妹はこの世界でただ一人の味方
距離10cm
恥ずかしいんだが・・・。
学は心の中でそう思っていた。どうしてそう思うのか?それは目の前にいる結衣の寝言にあった。
「んぅ・・・がく・・・大好き・・・すぅ。」
結衣は妹だ。きっと兄妹としての好きだ。そうに違いない。それ以外はありえない。あってはならない。仮にあったとしてどんな物語だそれは?
学は結衣が自分のことが好きだと告白されているため、好意を寄せられているのはわかっていたが、こうして自身にプラシーボ効果を効かせないと我慢ができなくなってしまうと学は思った。
学とて、その行為をしたくないわけではない。しかしこのような状況でするわけにはいかない、キチンと両思いの人にしたいという気持ちがブレーキとなった。
観自在善行深般若波羅蜜多時照見五...
しまいには念仏まで唱える始末である。それほどまでに結衣の寝言は学に大きなダメージを与えた。
さっさと布団から出ればいいという意見も出てくると思う。その時のためにあらかじめ言っておこう。
出れるんなら俺だって出たいんだが・・・。
どうやってしたのかは定かではないが、学のシャツの中に結衣が入り込んでいた。そのせいでシャツはキツキツで今にもはちきれそうだった。学もそれを望んでいるがなかなかそれは訪れない。
完全な密着状態であり、さらに押し付けられている胸などは意識せざるを得なかった。
ここまで密着しているせいもあり、学は結衣の心音を体で感じ取った。学とは対照的で比較的落ち着いた速さだった。
顔が近い! 吐息がくすぐったい! 
学は最後の手段に出ることにした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
最後の手段とは真空の法則を使うことだった。真空の法則といえど、難しいことではない。ただ単に心を無にするということだ。物、知識、情報などを全て捨て、自然体でいることにした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
これを身につけたのは学が地球で仕事のストレスでイラついていた時、ふと本で見た時だった。それ以来、結衣を見ても解消されない問題はこうして過ごした。
ふと学の頭に神からの言葉が聞こえたような気がした。
あなたは世界の一部であり、世界はあなたなのです...
なにも恥じらうことはありません。彼女はそれほど素晴らしい方なのですから仕方のないことなのです。
しかしその声も今の学には聞き取ることはできず、結果誰の声なのかも分からずそれが永遠に分かることはなくなった。
パチリと結衣は目を開けて目の前にいる学に驚いた。そして自分がいる場所にも驚いた。
心臓の鼓動が一気に速まり身体中が熱くなる。
学は二度寝をしているらしく寝息をたてていた。ホッと安堵の息を吐いた結衣だったが、
「ん・・・。」
学の体がノソノソと動きさらに顔が近づいた。あと10cm程度で口同士が触れ合う、そんな距離だった。
なんでこんなところにいるの!?私から入り込んだわけないし・・・かと言ってお兄ちゃんはこんな事するはずないし・・・。
それでも・・・気恥ずかしさが大半を占めながらも、心のどこかで嬉しさを感じている自分がいた。
お兄ちゃんのいい匂いがする・・・。一生こうしていたいな・・・。
「お兄ちゃん・・・。」
その声は寝ている学には届かず、ただ意味のないものになった。
うん・・・今はこれでいい。まだこのままで、妹のままでいい。
「ん・・・はむ ・・・。おにぃいちゃぁん・・・。」
結衣は学の脊髄あたりを唇で挟むようにつけた。不味くも美味しくもない皮膚だが、結衣にとって学の皮膚は美味しく感じさせられるものだった。
って、そんなことしたらダメだ・・・これじゃあただの変態・・・。お兄ちゃんがカッコ良すぎるんだもん・・・我慢できないよ。
「・・・結衣・・・まだ、もう少し・・・。」
学がいきなり寝言を発したことでビクッとした結衣は慌てて唇を離した。別の意味でもドキドキした結衣だったが、学が起きる気配がなかったのでホッと胸をなでおろした。
結衣は学の肩に頭を乗せて、その時間をしっかりと堪能した。
「・・・きろ。起きろ結衣。」
「んんん・・・?」
プニプニと結衣の頬をつきながら学は結衣を起こした。寝ぼけている結衣はその手を振り払って学に背を向けるように体勢を変えた。
・・・ショックなんて受けてない。結衣は寝ぼけているだけなんだ。俺の手を振り払ったのだって寝ぼけてたからだ。そうだ。その通りだ。
本来ならもう少し寝かせてやりたいが・・・まぁ無理強いをするのもよくないな。寝かせておくか。朝のことで俺も少し(精神的に)疲れたしな・・・。今日はゆっくり休むか。・・・こうして見ると結衣を見てるだけで心が癒されるな。
