴正くん、何に出るの?」
 美智子が質問をしてきた。体育祭は、あらゆる種目を行うが、人によって出る種目を選ぶことができる。最低、一人一種目行う必要があるものの、最初に、一種目出場して、あとは、体育祭が終わるまでひたすら待つという人も結構いた。

「えーっと、百メートル走に、騎馬戦とリレー走に出るよ。」
「そうなんだ。騎馬戦、怪我しないように気をつけてね。」
「ああ、ありがとう。みんなは何に出場するんだ?」
「私は、百メートル走と、パン食い競争、綱引きにでるよ。」
 彩香がすぐさま答えた。磨衣子と美智子の運動神経は、ドッジボールで見ていたので、ある程度分かったが彩香はどんなものか貴正は分からなかった。だが、なんとなく運動神経は良さそうな気がした。
「へー! パン食い競争か。あれ、結構楽しそうだよな。」
「うん、パン食い競争は一位間違いなしだな!」
 自信満々に彩香が宣言した。この自信、本当に一位を取ってしまいそうである。
「私は、百メートル走と大縄跳びに出場するわ。」
 磨衣子が言った。
「そ、そうか。」

 ある意味大波乱が起きそうな気がする。あの揺れの光景が思い出された。チラッと、磨衣子の胸を見た。制服を着ていて今は控え目に見える。が、それでも相当大きいと思った。

「私は、百メートル走とムカデ競争にでるわ。」
 美賀子の方を見ると、目が笑ってない状態で貴正に微笑みかけた。貴正は物凄く怖かった。この目は、まさにレ○プ目であった。

 そして、時は経ち、体育祭がやってきた。体育祭は、学年別にクラス別対抗で行われる。クラスごとにハチマキが渡される。一組は赤の鉢巻、二組は青の鉢巻、三組は黄の鉢巻、四組は緑の鉢巻、五組は紫の鉢巻、六組は白の鉢巻である。
 全校生徒が行進を行った後、貴正の知らない生徒が選手宣誓を行った。
「宣誓、僕たち私たち選手一同は、スポーツマンシップに乗っとり、正々堂々と戦い抜くことを誓います!」
「あー、猫の姿に戻って日向ぼっこしてぇ……」
 ボソッと、彩香が呟いた。どうやら誰にも聞こえていないようである。
 運動会の最初の競技は、女子百メートルから始まる。一年生から三年生の順に行う。
 一年が終わり、二年女子の番が来た。何組か二年の百メートルが終わったところで、彩香の姿を目撃した。緑の鉢巻をしていた。そういえば、彩香は四組だったことを貴正はこの時に思い出した。

「彩香! 頑張れよ。」
 一応、同じ部活のマネージャーであり、毎日、昼休みに弁当を与えている中なので、応援の言葉を送った。
「当然なのだよ。私が勝つというとこは、すでに決まっている運命なのだよ。」
 なにをいっているんだ、あいつは。そう貴正は思った。もしかして緑のハチマキだからかと推測した。
「位置について、よーい……」
 パァンとピストルの音がなると同時に、彩香は、他の選手を圧倒するスタートダッシュを決めた。
(速い……!)
 貴正は、心からそう思った。バスケットで、素早い選手をマークすることの多い貴正ですら、感心するスピードであった。
 彩香は、他の選手を寄せ付けず、ぶっちぎりで一位を獲得した。
「彩香ー! よくやったわ!」
 磨衣子が、ゴール地点にいる彩香に向かって叫んだ。つぎは丁度、磨衣子が走る順番のようだ。磨衣子と目があった。
「磨衣子、頑張れよ!」
「ありがとう! 頑張るわ!」
  磨衣子はテンションが上がり、ぴょんと飛び跳ねた。すると胸が激しく揺れた。
 おお……、マグニチュード八だ、効果は抜群だ! そう貴正は思った。
 周りが今から始まる出来事に期待し始めてきた。
 揺れがやってくるぞ……! 瞬き一つするな! そんな声がどこからともなく聞こえてきた。ったくこれだから男は……と、貴正は思いたかったが、彼もしっかり見ようと思った。

 すると、どす黒いオーラを感じた。美賀子が、ものすごい目でこちらを見ていた。とてつもなくおぞましいオーラであった。
「ミチコモガンバレヨ!」
 貴正は、恐怖の余り、カタコトの日本語で応援の言葉を送った。
「位置について……」
  磨衣子が地面に両手をつけ、スタートの準備をする。手だけでなく胸が地面についてしまいそうである。
「よーい……」
  バァンと銃声がグラウンドに鳴り響いた。スタートすると、グランド中の男を幸せにする、揺れを披露した。

 このときの出来事を審判はこう以下略。
 磨衣子は、六人中四位という、何ともいえない順位にも関わらず、体育祭の歴史に残る伝説を生み出した。
 その後も百メートル走を行い、ついに美智子の出番がやってきた。対戦相手には、元祖バストッボボール部マネージャーの大谷木佐江もいた。彼女は、六組であり白いハチマキを身につけていた。

 果たして、勝つのは美智子か、佐江か!?

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