結衣は学の布団の中で寝て、学はそのベッドに寄っ掛かり睡眠をとった。その寝顔は2人とも幸せそうな表情だった。
-------------------------------------------------
以下作者のコメント
3週間連続土日の休みがありませんでしたが、それも今日までです。明日からは両方休めて書く時間も長くなり、更新ペースが戻・・・・・・ったらどんなにいいことでしょうか。
明日からテスト1週間前です。ウレシ-ナ-。
流石に受験がかかってくるので、また1週間は更新が遅くなると思います。本当にごめんなさい。とりあえずテストが27日に終わるので、29と30日で1話。1日と2日でもう1話書いて更新しようと思います。
さてさて、文中に10cmの距離とありましたが人間にはパーソナル・スペースと呼ばれている心理的な縄縛りがあります。自分中心で円が描かれているイメージで広がっているそれは、嫌いな相手だと不快の念を持ち、好意を持つ相手は受け入れます。
・15cm未満(近い密接) … 家族や婚約者 … すぐに抱きしめることができる。
・15~45cm(遠い密接) … 恋人 … 自由に相手の身体に触れられる。
・45~75cm(近い個体) … 親友、異性なら友達以上恋人未満 … 一歩近づくか、手を伸ばせば触れられる。
・75~120cm(遠い個体) … 友人 … お互いに距離を縮めるか、手を伸ばせば触れられる。
・120~210cm(近い社会) … 上司部下、クラスメートなど … 手は届かないが、ふつうに会話はできる。
・210~360cm(遠い社会) … 取引先の相手 … 商談時の距離。
・360~750cm(近い公衆) … 全く知らないわけではない相手、知人 … 一対一での会話がぎりぎり可能。
・750cm以上(遠い公衆) … 会話をする間柄ではない相手、他人 … 講演など、一対多の状態。
簡単に表をまとめましたが、学たちは一番上ですね。まぁ家族なので一応当てはまるでしょう。・・・多分ですよ。それは皆様の想像に任せます。
ああ、最後に1つだけ。学のシャツに入るとかありえないなどというマジレスはしないで欲しいです。それは書いている本人が一番わかっているので。一応言っておくと冗談半分で書いているので別にコメントしてもいいですよ。
「そんこと出来るわけないだろボケ!」
でも別にいいですよ。
(・Д・)
こう返してあげます。
それではまた次回。
学は心の中でそう思っていた。どうしてそう思うのか?それは目の前にいる結衣の寝言にあった。
「んぅ・・・がく・・・大好き・・・すぅ。」
結衣は妹だ。きっと兄妹としての好きだ。そうに違いない。それ以外はありえない。あってはならない。仮にあったとしてどんな物語だそれは?
学は結衣が自分のことが好きだと告白されているため、好意を寄せられているのはわかっていたが、こうして自身にプラシーボ効果を効かせないと我慢ができなくなってしまうと学は思った。
学とて、その行為をしたくないわけではない。しかしこのような状況でするわけにはいかない、キチンと両思いの人にしたいという気持ちがブレーキとなった。
観自在善行深般若波羅蜜多時照見五...
しまいには念仏まで唱える始末である。それほどまでに結衣の寝言は学に大きなダメージを与えた。
さっさと布団から出ればいいという意見も出てくると思う。その時のためにあらかじめ言っておこう。
出れるんなら俺だって出たいんだが・・・。
どうやってしたのかは定かではないが、学のシャツの中に結衣が入り込んでいた。そのせいでシャツはキツキツで今にもはちきれそうだった。学もそれを望んでいるがなかなかそれは訪れない。
完全な密着状態であり、さらに押し付けられている胸などは意識せざるを得なかった。
ここまで密着しているせいもあり、学は結衣の心音を体で感じ取った。学とは対照的で比較的落ち着いた速さだった。
顔が近い! 吐息がくすぐったい! 
学は最後の手段に出ることにした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
最後の手段とは真空の法則を使うことだった。真空の法則といえど、難しいことではない。ただ単に心を無にするということだ。物、知識、情報などを全て捨て、自然体でいることにした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
これを身につけたのは学が地球で仕事のストレスでイラついていた時、ふと本で見た時だった。それ以来、結衣を見ても解消されない問題はこうして過ごした。
ふと学の頭に神からの言葉が聞こえたような気がした。
あなたは世界の一部であり、世界はあなたなのです...
なにも恥じらうことはありません。彼女はそれほど素晴らしい方なのですから仕方のないことなのです。
しかしその声も今の学には聞き取ることはできず、結果誰の声なのかも分からずそれが永遠に分かることはなくなった。
パチリと結衣は目を開けて目の前にいる学に驚いた。そして自分がいる場所にも驚いた。
心臓の鼓動が一気に速まり身体中が熱くなる。
学は二度寝をしているらしく寝息をたてていた。ホッと安堵の息を吐いた結衣だったが、
「ん・・・。」
学の体がノソノソと動きさらに顔が近づいた。あと10cm程度で口同士が触れ合う、そんな距離だった。
なんでこんなところにいるの!?私から入り込んだわけないし・・・かと言ってお兄ちゃんはこんな事するはずないし・・・。
それでも・・・気恥ずかしさが大半を占めながらも、心のどこかで嬉しさを感じている自分がいた。
お兄ちゃんのいい匂いがする・・・。一生こうしていたいな・・・。
「お兄ちゃん・・・。」
その声は寝ている学には届かず、ただ意味のないものになった。
うん・・・今はこれでいい。まだこのままで、妹のままでいい。
「ん・・・はむ ・・・。おにぃいちゃぁん・・・。」
結衣は学の脊髄あたりを唇で挟むようにつけた。不味くも美味しくもない皮膚だが、結衣にとって学の皮膚は美味しく感じさせられるものだった。
って、そんなことしたらダメだ・・・これじゃあただの変態・・・。お兄ちゃんがカッコ良すぎるんだもん・・・我慢できないよ。
「・・・結衣・・・まだ、もう少し・・・。」
学がいきなり寝言を発したことでビクッとした結衣は慌てて唇を離した。別の意味でもドキドキした結衣だったが、学が起きる気配がなかったのでホッと胸をなでおろした。
結衣は学の肩に頭を乗せて、その時間をしっかりと堪能した。
「・・・きろ。起きろ結衣。」
「んんん・・・?」
プニプニと結衣の頬をつきながら学は結衣を起こした。寝ぼけている結衣はその手を振り払って学に背を向けるように体勢を変えた。
・・・ショックなんて受けてない。結衣は寝ぼけているだけなんだ。俺の手を振り払ったのだって寝ぼけてたからだ。そうだ。その通りだ。
本来ならもう少し寝かせてやりたいが・・・まぁ無理強いをするのもよくないな。寝かせておくか。朝のことで俺も少し(精神的に)疲れたしな・・・。今日はゆっくり休むか。・・・こうして見ると結衣を見てるだけで心が癒されるな。
結衣は学の布団の中で寝て、学はそのベッドに寄っ掛かり睡眠をとった。その寝顔は2人とも幸せそうな表情だった。
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以下作者のコメント
3週間連続土日の休みがありませんでしたが、それも今日までです。明日からは両方休めて書く時間も長くなり、更新ペースが戻・・・・・・ったらどんなにいいことでしょうか。
明日からテスト1週間前です。ウレシ-ナ-。
流石に受験がかかってくるので、また1週間は更新が遅くなると思います。本当にごめんなさい。とりあえずテストが27日に終わるので、29と30日で1話。1日と2日でもう1話書いて更新しようと思います。
さてさて、文中に10cmの距離とありましたが人間にはパーソナル・スペースと呼ばれている心理的な縄縛りがあります。自分中心で円が描かれているイメージで広がっているそれは、嫌いな相手だと不快の念を持ち、好意を持つ相手は受け入れます。
・15cm未満(近い密接) … 家族や婚約者 … すぐに抱きしめることができる。
・15~45cm(遠い密接) … 恋人 … 自由に相手の身体に触れられる。
・45~75cm(近い個体) … 親友、異性なら友達以上恋人未満 … 一歩近づくか、手を伸ばせば触れられる。
・75~120cm(遠い個体) … 友人 … お互いに距離を縮めるか、手を伸ばせば触れられる。
・120~210cm(近い社会) … 上司部下、クラスメートなど … 手は届かないが、ふつうに会話はできる。
・210~360cm(遠い社会) … 取引先の相手 … 商談時の距離。
・360~750cm(近い公衆) … 全く知らないわけではない相手、知人 … 一対一での会話がぎりぎり可能。
・750cm以上(遠い公衆) … 会話をする間柄ではない相手、他人 … 講演など、一対多の状態。
簡単に表をまとめましたが、学たちは一番上ですね。まぁ家族なので一応当てはまるでしょう。・・・多分ですよ。それは皆様の想像に任せます。
ああ、最後に1つだけ。学のシャツに入るとかありえないなどというマジレスはしないで欲しいです。それは書いている本人が一番わかっているので。一応言っておくと冗談半分で書いているので別にコメントしてもいいですよ。
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(・Д・)
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コメント
さらだ
すごぉぉぉぉぉぉく甘く書くのは難しいんですけどそう言ってくれると嬉しいです。
田中 凪
今思ったけど学生多いな…(とか言ってる自分も学生(ハンブン))
すごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉく甘い回でしたね。好きですよ、そういうの
さらだ
期末ないところあるんですか?初めて知りました。羨ましすぎます。
バジリス
はあ、テストか…。
中には期末が無い学校があるとか、羨ましい…。
さらだ
頑張りましょうね。